どの業界もそうですが、ラーメン店の経営も同じように原料の高騰、人件費の高騰を始め、全ての物価の高騰がここ数年ずっと続いており、今後も、物価全般で上がっていくことが見込まれます。
そこで、出てくるのが、現在のメニューの価格でお店を継続するための利益を稼ぐことができるのかというテーマです。
私はこれまで1000人以上のお客様の決算書見てきた税理士です。
これまで毎日、満席なのに、現金がどんどん減っている飲食店のお客様を目の当たりしてきました。
毎日毎日忙しいけど、現金がどんどん減っていくことになってしまわないよう、安心してラーメン店を経営するために、この記事では、ラーメン屋の原価計算の方法を解説し、最終的にお店全体でどのくらい利益がでるのかを計算する方法を解説しています。
以下のような方にお勧めの記事です。
- これからラーメン屋をオープンする方で「稼げるお店」にしたい方
- オープンしていて、キャッシュが減少している理由が分からない方
- 原価が高騰しており、価格、原材料を見直したい方 など
ラーメン店の経営では繁盛していて売上が高い=稼げていることになりません。
しっかりと、現金を残し、安心して経営するためには、儲けることが大切です。
この原価計算は、儲けるための第一歩になります。
目次
ラーメン屋の原価の内訳は?
ラーメン屋の原価の内訳は、先ずはメニュー別の原価を把握する必要があります。
メニューは大きく分けると、次の2つに分けられます。
- ラーメンメニュー
- サイドメニュー
まずは、メインであるラーメンメニューの原価計算の方法を説明してきます。
ページ末尾にラーメンメニュー、サイドメニューの原価計算シート、1か月当たりのお店全体の売上や家賃や水道光熱費を含めた利益を計算するシートがダウンロードできるリンクがあります。
ぜひご活用ください。
ラーメン屋の原価計算の基本について
まず、原価の範囲ですが、材料費のみを原価計算の対象として、人件費、水道代、ガス代、電気代は対象としません。
なぜなら、材料費以外の経費は、客数、出数に応じて増減はしますが、材料費ほど大きく増減しません。
また、材料費以外を含めると、計算が複雑になる割に、あまり原価に大きな影響がなく、月々の変動もそれほど大きくないためです。
よって、材料費のみで原価計算を行います。
材料費の原価計算の基本の流れは、次の3つの流れで行います。
- 1回当たりの仕込みに要するコストを集計
- 1回の仕込みで何人前がとれるか計算
- 1人前当たりの材料費を計算
この流れに沿って、それぞれ説明していきたいと思います。
ラーメンメニューの材料原価を計算する方法は
ラーメンメニューの材料の原価を計算するにあたって、ラーメンの原価を以下の4つの分けます。
- スープの原価
- 麺の原価
- チャーシューの原価
- 具材の原価
これらについて一つひとつ説明していきますが、まずは、これからの材料の原価計算の基本をお伝えしたいと思います。
スープの材料原価
まずは、スープからです。
上記では豚骨ラーメンの材料で計算していますが、しょうゆラーメン、味噌ラーメン、塩ラーメンなども計算できますので、ご安心ください。
食材・材料をリストアップして、それぞれの購入金額、購入量から「仕込み当たりの原価」を計算します。
その後、使っている食材の全ての「仕込み当たり原価」を足し合わせます。
それには、使用する「材料単価」を計算します。
「材料単価」=購入金額÷購入量(g,ml、個数)
「仕込み当たりの原価」=「材料単価」×1回当たりの仕込みの使用量・消費量
この「仕込み当たりの原価」を提供できるラーメンの杯数で割って、1杯当たりのスープの原価を計算します。
麺の材料原価の計算方法
製麺所から購入している場合には、購入金額で計算するため必要ありませんが、自家製面を使っている場合の原価計算方法です。
スープの時と同じように、食材・材料をリストアップして、それぞれの購入金額、購入量から「仕込み当たりの原価」を計算します。
あとここで、注意があります。
