freee編| 自動登録ルールを使って複数行の仕訳を一瞬で終わらせる方法を税理士が解説
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クラウド・オンライン会計


こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。
クラウド会計を使って日々の記帳をされている皆様は、
- 業務を効率化したい
- 属人的な処理を減らしたい
- 少しでも多くの時間を経営に充てたい
と考えておられる方が多いのではないでしょうか。
クラウド会計は便利なツールですが、便利な機能を最大限活かすことができなければ
「導入してみたが楽になった感覚がない」
「クラウド会計特有の操作や概念に慣れずモヤモヤする」
という結果になってしまいかねません。
本日は、5つ星のfreee認定アドバイザーである弊社が、便利な複数行仕訳の効率化について解説していきたいと思います。
本記事の内容は法人も個人事業主も共通して取り入れていただけるものになっております
ちなみにマネーフォワードクラウドでも同じように複数行仕訳のルール設定をすることが可能です。
freee会計とマネーフォワードクラウドでは設定方法が大きく異なりますので、マネーフォワードをご利用の方は下記の記事を参考になさってください。
この記事で分かること

この記事をご覧いただくと分かる内容は下記の通りです。
この記事で分かること
- 複数行仕訳とはなにか分かる
どのような仕訳が複数行(複合)仕訳なのかについて、例を用いて解説しています。 - freeeを使って複数行仕訳を効率化するとどのように楽になるのか分かる
効率化しないor効率化するの2パターンでどのように入力作業が変わるか解説しています。 - 設定の具体的な手順が分かる
どなたでもすぐに設定していただけるよう、画像付きで設定方法を解説しています。 - 設定における注意点・大切なポイントが分かる
実際に設定する際のワンポイントアドバイスについて解説しています。
それでは早速見ていきましょう!
【相談無料】まずはお気軽に問い合わせください
初回無料のご相談をオンライン(ZOOMなど)や電話で受け付けております。
- freeeを導入してみたけど経理の効率化が進んでいない
- 自計化したいが設定が難しくてできない
という方は、ぜひ一度ご相談いただけたら幸いです。
また、クラウド会計のデータを経営に活用する「税務顧問契約」のサービスも提供しております。
弊社は福岡県にありますが、オンラインで全国対応させていただいております。
まずは下記フォームよりお問合せをお待ちしております。
\24時間365日受付中 /
『経理のDX化』のサービス内容・料金については、下記のページをご覧ください。
複数行仕訳ってなに?
日々の記帳は複式簿記のルールに則って行いますが、
仕訳は借方(左側)と貸方(右側)に勘定科目と金額を当てはめていくと完成します。
基本的には下記のように一行で仕訳が完結するのですが…
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
消耗品費 | 1,000円 | 現金 | 1,000円 |
なかには2行以上に分けなければ仕訳が完結しない取引もあります。
これを複数行仕訳(複合仕訳)といいます。
本記事では上記のような仕訳を「複数行仕訳」と統一して解説していきます。
下記によくある3つの例をご用意いたしました。
【例1】借入金の返済仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
長期借入金 | 30,000円 | 預金 | 32,000円 |
支払利息 | 2,000円 |

これは「借入金の返済として32,000円預金から引き落とされた。内訳は元本が30,000円と利息が2,000円」という意味の仕訳です。
次は給与の支払い時の仕訳です。
【例2】給与支払時の仕訳
前提として、下記仕訳の前月に
給料手当 250,000円 / 未払費用 250,000 という仕訳をしているものとします。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
未払費用 | 250,000円 | 預り金(社会保険料) | 20,000円 |
預り金(源泉所得税) | 3,000円 | ||
預り金(住民税) | 6,000円 | ||
預金 | 221,000円 |

これは「25万円の給料を翌月支払う時に社会保険料と源泉所得税と住民税を天引きし、残りを預金から支払った」という意味の仕訳です。
次は税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士などの士業へ報酬を支払った時の仕訳です。
【例3】士業へ報酬を支払った時
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支払報酬料 | 11,000円 | 預り金(報酬源泉) | 1,021円 |
預金 | 9,979円 |

