マネーフォワード会計やfreee(フリー)などのクラウド会計を導入すると、経理が効率化でき、スピードアップできる‥
これまでマネーフォワード会計やfreeeなどのクラウド会計を250社以上導入してきて間違いなく感じるメリットです。
マネーフォワード会計、freeeともに同じくらいの割合で導入していて、それぞれに特徴ある会計ソフトで個々の企業の経理の状況(業種、経理体制、業務フロー、資金の動きなど)によって、使い分けが可能だと感じています。
マネーフォワード会計やfreeeなどのクラウド会計の導入メリットは非常に大きいと感じていて、経理だけでなく、請求書発行、給与計算、売上管理まで行うことができ、バックオフィス業務全般の効率化、スピードアップを図ることができ、経営内容の見える化に貢献することができる便利な会計ソフトだと思います。
しかし、マネーフォワード会計やfreeeなどのクラウド会計に対して、一部過大な期待があったり、機能面について誤解があるような気がします。
そんなマネーフォワード会計やfreeeなどのクラウド会計のメリットだけでなく、導入時の注意点や苦労、ありがちな誤解についてまとめてみました。
マネーフォワード会計やfreeeなどのクラウド会計のメリット
マネーフォワード会計やfreeeなどのクラウド会計の導入メリットは具体的には以下のようなものが挙げられます。
- ・経理業務の時短
仕訳の9割が入出金⇒日付・勘定科目・金額の入力が不要 科目を選べば入力完了
1取引の入力時間:数秒 50仕訳を一括登録 200取引が数分で終わることも⇒約50倍のスピード
- ・簿記の知識があまりない方でも仕訳入力
- ・ネットがあればいつでも見れる
- ・請求、給与計算、売上管理、振込業務のプロセスの効率化
- ・各種アプリ・システム、エクセルとの連携が容易
- ・PC破損によるデータ損失リスクの回避
- ・確定申告書まで簡単作成
- ・チャットで簡単質問
そして、私自身クラウド導入するまで、税理士事務所経営者としてお恥ずかしながら、試算表をあまり見ていませんでした。
忙しいのを理由にするのではないですが、自社の数字について見たい時に見れなかったからです。
私にとって自社の数字をじっくり見て今後について考えたいタイミングは落ち着いた時間がゆっくりとれる時です。
当時事務所では、業務に追われ、落ち着いた時間は、家でしかとることができませんでした。
自宅のパソコンには、会計ソフトがインストールされておらず、自社の数字をみることがあまりなく、結果、自社の経理も数か月に1度行う程度の頻度でした。
しかし、事務所でクラウド会計導入後は、自宅のパソコンで自社の数字をゆっくりみることができるようになり、経理処理も楽になったため、自社の状況が月内に95%は把握できるようになり、数字をじっくり見ながら、今後の経営を考える機会を持つことができるようになりました。
そして、実際経営している側のギャップと実際の数字のズレを確認しながら、経営することができ、数字の大切さを今更ながらに痛感しています。
以上のようなマネーフォワード会計やfreeeなどのクラウド会計の導入による素晴らしいメリットがありますが、次は、マネーフォワード会計やfreeeなどのクラウド会計の導入時の苦労や注意点、機能に対する誤解などについて説明していきます。
マネーフォワード会計やfreeeなどのクラウド会計への良くある誤解
経営者の方や経理の方とお話ししていてマネーフォワード会計やfreeeなどのクラウド会計についての誤解について以下のようなあるように感じます。
- ・クラウドと名のつくソフトは全部同じ
- ・クラウド会計を導入すれば、何もせずに一瞬で総務・経理完了
- ・一切入力不要
- ・領収書をスマホで撮れば自動仕訳
- ・入力しづらい、使えない
- ・業績予測ができる
- ・税金の自動計算、自動予測
マネーフォワード会計やfreee以外でも弥生、ミロク、TKCなど様々な会計ソフトベンダーより「クラウド」と名のつく会計ソフトがリリースされています。
クラウドと言っても、データの保管場所がパソコン上ではなく、会計ソフトベンダーのサーバー上であったり、銀行データやクレジットカードの取得連携が他のアプリ経由であったりします。
マネーフォワード会計やfreeeの2社は、銀行データやクレジットカードデータを直接取得するため、一気通貫で経理処理まで行うことが可能です。
また、マネーフォワード会計やfreeeはそれぞれ、操作性、機能面、料金面に違いがあります。
マネーフォワード会計は、経理経験者にとって、使いやすいソフトである反面、初めて経理を行う経営者にとっては好みが分かれるところです。
