インボイス番号なしの請求書や領収書で消費税の仕入税額控除はできるのか?税理士が解説!

経理処理

佐藤修一

こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。

  • 請求書をもらったけどインボイス番号の記載がない
  • もらった領収書で記帳しようと思うけどインボイス番号が無かった

経理担当者の方でしたらこのような経験があるのではないでしょうか。

本記事では、インボイス番号の無い請求書や領収書について経理の仕方や注意事項を説明しようと思います。

是非、参考にされてください。

インボイス番号って何?

インボイス番号とは、適格請求書発行事業者の登録番号のことをいいます。

この番号が記載されていない請求書や領収書を受け取った場合でも、経費として計上することは可能です。

ただし、消費税の仕入税額控除については注意が必要です。

①経費としての処理

佐藤修一

インボイス番号が無くても経費処理はできます!

インボイス番号が記載されていない請求書や領収書であっても、取引の実態が確認できる場合は、経費として計上することができます

②消費税の仕入税額控除について

【インボイス番号がある場合】

原則として、インボイス制度の下では、仕入税額控除を受けるためには、インボイス(適格請求書)の保存が必要となります。

【インボイス番号が無い場合】

インボイス番号が無い請求書や領収書を発行している事業者は、次のいずれかに該当する可能性があります。

  • 免税事業者:インボイスの発行義務無しの事業者
  • 未登録の課税事業者:インボイス制度に未対応の事業者

この場合、仕入税額控除を受けることができません。

インボイス番号が無い場合の経過措置

インボイス番号がない請求書や領収書では「仕入税額控除」を受けることができないと解説しました。

佐藤修一

ただし、2023年10月1日から2029年9月30日までの間は、以下の経過措置が設けられています。

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経過措置の期間経過措置の内容
2023年10月1日~2026年9月30日仕入税額相当額の80%を控除可能
2026年10月1日~2029年9月30日仕入税額相当額の50%を控除可能
2029年10月以降控除不可

この経過措置により、インボイス(適格請求書)の保存がない場合でも、一定割合の仕入税額控除が認められます。

※上記は、帳簿のみの保存で控除可能な措置です。請求書などの保存が引き続き必要です。

帳簿への記載が重要

佐藤修一

経過措置の適用を受けるためにも帳簿への記載が重要です!

インボイス番号がない場合でも、帳簿に以下の情報を適正に記載すれば、経過措置の適用を受けられます。

経過措置の適用を受けるために帳簿に記載する必要がある情報

  1. 相手方の氏名・名称
  2. 取引年月日
  3. 取引内容(品目や役務の内容など)
  4. 税率ごとの金額
  5. 支払金額

少額取引の特例って何?

佐藤修一

インボイス制度の少額取引の特例はご存知ですか?

少額の取引については、以下の特例が適用される場合があります。

税込1万円未満の課税仕入れ

基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5千万円以下の課税事業者は、インボイスの保存がなくても全額控除が可能です。

少額特例は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間が適用対象期間です。

経過措置と同様に一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除ができます。

やるべき対応

インボイス番号が無い請求書や領収書を受け取った場合、次の対応をされることをお勧めします。

インボイス番号のない請求書/領収書を受け取った時にすべきこと

  1. (ただの記載もれの場合)可能であれば発行元にインボイス登録番号の記載を依頼する
  2. 相手が免税事業者であるか確認し、必要に応じて記録に残しておく
  3. 経過措置を適用できる要件を満たして一定の仕入税額控除をする
  4. 税務上の影響を考慮し、税理士などに相談をする

まとめ

本記事のまとめです。

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状況処理方法
インボイス番号無し(発行者が課税事業者)記載漏れの場合、可能であれば再発行依頼
インボイス番号無し(発行者が免税事業者)経過措置を適用し、帳簿に正確に記載
インボイス番号記載有り適格請求書として仕入税額控除可能

ただし…

  • インボイス登録をしていない事業者から受け取った請求書/領収書でも、経過措置を利用することによって一部仕入税額控除を受けることが可能
  • 経過措置を受ける場合は帳簿への保存が必要
  • インボイス制度の少額特例を使えば、基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5千万円以下の課税事業者は、インボイスの保存がなくても全額控除が可能

インボイス制度のスタートによって日々の記帳や消費税の計算が複雑になったと感じておられる方もいらっしゃると思います。

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佐藤 修一

税理士法人Accompany 代表

(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。