養子縁組を活用すると相続税の節税になります。
養子縁組により法定相続人を増やすと、基礎控除額が大きくなり、節税につながります。
しかし、養子縁組による相続税対策は、デメリットや注意点も少なくありません。
今回は、相続対策を検討中の方に向けて、相続と養子縁組のデメリットを中心に解説します。
相続のメリットを最大化するヒントとして、ご活用ください。
【相談無料】まずはお気軽に問い合わせください
兄弟が死亡した場合、相続の問題はややこしくなるケースもあります。
スムーズに法定相続人がみつからない可能性も高く、相続できる遺産がどの程度あるのか、どんな内容なのか短期間で把握し切れないこともあります。
そのため兄弟の遺産相続に関しては、プロの手を借りることがおすすめです。
佐藤修一公認会計士事務所では、豊富なノウハウを有した税理士が、相続・贈与における適切なサポートを実施します。
また、相続手続については専門家と連携しており、ワンストップで相続・贈与に関するお手続きの案内が可能です。
初めての相続に不安を感じるケースでも、丁寧かつ安心していただける形の支援を行います。
相続・贈与に関する問題をお抱えの場合には、お気軽に「佐藤修一公認会計士事務所」にご相談ください。
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弊社は福岡市にありますが、オンライン対応していますので、全国どこの方でも対応させていただいております。
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実際に、相続税を算出するときには「税理士に依頼」される方が多いです。
初めて依頼を検討される方の場合、
「相続の手続きは、どんなことが必要なの?」
という質問を受けることが多いです。
下記の記事では、
・死亡後に必要な相続手続きの流れ
・相続手続きの申告後に行う手続きの流れ
について解説しているので、こちらの記事もぜひ、読んでみてくださいね。
目次
養子縁組と相続の概要
養子縁組は、血縁関係がない人同士が法律上の親子となれる制度です。「子どもがいない夫婦が、養子縁組で子どもを迎える」「事業を継がせるために、子がいない人が養子縁組をする」などの目的で利用
されます。また、相続対策として、養子縁組を行う場合もあります。
相続で養子縁組が行われる背景
相続税がかからない基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」です。法定相続人の数が多いほど、税負担を軽減できます。この基礎控除が、相続で養子縁組が行われる背景です。
<法定相続人の数に応じた基礎控除額>
法定相続人の数 | 基礎控除額 |
1人 | 3,600万円 |
2人 | 4,200万円 |
3人 | 4,800万円 |
相続を見据えた養子縁組で多いパターン
相続のために養子縁組を行う場合、多いのは次の2パターンです。
・孫を養子にする
・子の配偶者を養子にする
法定相続人の相続順位「第一位」は「子」です。ここでいう「子」には、実子と養子が含まれます。たとえば、孫を子にする養子縁組を行えば、実子と孫それぞれに相続ができます。
相続で養子縁組を行うメリット4つ
相続時の節税につながる、養子縁組のメリットを4つ解説します。
相続税の基礎控除額が大きくなる
養子縁組によって法定相続人が増えると、相続税が非課税となる「基礎控除額」が大きくなります。
基礎控除額の計算式は「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」です。法定相続人が1人増えるごとに、600万円ずつ控除額が増加します。
生命保険金の非課税枠を増やせる
被相続人が亡くなる事によって相続人の口座に入る生命保険金も、相続税の対象です。非課税枠があり、「500万円×法定相続人数」で算出します。つまり、法定相続人が1人増えるごとに、500万円ずつ控除額が増える仕組みです。
例えば、法定相続人が配偶者と子の2名で配偶者の口座に生命保険金2,000万円が振り込まれたとします。この場合、2,000万円-500万円×法定相続人2人=1,000万円が相続税の対象になります。
ここに相続人の孫が相続人の養子になっている場合、法定相続人は配偶者・子・養子となった孫の3人となり、2,000万円-500万円×法定相続人3人=500万円が相続税の対象になります。
死亡退職金の非課税枠を増やせる
死亡退職金も相続税の課税対象で、非課税枠があります。死亡退職金の非課税枠は、生命保険と同じく「500万円×法定相続人数」で算出します。法定相続人を増やすことで、1人あたり500万円ずつ、非課税枠を増やすことが可能です。
