製造原価を何のために計算するのか「原価計算の目的」、どのように計算するか「原価計算の方法」によって、利益が大きく異なります。
なぜなら、 原価計算の方法は数限りなく存在するからです。
個々の企業の状況にあった「製造原価の方法」はそれぞれ異なります。
原価計算の方法は、なんのために製造原価を計算するのかという目的によって決まります。
「製造原価を計算する目的」は、企業によっても様々ですが、一般的に以下のような目的があります。
・決算書を作成するため
・製品の価格を決めるため
・組織としての生産性を上げるため
・予算・計画を作成するため
そして原価計算の方法は、次のように様々です。
・ 原価計算の範囲をどうするか
‥変動費、固定費全部を含んだ「全部原価計算」又は、変動費部分のみを計算する「直接原価計算」を選ぶのか?
全部原価計算 | 直接原価計算 | |
原価計算 | 変動費 | 原価計算 |
固定費 | 原価計算の範囲外 |
・変動費、固定費の範囲をどう捉えるか
‥水道光熱費、時間外給与などの準変動費をどのように扱うか、固定費と変動費の切り分けを費目別に行うのか、最小二乗法を使うのか?
・原価計算に用いる数字を実際の支払い額にするのか、予定価格にするのか
‥予定価格で製造原価を計算する「標準原価計算」又は実際の支払額を用いる「実際原価計算」を選ぶのか?
・仕掛品、在庫の金額を実際の仕入金額にするのか、稲盛さんが発案したアメーバ会計の京セラも採用しているそれとも、売値から在庫金額を評価する「売価還元法」を用いるのか?
・部門別、工程別の原価計算を行うのか、部門間の振替価格はどう設定するのか?
・研究開発費の位置づけ、予算の配分をどうするか?
などなど、検討することは数多くあります。
原価計算の方法によって、製造原価の数字が異なります。
製造原価の数字が異なれば、売上原価の数字が変わってきます。
売上原価の数字が変われば、利益の数字が変わります。
原価計算の方法によって在庫の金額が変わります。
在庫=寝ているお金です。
在庫の金額が変わると、会社の寝ているお金の金額の認識が変わってきます。
自社の売上から売上原価を引いた粗利益がいくらなのかを把握しているでしょうか?
粗利益が出ていて初めて、長期的な資金繰りが安定します。
「決算書を作るためだけ」の製造原価の計算になってはいないでしょうか?
決算書のための原価計算では、もったいないです。
原価計算は大変になることが多くなります。
経営に役立つための原価計算にされて下さい。
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