これは「11,000円の報酬に対して報酬源泉1,021円を差し引いた9,979円を預金から支払った」という意味の仕訳です。
それでは、このような複数行仕訳を
- 効率化せずに手作業で記帳しようとした場合
- freee特有の時短技を使って記帳しようとした場合
の2パターンをそれぞれ比較してみたいと思います。
どれくらい便利になるのでしょうか?
実際の操作画面を動画でキャプチャーし、かかった時間を比較してみました。
下記は弊社のテストアカウントで実際にひとつひとつ手入力していった場合の動画です。
編集で2倍速にしていますが、3つの仕訳をするのに1分30秒かかりました。
これが
- 借り入れは全部で2本
- 給与を支払う従業員は5名
- 税理士と社会保険労務士へ2名
など、取引が増えればその分仕訳にかかる時間は必然的に長くなっていきます。

この仕訳を本ブログで紹介する時短技を使うと一体何秒で完了するのでしょうか?
それでは実際に見てみましょう。
こちらも編集で2倍速にしているのですが、かかった時間はさっきの1/3の30秒です。
あらかじめ設定をするだけで、これだけ楽に仕訳をすることができるのです。
また仕訳の行数が増えていったり、使用する品目が増えていったりするとミスが起こりやすくなるため、
間違いを防ぐ意味も含めてこのような仕訳の方法が便利です。

ここまでは効率化すればどんな風に仕訳ができるのか?実際の会計画面を使ってご覧いただきました。次は実際に設定方法を解説していきたいと思います。
複数行仕訳を効率化する具体的な方法とは?
具体的な手順を解説していく前に、前提とする条件がございますのでそちらをご説明いたします。
- freeeに連携もしくはインポートして、明細の一覧に表示される取引が対象
- 活用する機能は「取引テンプレート」と「自動登録ルール」の2つ
です。
そのため、
- API連携可能な金融機関やクレジットカードは事前に登録しておく
- API連携できない金融機関やクレジットカードの明細は事前にインポートしておく
- 現金取引があれば現金出納帳をインポートしておく
必要がございますのでご注意ください。
これから具体的な手順を解説していきますが、全体の流れとしては下記の通りです。
複数行仕訳効率化までの流れ
- 明細の一覧に対象の取引があるか確認(なければ連携or明細をインポート)
- 「取引テンプレート」を作成し、呼び出したい仕訳の形や金額・品目などを決めておく
- 「自動登録ルール」を使い、特定の取引に対して上記2のテンプレートが発動するように設定
- 明細の一覧の画面で自動登録ルールを適用させる
- 完了
「取引テンプレート」とは、頻繁に発生する同じ取引の入力を効率化するために用意された機能で、2行以上の仕訳であっても、事前に登録しておくことで最小限の入力で仕訳が完成するものです。
「自動登録ルール」とは、摘要や金額を指定することで、あらかじめ「この内容の明細は、このように取引を登録する」と決めることができ、入力を効率化できる機能です。

ちなみに自動登録ルールを活用すれば勘定科目の選択から「登録」まで完全に自動化することもできます。
それではいよいよ手順のご説明に入りたいと思います。
【手順1】取引テンプレートの作成
まずは取引テンプレートの作成から始めます。
freee会計トップ画面の左にあるメニューバー「入力効率化」から「取引テンプレート」を選択しましょう。

新規作成を押して、「呼び出したい複数行仕訳の形」をここで登録しておきます。
ここでは借入金の返済仕訳を例にしたいと思います。

最低限設定しておきたい項目 | 内容 |
---|---|
テンプレート名 | どんな内容のテンプレートを設定したか覚えやすい内容にしましょう |
収入/支出 | 収入に対するテンプレートか、支出に対するテンプレートか指定します |
口座 | 支払いをする銀行やクレジットカードが分かっていれば入力しましょう。入力しなくても設定は可能なので飛ばしてもOKです。 |
勘定科目 | 呼び出したい科目を入力しましょう |
金額 | 毎回金額が決まっている取引であれば入力しておくと便利です(借入金の元本など) |
取引先や品目などのタグ | ご自身で管理しているタグがあれば入力しておきましょう |
ぞれぞれの項目の入力が完了したら「保存」を押します。
これで取引テンプレートの設定は完了です。
【手順2】対象の取引がなんという摘要で表示されているか確認
自動登録ルールを設定する前に、明細の一覧を開いて対象の取引がなんという摘要で表示されているか確認しましょう。
この例では「証書貸付」となっています。