例えば、法定相続人が配偶者と子の2名で配偶者の口座に生命保険金2,000万円が振り込まれたとします。この場合、2,000万円-500万円×法定相続人2人=1,000万円が相続税の対象になります。
ここにいわゆる配偶者の連れ子が相続人の養子になっている場合、法定相続人は配偶者・子・養子となった配偶者の連れ子の3人となり、2,000万円-500万円×法定相続人3人=500万円が相続税の対象に
なります。
相続税の税率が下がる
法定相続人が増えると基礎控除額が増え、各法定相続人に適用される相続税の税率が軽減されます。相続税は、相続財産の総額から基礎控除額を引いた額に対して課税されます。そのため、基礎控除額を増
やすことは、相続税率の軽減にもつながるといえるでしょう。
こちらの記事で相続税率についてはこちらの記事でご紹介しております。
相続で養子縁組を行うデメリット5つ
次に相続を目的に養子縁組を行うデメリットを解説します。
相続人が増えると遺産分割のトラブルが起きやすい
法定相続人が増えると、遺産分割協議に参加する人数も増えます。関係者が増えるほど人間関係が複雑化し、それぞれの主張が生まれやすくなります。
実子が「法定相続人が増えて、自分の相続分が減ってしまうかもしれない!」と不満を持つ可能性があります。
養子縁組によって法定相続人を増やす場合は、養子縁組の無効を訴えられたり、養子縁組に対する不平不満が出たりする可能性も考えておきましょう。
相続税が2割加算される場合がある
相続税には「被相続人の一親等の血族、あるいは配偶者以外が相続した場合、相続税の2割相当が加算されるというルールがあります。
例えば、孫を養子にして財産を相続させた場合、実施に財産を相続させた時に比べて納付する相続税は1.2倍になります。
相続税の2割加算は、孫を養子にした場合で適用されるため、注意が必要です。本来なら「親から子、子から孫」と2回納付すべき相続税を1回で済ませられることが、2割加算の理由とされています。
相続税対策としての養子縁組は認められない場合がある
養子縁組が相続税対策のためだけだったと見なされた場合、その養子を法定相続人に含められないと国税庁のホームページに記載されています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4170.htm
養子縁組が否認される明確な基準はありません。ただし、被相続人が亡くなる直前に行われた養子縁組は、相続対策とみなされて否認になる可能性が高いようです。
増やせる法定相続人の人数には上限がある
法定相続人として認められる養子の人数には、上限があります。国税庁のホームページには、以下のように記載されています。
・被相続人に実子がいる場合:養子は1人まで
・被相続人に実子がいない場合:養子は2人まで
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
養子の数に上限を設けるのは、相続を司る相続税法です。親子関係を成立させるだけの民法では、養子の数に制限はないため、混同しないよう注意が必要です。
養子縁組により法定相続人が減る場合がある
養子縁組をしたために法定相続人が減る、つまり基礎控除額が減るケースがあります。
被相続人に実子がいない場合、法定相続人は配偶者と父母の合計3人です。ところが養子縁組をすると養子と配偶者が相続人となり、父母は法定相続人から外れます。養子が1人の場合は、法定相続人が3人
から2人に減ってしまいます。
相続にあたり養子縁組がプラスにはたらくケース2つ
メリット・デメリットを踏まえた上で、相続にあたっての養子縁組がプラスにはたらくケースを2つ解説します。
老老相続の場合
老老相続は、相続人も高齢者の相続です。相続人が高齢者だと近い将来、また相続の問題が持ち上がります。相続人の体調が良くなく、相続にリスクが伴う可能性もあるでしょう。
老老相続を避け、孫と養子縁組をして孫に相続させると、近い将来に実子が亡くなったときの相続にも備えられます。
相続人が多額の財産を持つ場合
実子である相続人が、多額の財産を持っている場合を考えてみましょう。被相続人から財産を相続すると、もともと多い財産がさらに増えます。すると、次の相続時には、さらに多くの相続税が課される可
能性があります。
被相続人が孫を養子にして相続させると、一代分の相続税の納付を回避可能です。財産の額によっては、相続税額の2割加算を超えるメリットを得られる場合もあります。
相続における養子縁組が引き起こすトラブル事例
養子縁組を原因とする、相続トラブルの事例を3つ紹介します。
被相続人の死後、養子縁組が無効との訴えを起こしたケース
実子を持つ被相続人が、養子縁組をしていた事例です。被相続人の死後、遺産分割協議において、実子が養子縁組の無効を訴えました。
