なぜわざわざ棚卸を行う必要があるのか

経営数字の見方・活用方法

2014/05/10

2014/05/10

棚卸とは、月末時の在庫の数量をカウントすることです。

棚卸に立ち会ったことがありますが、棚卸は大変です‥

棚卸のリストを作成し、エアコンの効いていない閉店後、開店前たくさんの商品をカウントします。

「棚卸をした方がいいですよ」とよくお客様にお話しします。

忙しいお客様だと心苦しい感じがします‥

けど、棚卸をすると、3つのことが見えてきます。

①「粗利益」が把握できます。

②小売店では、万引き被害、飲食店では、在庫ロス等を把握できます。

③最後に寝ているお金を知ることができます。

今回は、「粗利益」の重要性と「粗利益」の計算方法について説明します。

粗利、粗利益、売上総利益とも言います。

売上-売上原価=粗利益、粗利、売上総利益

となります。

販売した商品に上乗せした金額が粗利益です。

粗利益が人件費、家賃等の経費の支払、税金、借入金の返済の資金源となります。

いくら売上高が大きくても、粗利益が小さければ、

忙しいばかりで資金繰りが楽になっていきません。

売上高は、入金等で把握することができます。

しかし、POSシステム等の販売、在庫管理システムを入れていない場合、
売上原価は、在庫の金額を把握しなければ、分かりません。

売上原価=期首在庫金額+当期仕入金額-期末在庫金額で計算できます。

この計算を行うには、「在庫金額」を把握する必要があります。

「在庫金額」は、棚卸を行い、在庫数量に商品単価をかけて計算することができます。

 50万円 月初在庫の仕入金額  当月売上分の商品の仕入金額⇒売上原価 140万円
 100万円 当月仕入した商品の仕入金額 当月末在庫の仕入金額 10万円
 150万円 当月販売できる商品の原価合計 当月販売できた商品の原価合計   150万円

 

当月の売上が200万円だったとします。
棚卸をした場合とそうでない場合では、把握できる数値に以下のように違いがあります。

単位:万円  棚卸をした場合
⇒「本当の利益」
棚卸をしない場合
⇒「売上-仕入」
差額 
売上  200  200  0 
売上原価  140  100  40 
粗利益(売上総利益)  60  100  40 
粗利益率
=売上÷売上原価
30%  50%  20% 

損益計算書上の粗利益に40万円、粗利率に20%の差が出ます。

棚卸を行い、粗利益を把握するか、しないかで戦略が変わってくることがあります。

新規顧客を集客し、売上高を伸ばすことは、簡単ではありません。

しかし、粗利益は自社でコントロールすることができますし、

コントロールする必要があります。

棚卸をして売上から利益重視に変更した事例はこちら

粗利益の重要性はこちら

佐藤 修一

佐藤修一公認会計士事務所代表

(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。