【不動産業経理の方必見】競売入札のための保証金の会計処理はどうしたらよいですか?

経理処理

不動産業者が物件を購入する際の競売入札の保証金の会計処理は?
佐藤修一

こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。

不動産業に携わっていると、競売物件の入札に参加する機会があるかもしれません。

その際に必要となるのが「保証金」の支払いです。

今回は、この競売入札の保証金の会計処理について、実務的な観点からわかりやすく解説します。

競売入札の保証金とは?

競売入札に参加する際には、裁判所または管轄する執行機関に対して「入札保証金(買受申出保証金)」の預け入れが求められます。通常は、物件の評価額の1割程度です。

  • 入札で落札できなかった場合 → 保証金は全額返還されます。
  • 落札し、代金を納付した場合 → 保証金は物件代金の一部に充当されます。
  • 落札後に代金を納付できなかった場合 → 保証金は没収されます。

会計処理のポイント

ここでは、実際の数字を使って仕訳を説明します。

保証金100万円を支払った場合(入札時)

(借)土地 1,000,000 /(貸)差入保証金 1,000,000

パターン①:落札できず、保証金が返金された場合

(借)普通預金 1,000,000 /(貸)差入保証金 1,000,000

損益に影響はありません。預け入れたお金を返金する処理です。

パターン②:1,000万円で物件を落札し、保証金100万円が代金に充当された場合

保証金の不動産の代金に充当する処理と残りの代金を支払う処理が必要です。

(借)土地 9,000,000 /(貸)普通預金 9,000,000

結果として、取得原価1,000万円で土地を取得したことになります。

パターン③:落札後に代金を納付できず、保証金が没収された場合

(借)雑損失 1,000,000 /(貸)差入保証金 1,000,000

「雑損失」は、経常的でない場合は「特別損失」にしても構いません。経費計上が可能です。

税金計算上の取り扱い

状況税務上の扱い
パターン①:落札できず返金課税関係なし
パターン②:落札して充当資産取得原価に含める
パターン③:落札後に没収された費用計上が可能

会計ソフトでの入力ヒント

クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワード・弥生会計など)では、以下のように入力すると管理しやすくなります:

  • 勘定科目:「差入保証金」
  • 補助科目や備考:「○○物件競売入札保証金」
  • 取引先:「○○地方裁判所」などと入力しておくと後で整理しやすい

まとめ

不動産業において、競売物件の活用は不動産を仕入を行うのに有用です。その際、保証金の会計処理を適切に行っておくことで、後々の会計・税務処理がスムーズになります。

  • 保証金は「差入保証金」で資産計上
  • 結果に応じて返金・充当・損失の仕訳を整理
  • 税務上の取り扱いも確認する

不動産業の会計処理は他の業種に比べて、複雑で独特な場合が多いです。実際の仕訳への落とし込みが不安な場合は、税理士・会計士などの専門家にご相談ください。

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不動産に関する税務は多岐に渡り、税制改正が多いのも特徴です。

税理士法人Accompanyでは、税制改正に対応した税務サービス、節税提案をはじめとした『会計税務顧問サービス』をおこなっています。

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佐藤 修一

税理士法人Accompany 代表

(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。