飲食店、美容室、エステ店など今日の売上は○○円、売上金額の把握はそう難しくないと思います。

では「今日いくら儲かったのか?」、「月初から今日まででいくら儲かったのか?」

現金商売の場合、利益とキャッシュのズレが大きくなってしまいます。

売上はその日もしくは、カード分は2から3日後入金されます。…入金が速い

一方、その売上に対応する原価、経費の支払いは、現金払い、次の月払い等です。…支払が遅い

売上の入金と売上に対応する原価と経費の支払いの全く異なります。

現金商売で一番怖いのは一時的に手元のお金が大きくなりがちであるため、儲けが多いと錯覚し、ついついお金を使ってしまうことです。

また、あといくらの売上が月末まで必要なのかを月の半ばで把握することができれば、このままで良いのか、そうでないのか?

このままで良くないのであれば、何かアクションが必要です。

どんなアクションをとるべきかを明確にし、すぐにアクションを起こすこと、「スピード経営」です。

 

ソフトバンク、アマゾンなどは「スピード経営」で有名です。

飲食店の日々の売上金額の把握ができるケースでスピード経営を実現するための「日時決算」の方法について説明しています。

 

日時決算とは何か、なぜ日時決算が必要か

まず、経営を行う上で何か行動をとる際のプロセスは以下のようになります。

現状把握・分析⇒判断⇒行動⇒成果

即断即決、即行動がスピード経営です。

 

この行動を決める判断を行うためには、現状を把握し、分析する必要があります。

 

現状把握の方法の一つが会計です。

会計は、月単位で、売上と対応する原価と経費を集計し、利益を計算することが一般的です。

 

月次決算:1か月の利益=1か月の売上-1か月の原価―1か月の経費 (ー1か月の借入金の返済額)

 

これを「月次決算」といいます。

月次決算だと、翌月にならないと利益金額を把握することができません。

一日の利益を計算する方法があります。

これを「日時決算」といいます。

日時決算:1日の利益=1日の売上-1日の原価-1日の経費 (-1日の借入金の返済額)

「日時決算」はソフトバンクも導入しており、スピード経営を実現するためには、非常に重要です。

この「日時決算」を導入すると、月の途中でも現時点の利益の金額を把握することができるようになります

 

飲食店では「1日の売上」の把握は簡単だと思います。

ただ、日時決算を行うには、「1日の原価」、「1日の経費」の金額が分からなければいけません。

よって、これから「1日の原価」、「1日の経費」の計算方法について説明していきます。

スピード>正確性

まず、その前に、1日の利益を把握する上で大切なことがあります。

それは、「100%の正確性・精度」を求めないことです。

正確性・精度<スピード

話せば長くなるので簡単にしますが、この世に100%正しい、正確な利益は存在しません!

なぜなら、会計処理の方法はいくつも存在し、利益計算の方法もいくつもあるからです。

 

そして、経理や会計では、求める正確性がある一定水準を超えると、経理の費用対効果が急激に低下します。

経理の費用対効果とは、「費用:経理にかかる時間と手間」、「効果:利益の正確性」になります。

 

スピード経営を実現する「日時決算」では、あまり手間と時間をかけずに、簡単に利益を把握することがポイントです。

よって、イメージ的には、80%~90%の正確さで1日の利益を把握する方法について説明したいと思います。

 

一日当たりの原価の計算方法について

飲食店での1日あたりの原価の計算はシンプルです。

一日の売上×原価率=一日の原価

原価率は、直近のひと月分又は1年間分をベースに、今後の値上げ、原価の増減を加味して計算します。

原価率=原価÷売上高

 

一日あたりの経費の計算方法について

手順は3つです。

1年間の経費実績額を科目ごとに集計します。
実績をベースに今後1年間の経費の科目ごとの金額を予測します。
経費の年間見込み額を営業日数で割り、1日当たりの見込み経費金額を計算します。

単位:万円直近1年実績今後1年見込み1日あたり見込み
給与8,0008,50028.3
賞与2,0002,2007.3
法定福利費1,5001,6005.3
地代家賃3,0003,00010
広告宣伝費40050016.7
交際費3002000.7
会議費2001000.3
支払手数料4004001.3
水道光熱費7007502.5
その他2001800.6
合計16,70017,43058.1

 

300日で計算した場合が上記の表になります。

この例では、1日あたりの経費金額は58.1万円となります。

複数の店舗を展開している場合には、店舗ごと1日当たりの経費を計算します。

以上の方法は利益計算をベースとした方法ですが、

「儲かったお金、キャッシュを増やすための」キャッシュフロー経営を行う場合には、今後の年間の借入金の「返済額」を入含めるか1日当たりの経費額とします。

借入金の返済は、利益から行うためです。

借入金の返済額を控除することで、返済後残るキャッシュが明確になり、利益がプラスになれば、確実にキャッシュが残ることになります。

キャッシュフロー経営の詳しい実践方法の詳しい説明

まとめ

飲食店で一日、一日の利益がいくらなのかを明確する方法について説明してきました。

1日ごとの利益を計算し、例えば、25日時点の売上金額から利益金額を計算し、残り5日であといくらの売上が必要かを明確にすることができます。

このように1日の利益を把握した後は、現場のスタッフの方と利益の金額を共有することが大切です。

現場のスタッフの方は、売上を増やす意識はあっても利益を増やす意識=儲けの意識が全くないか、あっても低い場合が多いと思います。

そして、一人一人の現場レベルのスタッフの方が儲けがないとお店を続けることができないこと、そして、自分たちの給与アップをするには利益が必要なことを理解し、利益意識をもって、組織一丸となって自分達で利益を増やすために何をすべきか考えていただくきっかけになれば幸いです。