また、freeeでは、視覚的に分かりやすいサポート類が豊富ですが、クレジットカードの連携がリアルタイムでない点など違いがあります。
詳しくは、マネーフォワード会計やfreeeの違いについてをご参照ください。
また、マネーフォワード会計やfreeeを導入すると入力不要で一瞬で、経理処理が済んでしまうことは残念ですがありません。
特に現金領収書や振替伝票の入力は必要になります。
確かに領収書を画像で取込み仕訳にできる機能は備わっていますが、手書きの領収書の場合は使えず、読み込みエラーも生じるため、手入力は必要になります。
マネーフォワード会計やfreeeは「入力しづらい」と聞いたので導入していないとのお声をいただくことがあります。
たしかに、マネーフォワード会計やfreeeは、インターネット上での経理処理になるため、画面の読込を行いながら、処理を行うため、インストール型の会計ソフトを使っていた方にとっては、この読込時間が最初はストレスに感じるかもしれません。
私自身、マネーフォワード会計やfreeeの導入時の最大のストレスは、この読込時間の存在でした。
しかし、操作に慣れるにつれ、読込時間のストレスはなくなっていきました。
理由は、読込時間のストレスに比べて、圧倒的に経理処理の時間短縮のメリットが大きかったためです。
そして、特にfreeeは、簿記の知識が無くても入力できるよう設計されています。
借方、貸方の概念、勘定科目についての基礎知識がなくても入力できるようになっています。
実際、経理未経験者の方でも簿記を勉強せずに入力することができるようになったお客さまもいらっしゃいます。
しかし、経理経験者の方にとってはこれが大きな壁となり、マネーフォワードがfreeeより税理士事務所や経理経験者にとって好まれる理由です。
freeeは、仕訳の入力画面に大きな戸惑いが生じたり、入力画面を見つけることができず、断念してしまうケースもあると聞いたことがあります。
これは、これまでの会計ソフトと同じ目線で操作、入力しようという前提があるため、生じてしまうと考えています。
特にfreeeの場合、発想をゼロベースに限りなく近くして、異なる目線で操作、入力しようとしないと使いにくいと感じてしまいがちです。
最後に、マネーフォワード会計やfreeeでもAIで業績予測や税金の自動計算は行うことができません。
業績予測や税金の自動計算ができれば、非常に便利だと思うのですが、今のところ実装されていない機能です。
ただ、現在、マネーフォワード会計やfreeeも自動で経理チェックできる機能は開発が進んでいて、個人的には、今後業績予測や税金の自動計算まで近い将来可能になるのではと考えています。
マネーフォワードやfreeeの導入時の注意点
以上のようにマネーフォワード会計やfreeeなどクラウド会計の導入時のメリットと良くある誤解について説明してきました。
クラウド会計にはメリットがありますが、機能的にデスクトップ版に劣る点があるのは、間違いないと思います。
クラウド会計導入には時間が数か月要する場合もあり、最初は正直大変になるケースも多いかと思います。
大変さを覚悟の上で、クラウド会計の長所を活かしきるには、クラウド会計は慣れるまで使い切れるかどうか、初期設定をしっかり行うことができるかどうかの2点が導入を成功させるには大切だと思います。
クラウド会計の導入の際には、ネットバンキング、クレジットカードの利用状況、給与計算の方法、売上計上の方法、仕入計上の方法、同じ作業を2回行っている箇所、各経理フローのタイミング・ボトルネックなどを検討することが大切です。
そして、本当にクラウド会計導入によりメリットがあるのかどうかについて検討してみて、できれば初期設定で失敗しないよう専門家に相談し、導入を進められてください。
詳しくはマネーフォワードとfreeeの機能・料金比較に関する詳しい説明をご参照ください。
また、弊所では、マネーフォワード、freeeの導入サポートを行っており、顧問契約が無いお客さまでもお申込み可能です。
佐藤修一公認会計士事務所代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716)
公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。
(株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。
全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。
総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。