2018年7月25日付の日本経済新聞の記事で興味深い記事がありました。

ユニクロの柳井氏「会計士は経営者と議論を」との見出しで、ファーストリテイリングの柳井社長が、日本公認会計士協会の開催した記念講演で公認会計士に対して「経営者と経営課題を議論できるパートナーになってもらいたい」の述べたそうです。

会計は、簿記という明確なルールに基づいて作成される経営資料です。

AIは、ルールが明確なものを処理することが得意です。

よって、AIにより、経理に関する業務は今後少なくなっていくとされています。

これはMFクラウド会計、freeeなどのクラウド会計やその他連携アプリの活用により中小企業の経理がどんどん楽に、スピーディーになっていることを感じ、実感しています。

そして、AIに変わっていくであろう単純作業ではなく、「会計知識の経営への活用」を柳井氏は、公認会計士に対する期待として上げられました。

この「会計知識の経営への活用」については、強く共感するものがあります。

ファーストリテイリングの監査役をされている公認会計士である安本氏は、会計の経営への活用方法について多数書籍を書かれていますが、どの書籍を読んでも、実務的に会計の活用による経営サポートを実践している方だと感じています。

憶測ですが、柳井氏は、これまで、安本氏とともに会計を活用し経営を行ってきたからこそ、公認会計士に対する期待をいだいているのではないかと思います。

 

安本氏は「強い会社をつくる会計の教科書」で以下のようなことを述べていらっしゃいます。

「会社の決算書は、利害関係者に説明責任を果たすツールであるとともに、現在の会社の真の姿を映し出す鏡でもあります。この鏡に表れた会計数値をつぶさに観察し、それを次の行動に活かすことによって、会計の力で会社を変えることができます」

会計の力で会社をより良い方向に変えることが私たち会計に携わる人間のミッションではないかと思います。

会計の力を活かすには、以下のことが大切だと考えております。
・利益がなぜ必要かを伝える
・会計を分かりやすく、興味を持ってもらえるように伝える
・会計は、試算表(貸借対照表、損益計算書)だけでなく、もっと幅広いことを伝える
・経営目標を明確にすることのメリットを伝える

AIが進化してきたからこそ、会計の力を活かすことができるようどんどん近づいており、微力ですが、中小企業を会計の力で強い会社へ近づけるサポートができればと考えています。

 

柳井氏は記念講演のなかで会計士が「ハンコを押す人になっている」と指摘したそうです。

公認会計士がハンコを押す人にならないよう、会計を発展可能性があるものとして、学び続け、経営者に実践していくことが大切だと感じています。