クラウド会計で「現金保有」を重視した経営へ
ここでは、サービス業の「売上原価」について説明しています。
サービス業の売上原価とは何ですかと質問を受けることがあります。
結論からいうと、サービス業の会計上の売上原価は、外注費のみです。
サービス業の売上原価は、自社の人件費を含むのでは?
と思う方もいるかもしれません。
日本有数のサービス業の決算書で売上原価をみてみます。
例えば、サービス業で日本一の売上高、H26年3月期の売上が2兆3千億を超える電通の売上の中身は広告収入です。
一方、電通の売上原価のほとんどが広告作成費等、広告協力会社に支払う外注費で自社の人件費は含まれていないようです。
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なぜ、サービス業の売上原価に人件費を含まないのか考えてみます。
まず、売上原価とは、販売した商品、サービスを生み出すためにかかった直接かかったコストです。
ここで重要なのは、「直接のコスト」だということです。
直接かかったコストとは、提供したサービスとひも付けできるコストのことです。
言いかえるとサービスを行うことにより新たに発生したコストです。
サービス業であれば、ノウハウ等によって、サービスを提供することによって売上を得ることができます。
他社と協力しサービスを提供する場合、サービスを行ったことにより新たに発生するコストは、協力業者への外注費です。
自社のみでサービスを提供する場合、新たに発生するコストはあるでしょうか?
新たに発生するコストは、ありません。
人件費は通常、固定的に毎月、発生します。
人件費はサービスに行うことにより新たに発生しません。
また、人件費は、提供したサービスとひも付けできるでしょうか?
サービス業において、従業員は、顧客にサービスを直接行っている時間もあれば、行っていない時間もあります。
待機時間、社内での会議の時間、研修時間等サービスを行っていない時間は必ず発生しています。
ですから、人件費は、提供したサービスにひも付けできるコストとはならず、売上原価となりません。
ここまでは、決算書を作るため会計のルールの話です。
ここからは、実際の経営に必要な会計の話です。
サービス業の数字上の最大のコストは人件費です。
コアコンピタンス経営で有名なゲイリー・ハメルは、サービス業の利益は従業員数との比較で事業の効率性を考えるべきと言っています。
もしドラなどで有名なPFドラッカーは、時間はお金やモノと違って他には代えられない最も貴重な資源であると言っています。
サービス業で時間を意識し、効率良く経営を行うには、
(売上-売上原価)÷時間=1時間当たりの粗利益を高めていくことが大切だと考えています。

佐藤修一公認会計士事務所代表、合同会社CMA代表
キャッシュフロー経営コンサルタント 公認会計士 税理士
新日本有限監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人)の東京事務所で上場企業の会計監査、総務省委託研究経理検査、内部統制構築支援、財務のデューデリジェンスに従事
その後、地元の福岡の中堅の税理士法人にて、中小企業の経営を会計、税務面からサポート
試算表ではキャッシュフローが見えない、経営できないと感じ、キャッシュフローを重視した経営の必要性を痛感し、佐藤修一公認会計士事務所を2013年8月に開業
開業後は、創業期の会社から上場準備会社まで中小企業の成長のための投資に備え、倒産しない、筋肉質の会社を作るためのキャッシュフロー経営の普及、freeeやマネーフォワードなどクラウド会計を使った経理の効率化・スピードアップを図り、経営ビジョンの明確化、実現のためのサポートを行っている
北部九州公認会計士協会所属 登録番号 028716
九州北部税理士会 福岡支部所属 登録番号 125272
経済産業省認定 経営革新等支援機関