
こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。
青色申告特別控除を65万円受けるにはe-Taxが必要と聞いたけれど、
手間がかかるから紙で申告して55万円控除のままでも良いのでは?
確定申告の時期が近づくと、このようなご質問をよくいただきます。
結論から申し上げますと、今すぐにでもe-Tax(65万円控除)をご利用すべきです。
なぜなら、令和8年度(2026年度)税制改正大綱において、従来の紙での申告に対する優遇を廃止し、
デジタル化をさらに推進する方針が示されたからです。
本記事では、現在の「65万円」と「55万円」の決定的な違いと、
最新の改正情報について、分かりやすく解説します。
「65万円控除」と「55万円控除」の要件の違い
両者とも、複式簿記での記帳と「貸借対照表」の添付が必要である点は共通しています。
| 項目 | 65万円控除 | 55万円控除 |
| 記帳方法 | 複式簿記 | 複式簿記 |
| 決算書 | 貸借対照表 + 損益計算書 | 貸借対照表 + 損益計算書 |
| 提出期限 | 期限内申告(3月15日まで) | 期限内申告(3月15日まで) |
| 提出方法 | e-Taxでの提出 | 紙での提出 |
つまり、全く同じ苦労をして期限内に提出したとしても、
最後に税務署に紙で持参・郵送した瞬間に、控除額が10万円減ってしまうのです。
税率が20%の方であれば、これだけで2万円の増税となります。
令和8年度税制改正大綱による「衝撃の変更点」
さて、ここからが本記事の最重要ポイントです。
令和7年12月に発表された「令和8年度税制改正大綱」では、
デジタル化を強力に進めるために青色申告特別控除の仕組みそのものに大きなメスが入りました。
令和9年分以降、以下の変更が行われる見込みです。
「55万円控除」の廃止
これまで紙で申告しても複式簿記なら55万円控除が認められていましたが、
改正後は紙で申告する場合、控除額が一律「10万円」に引き下げられる方向で調整されています。
つまり「e-Taxで申告しない」という選択が、45万円(55万円→10万円)の控除を受けることができない、
すなわち税負担の増加に直結します。
「75万円控除」の新設
一方で、デジタル化に積極的に取り組む事業者へのメリットは拡大します。
優良な電子帳簿の保存要件を満たし、かつe-Taxで申告を行った場合、
現在の65万円を上回る「75万円控除」が新設される予定です。(2026年分(令和8年分)の所得税の確定申告から適用)
この改正は国が紙の申告書を無くし、完全にデジタル申告へ移行させたいという強い意志の表れです。
優良な電子帳簿の保存要件を満たすために、
仕訳の「訂正・削除の履歴」が残る会計ソフト(freee、マネーフォワード等)を使うことが必須条件です。
設定画面で「訂正履歴を残す」というチェックボックスをオンにする必要があります。
まとめ
今回の解説のポイントをまとめます。
- 現状の違い:「紙で申告」⇒55万円控除、「e-Taxで申告」⇒65万円控除。
- 将来のリスク:令和9年以後、「紙で申告⇒55万円控除」は廃止(=10万円へ減額)される見通し。
- 次のアクション:75万円控除を受けるために、会計ソフトの導入と初期設定、e-Taxの切り替えを進める。
「パソコンが苦手でe-Taxの導入が不安」「会計ソフトの選び方がわからない」という方は、
ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。
デジタル化への対応は、早ければ早いほど将来の税負担を確実に減らすことができます。
佐藤 修一
税理士法人Accompany 代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。