上記では含めてしまっていますが、上記でいう「塩」のように結果的に1食あたり0.3円と非常に少額な食材は、原価に含めなくても問題ありません。なぜなら、年間2万杯でたとしても、6000円程度のコストとなり、影響は少額だからです。
その後、使っている食材の全ての「仕込み当たり原価」を足し合わせます。
この「仕込み当たりの原価」を提供できる麺の数で割って、1杯当たりの麺の材料原価を計算します。
麺の原価は、替え玉の利益計算にも用いるため、しっかり計算をしておきましょう。
チャーシューの材料原価の計算方法
チャーシューも流れはこれまでと流れは同じです。
ただし、チャーシューは、ラーメンメニューのうち、通常のラーメンの原価にもなりますし、チャーシュー麺の原価にもなり、それぞれ枚数が違うため、メニュー別の利益計算に影響するため、1枚当たりのチャーシューの原価を計算します。
まず、仕込み当たりの原価を計算し、完成する枚数で割って、チャーシュー1枚当たりの原価を計算します。
具材の材料の原価計算の方法
具材は少し異なります。
ネギなどのカットなどがメインの具材や調理があっても、メインの食材プラス調味料程度のものが多いと思うので、1食あたりの材料の使用量から原価を計算します。
ラーメンメニューの原価計算
これまで計算してきた、スープ、麺、チャーシュー、具材を合計し、1杯当たりの原価を計算します。
1杯当たりの売価から原価を控除すると、1杯当たりの粗利益が計算できます。
1杯当たりの原価を売価で割ると、原価率が計算できます。
この例だと普通のラーメンが原価率35%、チャーシュー麵が37%になっています。
ここでは、通常のラーメンとチャーシュー麺でチャーシューの枚数から先ほどの1枚当たりのチャーシューをつかって、それぞれ原価を計算しています。
ここで大切なのは、原価率ではなく、1杯のラーメンからいくらの「粗利益」を稼ぐことできるかです。
なぜなら、粗利益を増やさないと、家賃などの経費、生活費を支払うことができず、現金が増えていかないですし、現金がどんどん減少していってしまうことになるからです。
サイドメニューの原価計算の方法
最後にサイドメニューの原価の計算方法について説明します。
サイドメニューも同様に、消費量に応じて原価計算を行います。
ここでは、調理工程がシンプルかつ、ほぼ単一食材のサイドメニューの計算となっています。
ここで大切なのは、サイドメニューそれぞれからいくらの「粗利益」を稼ぐことができるかです。
ラーメン店の原価計算のまとめ
ここまできたら、「稼げるラーメン店」になるためのスタートラインに立つことができたことになります。
この原価計算を、まず、一人のお客様からいくらの「粗利益」を稼ぐことができているか、稼ぐことができる予定かを計算するために活用します。
お客様一人当たりの粗利益=ラーメンメニューの粗利益+サイドメニューの粗利益
仮に、1か月の経費、生活費、借入の返済が80万ある場合、1か月当たり最低限稼がないといけない粗利益は、80万円です。
仮に、一人当たりの粗利益が707円(ラーメンの粗利益507円+サイドメニューの粗利益200円)だとすると、80万を707円で割った金額が、1か月の損益分岐点の顧客数になります。
この例では損益分岐点の客数は、1,131人となり、この人数を超える客数になると現金は増え始め、
この客数の下回ると、現金が減り始まます。
そこで、この1131人以上の客数を目指して経営するか、
原価や価格、サイドメニューを見直し、もっと少ない人数で経営できるラーメン店にするのかなどを検討することが可能になります。
以下のリンクからラーメン店の原価計算シートダウンロードできるので、ぜひ、ご活用されて下さい。
原価計算でお困りの方、今のお店のやり方でどうやったら、現金が増えていくのか分からない方、初回相談は無料です。
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佐藤 修一
佐藤修一公認会計士事務所代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。