【仕訳例付き】在庫の廃棄と会計処理を税理士がわかりやすく解説!

経理処理

在庫の廃棄に関する正しい会計処理と税務対応
佐藤修一

こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。

  • 会社の棚卸しをしたら販売出来ない商品がたくさん出てきたな
  • 台風のときに水没してしまったこの商品はもう売れないな

会社経営をしていると必ずといっていいほど直面する悩ましい問題です。

しかし、会社を経営していくためには不必要な在庫の廃棄は重要な決断の一つです。

販売できなくなった商品は、早めに見切りをつけて今後の経営に注力していきましょう!

本記事は、在庫商品の廃棄について適切な会計処理とその手続きについてお悩みを解決するために書きました。

是非、参考にされてください。

会計処理の概要

在庫を廃棄した場合の会計処理は、原則損失処理されることになります。

以下、具体的な会計処理方法をご説明します。

是非、最後まで記事を読んでみてください。

①通常の廃棄

佐藤修一

商品が陳腐化したり、破損した場合がこれに当たります。

使用ができなくなった商品や販売不可能な在庫を廃棄する場合の会計処理は、次の仕訳処理となります。

仕訳例:

  • (借方) 棚卸資産廃棄損 ×××円 / (貸方) 商品 ×××円

棚卸資産廃棄損は、「特別損失」として処理されることが多いです。

これは、正常な営業活動から生じた費用ではないため、原価の管理や粗利益・営業利益の計算に影響を及ぼさないようにするためです。

ただし、会社の方針や重要性により原価に含めて管理したり、金額が極めて僅少で、わざわざ特別損失で処理するほどの重要性が無いと判断したときは、営業外費用や販管費に含めて処理することもあります。

どの勘定科目を使用するかは、廃棄の状況や企業の会計方針によって判断されてはいかがでしょうか。

②災害による廃棄

火災や水害により廃棄が発生する場合もあります。

佐藤修一

最近は、特に台風による風水被害が甚大になる傾向にあります。

自然災害(地震、津波、台風、洪水、土砂災害(崖崩れ、土石流)、火山噴火、大雪、竜巻、干ばつ、冷夏、高潮)などでやむを得ず廃棄した場合は、特別損失として「災害損失」で会計処理します。

仕訳例:

  • (借方) 災害損失 ×××円 / (貸方 商品 ×××円

自然災害による廃棄損は、正常な営業活動以外で発生する損失であるため、原価とは切り離して「特別損失」で処理することが望ましいでしょう。

③税務上の注意点

佐藤修一

税務調査時に否認されないように疎明資料を準備しておくとよいでしょう。

不良在庫を処分した場合、その処分費用を損金として算入することができます。ただし、損金算入するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 不良在庫の発生原因が通常の企業活動によるものであること
  • 処分が適正な方法で行われていること

例えば、賞味期限切れや季節商品の型落ちによる不良在庫の処分費用は、通常の企業活動に伴うものとして損金算入が認められます。しかし、過剰な仕入れや生産による不良在庫の処分費用は、損金算入が認められない場合があります 。

また、廃棄費用に対する消費税は仕入税額控除の対象とならない点に注意してください。

棚卸資産の評価基準との関連

佐藤修一

少し難しいですが、会計基準との関係にも触れておきます。

企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」では、棚卸資産の評価方法や評価基準について定められています。

棚卸資産は、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額とすることとされています 。

そのため、この評価基準に基づいて在庫の価値が下落した場合には、評価損を計上する必要があります。

実務上の対応

最後に実務上の対応としてまとめてみました。

在庫の廃棄に際しては、以下の点に留意することが重要です。

  • 廃棄の事実を証明するための記録(写真、廃棄証明書など)を保管しておくこと
  • 廃棄理由や廃棄方法を明確に記録しておくこと
  • 税務上の要件を満たすよう、適切な手続きを行うこと

これらの対応を適切に行うことで、会計上および税務上のリスクを最小限に抑えることができます。

ご不明な点や具体的な申請手続きについては、最寄りの税理士などの専門家にご相談ください。

会社の不要在庫を整理整頓することは、経営の効率が上がるのは当然のこととして、気持ちも整理され明日からの仕事に対するモチベーションアップにもつながります。是非実行してみてください。

自社の経理をご自身で行っておられる経営者の方へ

弊社は

  • 記帳代行のみのご依頼
  • 月次顧問のご依頼
  • 年1回の決算/確定申告のご依頼

などのサービスを行っている顧問先数700社超クラウド会計導入実績300社超の税理士法人です。

  • より効率的な自計化を進めたい
  • 利益が出ているはずなのにキャッシュが減っており原因が分からない
  • クラウド会計を導入して事務負担を軽減したい

など、お客様に寄り添ったサービスの提供が可能です。

福岡市に拠点を置いておりますが、オンライン(Zoomや電話)対応も可能なため、全国どちらの地域の方でもお気軽にご利用いただけます

初回のご相談は無料ですので、会計や税務・経営に関するお悩みがある方はお気軽にご相談ください。

\24時間365日受付中

『確定申告サービス』の内容・料金については、下記のページをご覧ください。

佐藤 修一

税理士法人Accompany 代表

(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。