このようなケースでは、「養子縁組は財産目当て」「認知症の親が養子縁組をできるはずがない」などが、無効の理由としてよく挙げられます。当事者間の協議で収まるケースもあれば、裁判になる場合も
あります。相続対策としての養子縁組には、十分な注意が必要とわかるでしょう。
相続税申告において養子の相続権が認められなかった
養子縁組が、相続税の節税「だけ」を目的としていると判断された場合、養子が法定相続人から外される場合があります。養子を法定相続人から外す決定権を持つのは、税務署です。
養子縁組の目的が後継者の確保するためなどの明確な理由が必要です。
根拠は相続税法63条で、要点は以下です。
・養子の存在が、相続税負担を不当に軽減するとみなされる場合
・税務署長は、養子を相続人の数に入れずに税額を計算できる
養子が負債財産の受け取りを拒否した
相続では、資産だけでなく、負債をはじめとする負の財産も引き継がなければなりません。負の財産を相続したくない養子が相続を拒否し、トラブルになった事例があります。
負の財産を相続したくない場合は、資産を含めた相続そのものを拒否するしかありません。この点も、負債財産が相続トラブルにつながりやすい要因の1つです。
養子縁組をする2つの方法
養子縁組には「普通養子縁組」「特別養子縁組」の2つの方法があります。一般的に相続対策としての養子縁組では、普通養子縁組が選ばれます。
普通養子縁組の概要
普通養子縁組とは、養子縁組届の提出で成立するシンプルな養子縁組です。養親・養子の間で養子縁組の合意が持てれば、成立します。
普通養子縁組では、養子縁組成立後も、養子と実親との親子関係は法的に維持されます。そのため、養子は実親からの相続も可能です。
特別養子縁組の概要
特別養子縁組は、実親との親子関係を法的に断ち切り、養親とだけ親子関係を成立させる養子縁組です。普通養子縁組よりも要件が厳しく、相続税対策で選択されるケースはほとんどありません。養子と実
親の親子関係はなくなるため、実親からの相続権も消失します。
相続に向けて養子縁組をする前に確認したいこと
相続税対策として養子縁組を考えている人は、手続き前に2つのポイントを確認しておきましょう。
普通養子縁組は、実の親と養親の両方を相続できる
相続税節税のために行われる普通養子縁組では、養子は「養親」と「実親」から相続します。養子縁組をしても、実親との親子関係は法的に維持されるためです。将来的に、養子は相続の手続きを2回行う
ことになり、手間がかかる点を押さえておきましょう。
一度行った養子縁組の撤回は難しい
養子縁組の後に「気分が変わった」と撤回しようとしても、簡単にはできません。
養子縁組の撤回には、関係者の協議や所定の手続きが必要です。関係者の合意を得られない場合、裁判になることも考えられます。
養子縁組の前には、「養子縁組が最適解か」を十分に検討しましょう。専門家の弁護士や税理士に相談し、アドバイスを得ることもおすすめです。
相続を見据えた養子縁組は専門家に相談がベター
相続税の節税は要件が複雑です。そのため、相続税対策としての養子縁組には、慎重な判断が欠かせません。メリットはもちろん、1人ひとりのケースを踏まえたデメリットを詳細に検討し、熟慮して決め
る必要があります。
法律も深くかかわる相続税と養子縁組は、専門家に相談すると間違いないでしょう。相続税のプロである税理士や、法律のプロである弁護士など、課題に合った相談先を利用してください。
まとめ
相続税の節税に、養子縁組は有効な面があります。しかし、トラブルの元になったり、相続税が加算されたりと、注意が必要なデメリットもあります。
相続対策は時間をかけた入念な対策が必要です。佐藤修一公認会計士事務所では、被相続人と相続人のご意思を聞かせて頂きながら相続対策の提案をさせて頂いております。
相続についてお困りのことがあればいつでもお問い合わせください。初回相談は無料にさせて頂いております。
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佐藤修一公認会計士事務所代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716)
公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。
(株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。
全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。
総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。