中小企業の経営者の方から、最近よくいただく質問の一つに、余剰資金を用いた株式運用、株式売買は「税金負担の観点から考えると法人口座が良いのか、個人口座が良いのか」というものがあります。

法人で株式運用、株式売買を行うことで節税することができないか‥

株式投資にもいろいろありますが、証券会社を通して上場会社の株式運用、株式売買を法人口座で行うのか、個人口座で行うのかについてのご質問です。

一般的なケースにおいて結論から申し上げますと、株式運用、株式売買は「個人口座で行うべき」だと考えています。

法人の場合、他の所得と相殺出来る範囲が広く、赤字の繰越期間が個人より長いですが、重視すべきは、税率です。

株式投資に対する税率は法人より個人の方が低いからです。

以下で、なぜ税率を重視すべきか、他の所得との相殺できるメリットが活かせるケース等について説明しています。

 

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法人と個人の税率の違い

上場会社の株式運用、株式売買の利益に対する税率は、個人、法人それぞれ以下の様になっています。

・個人 株式投資の利益×一律20.21%
・法人 株式投資の利益×22%~34%

当然ですが、株式投資は、投資した金額に対して1円でも多くのリターンを得ることが目的です。

リターンから投資金額を控除した金額が儲け、つまり、株式投資取引で増加した利益となります。

リターンー投資金額=利益

すると、取引によって増加した利益に対しては、必ず税金がかかります。

よって、税率が低い方が投資したより資金が増加するため、投資効果が高くなります。

個人は、利益に対する税率が一律20.21%です。

一方、法人の税率は、年間利益が~800万のとき22%、年間利益が800万円超えた金額に対して34%となっています。

個人の税率20.21%<法人の税率22%~34%

税率の低い個人の方が税金負担が小さくなるため、最終的に残る利益が多くなります。

 

 

このように当たり前のような話ですが、儲けることを前提とした場合、税率が低い方を選択すべきです。

ただし、注意すべきは個人と法人の赤字や他の利益と相殺できるどうかの取り扱いの違いです。

ここから、赤字と相殺できる他の所得の違いついて説明します。

 

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個人と法人の赤字と他の所得との相殺方法の違い

株式運用、株式売買から赤字が生じた場合、その赤字は、個人の場合は、3年間の繰り越しとなり、法人の場合には10年間の繰り越しが可能です。

繰越すことによって、次年度以降に生じた利益と相殺して、税金を計算することが可能です。

例えば、ある年に50万円の赤字が生じ、次年度に200万円の利益が生じたときの税金計算のベースとなる利益は、200万円から50万円を控除した150万円となります。

赤字に相当する利益が個人の場合は、3年以内、法人の場合には、10年以内に生じない場合には、赤字が消えてしまうことになってしまいます。

この点を考えると、多額の損失が生じる可能性があり、長期的な視点で株式投資を行う場合には、法人の方が良い可能性もあります。

 

また、株式投資から生じた赤字は、個人の場合、配当以外の利益と相殺することができません。

しかし、法人の場合には、本業に係る利益と相殺することができます。

よって、法人側の本業が好調で利益が生じており、かつ、ある程度リスクとリターンを見込んだ株式投資を行う場合には、法人で行った方が年度単位の税金負担を抑えることができる可能性があります。

個人と法人の株式運用、株式売買の税金の違いに関するまとめ

以上のように法人、個人と株式投資を行う場合の税金上の取り扱いは大きく異なります。

そして、株式投資を行う状況、その目的は様々です。

純粋に税金の観点から、利益を残す目的で考えると、ハイリスクな株式投資を行う場合を除いては、「個人口座で株式投資は行うべき」です。

 

これは、株式投資法人を設立する際も同じ考え方がスタートになります。

 

くどいですが、株式投資、運用で儲けることを前提とする場合、多くの利益をいかに残すかです。

そして、税金は必ず発生するコストです。

より少ないコストにするためには、低い税率を選択することが必要で、低い税率である個人口座に選択することになります。

 

さらに、法人で個人に還元する場合、役員報酬によって還元することになります。

役員報酬の場合、さらに社会保険、所得税、住民税と課せられることになるため、個人の方がさらに有利になります。

赤字と相殺できるから‥となってしまっては、本末転倒となるので、いかに利益を残すかという視点で検討されてみて下さい。

 

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