粗利益の重要性を資金繰りの観点からご説明したいと思います。

粗利益とは売上総利益とも呼ばれています。

粗利益とは、売上から売上原価(売った商品の購入金額)を引いた残りの金額です。

 売上  売上原価
 粗利益(売上総利益)

業績の良し悪しの判断が売上を中心に考えてしまいがちです。
確かに売上は会社にとっての中心となる収入源です。

収入源がなければ、会社は存続することはできませんので売上が重要なのは当然です。

いくら売上が大きくても、粗利益の金額が少なければ、会社に資金は残りません。
いくら売上が小さくても、粗利益の金額が大きければ、会社に資金は残っていきます。
売上から売上原価を引いた残りの粗利益が経費や借入金返済や税金を支払うための源泉となります。

これまで、売上の金額を重視し、経営していましたが、粗利益を重視し経営を始めた卸売り業のお客様の事例です。

前期 当期 差額 増減率 
 売上4248万円 4016万円△232万円 △5.5%
 売上原価3495万円 3008万円 △487万円  △14.0%
 粗利益753万円 1008万円 255万円  +33.9%
 粗利益率17.7% 25.1% 7.4%  -

売上が232万円ダウンしているにも関わらず、粗利益は255万円アップしています。

売上減少の理由は、売上の大きい得意先から受注が減少したことです。
なぜなら、その得意先の売上から粗利益があまりでていなかったからです。
売上の大きい得意先からの受注を一部断ることにお客様は、最初、かなり不安になっていました。
しかし、断った結果、資金繰りが楽になりました。
その得意先は粗利が少ないばかりか、売掛金の回収まで最大4か月かかっていたからです。

そして、これまでより忙しくなくなりました。
そして、利益率の高い他の販路を伸ばし、全体として粗利益を増やすことができました。

粗利益に着目し、経営することの第一歩は、売上と粗利益の中身を分析することから始まります。

売上の大きい取引先、商品が大切なお得意先、大切な商品とはかぎりません。

中小企業は、売上高では、経営資源が豊富な大企業に勝てません。
中小企業では、粗利益をいかに大きくするかが重要です。

薄利多売では大企業には勝てません。

中小企業のならではの「強み」を生かし、大企業より顧客への高い付加価値を提供し、粗利益を獲得する経営が理想的ではないかと思います。