利益に対する人件費の割合である労働分配率は、大切な経営指標だと思います。

しかし、中小企業で労働分配率にこだわりすぎると、ビジネスチャンス、会社の成長スピードを落とすことにつながりかねません。

次の3つの観点で労働分配率を検討する必要があると考えております。

1売上の安定性

2企業の成長過程

3手元資金

ちなみに、弊所は税理士事務所ですが、労働分配率80%を超えていますが、特に大きな不安はありません。

お客様との会話で労働分配率の話になりました。

その方は、サービス業を経営しており、こう言いました。

 

「労働分配率を40%に抑えようと思っています」

 

労働分配率とは、付加価値額に対する人件費の割合のことです。

式にすると次のようになります。

労働分配率=人件費÷付加価値額

付加価値額は様々な定義がありますが、一般的には売上総利益、粗利益額のことです。

以下付加価値額では分かりにくいので、付加価値額を粗利益額に置き換えます。

 

 

お客様との会話の続きです。
私は、質問しました。

「なぜ労働分配率を40%に抑える必要があるのですか?」

 

するとお客様は、

「ある書籍で経営を行う上で適正な労働分配率が40%とあったからですよ」

お客様の経営する会社は、海外向けに独自のサービスを行っており、売上が前年比280%増で成長著しく、将来は上場を目指している会社です。

労働分配率の話になる前に、そのお客様は、事業の受注規模に人材確保が間に合っていないとおっしゃいました。

また、その会社は、無借金で固定費1年分の預金残高があります。

売上の安定度、売上、利益の伸び率からすると大きすぎる預金残高です。

 

私は、こういいました。

「労働分配率は、現状ですと80%を超えてもいいと思います」

 

お客様は、びっくりし、こういいました。

「本気で言っているんですか!労働分配率はせいぜい60%が限度で労働分配率が80%なんてそんな話聞いたことないですよ」

 

私は、こういいました。

「一時的に労働分配率が80%を超えても、現状の売上と利益水準伸び率からすれば、一定期間後、労働分配率は落ち着きますし、余剰資金が大きすぎるぐらいですので労働分配率が一時的に高くなっても資金繰り上は問題ありません。
なにより、サービス業においては、人件費=将来への投資の意味合いが強くなります。人件費は、サービス業に限ったことではないですが、メーカーでいう設備投資と同じくらい大切だと思います

 

「たしかにそうですね」とお客様は考え込んだようでした。

 

少し間を空けて私は、こういいました。

「余剰資金を寝かしすぎている現状ですので、多少リスクを負って投資を行ってもいいじゃないでしょうか、投資を行わなければ、会社の成長スピードが落ちますし、せっかくのビジネスチャンスを失う可能性があると思いますよ」

 

社長は、

「今から社内会議で今後の人員配置について検討しなおします」

とおっしゃいました。

 

弊所の労働分配率は、現状80%を超えています。

しかし、大きな不安はありません。

安定的な売り上げが見込めますし、人材投資が必要な時期だと考えているからです。

中小企業ではあまり労働分配率に神経質にならないほうがいいと思います。

売上の安定性、企業の成長過程の時期、手元資金の3つから検討して労働分配率を検討する必要があると最近つくづく思います。

 

そして、労働分配率、労働分配額を自社の状況に応じて戦略的かつ、計画的に設定することが大切だと考えております。