ここで必要があれば摘要をコピーしておきましょう。
次に設定する自動登録ルールでは摘要が合致する明細を対象にルールを設定しますので、
明細の一覧に表示されている摘要と違う文字列を使ってルールを指定するとうまく設定ができません。
【手順3】自動登録ルールを新規作成し、取引テンプレートを紐づける
続いて自動登録ルールの設定に進んでいきます。
自動登録ルールはfreee会計のトップ画面の左メニュー「入力効率化」から「自動登録ルール」を選択してください。

「新規作成」ボタンを押して、設定していきます。

ここで設定する項目は下記の通りです。
最低限設定しておきたい項目 | 内容 |
---|---|
収支区分 | 収入と支出どちらに対するルール作りなのか指定します |
取引口座 | 設定必須ではないですが、違う口座で同じような取引がある場合は設定しておけば区別できます |
取引内容 | 前方一致や部分一致など選べます。 基本的には部分一致でOKです。 ここには先ほどコピーしておいた「摘要」を貼り付けましょう。 |
優先度 | 数字が高いほどルールの優先度が高くなります。 |
上記の条件に一致したとき行う処理 | ここでは「取引テンプレートを推測する」を選択します。 |
取引テンプレート | 先ほど作成した取引テンプレートを選択します。 |
この自動登録ルールは少しわかりづらいのですが、
明細の一覧に取り込まれた取引から「摘要」が一致するものを探して特定の処理をする。
摘要が一致した場合に先ほど登録しておいた取引テンプレートを呼び出す。
という流れとなっています。
【手順4】明細の一覧の取引に自動登録ルールを適用させる
設定完了まであと少しです!
次は明細の一覧に表示されている取引に自動登録ルールを適用していきます。
ここでは
- 対象の明細を選択
- 一括操作をクリック
- 自動登録ルールをクリック
- 適用する
という順番で設定していきます!
【手順5】対象の取引を選択して登録する
これで設定はすべて完了しましたので、対象の明細をクリックしてから必要項目を入力し、登録するだけでOKです。

ここで想定通りに自動登録ルールが働いていれば、
「内訳を確認してください(自動登録ルールに合致)」という表記が出ます。
その後は「詳細」ボタンをクリックし、
必要な項目(ここでは支払利息の金額)を追加で入力し、登録すれば終わりです!


具体的な設定方法は以上となりますが、いかがでしょうか?
手順をすべて記憶しておくのは大変だと思うので、設定のたびにこちらのページを参考にしていただければと思います。
最後に、設定の際のワンポイントアドバイスをまとめたいと思います。
設定の際のワンポイントアドバイス
自動登録ルール適用直後は明細が消えたように見えるが問題ない
こちらは私が初めてルールの設定をした際、実際に経験したことなのですが、
自動登録ルールを「適用する」をクリックした後は対象の明細が一時的に画面から消えます。
この時私は「間違えて削除してしまった?」と勘違いして焦ったのですが、問題ありませんのでご安心ください。


自動登録ルールが適用されるまでの間、一時的に明細が非表示になっているだけです。
「同じ摘要」だが「違うルールを適用させたい」ときは金額で絞り込む
こちらも実務で実際に起こることです。
例えば借り入れを複数している場合は「証書貸付」という明細が複数出てきます。
摘要は同じだけど違うルールを適用させたいときは、取引金額で絞り込んで自動登録ルールを作成すれば問題ありません。
借り入れが2つあるケース | 対処方法 |
---|---|
毎月の返済額が45,000円くらいの借入① | 自動登録ルールの金額を43,000円~47,000円などで登録する |
毎月の返済額が20,000円くらいの借入② | 自動登録ルールの金額を18,000円~22,000円などで登録する |
上記のように設定すれば、たとえ摘要が同じ「証書貸付」であっても、金額もあわせてルールの適用がなされますので2つの借り入れが混同する心配はありません。

ただし、返済額がほとんど同じ借り入れが複数ある場合に関しては金額での判別も難しくなるため、ルールの運用はできません。
(稀ですが、実際にあるケースです)
毎月定額の同じ取引があれば金額まで入れて設定しておくのがベター
毎月記帳をする際に入力する項目は少なければ少ないほど作業が効率化できます。
そのため、
- 毎月顧問料も源泉の金額も変わらない士業への支払い
- 振込金額に振込手数料330円が含まれていて毎回分けるのが面倒
などの場合は金額まで指定した状態で取引テンプレートを作成しておくと、作業が一段階楽になります。
ただし、
- 元利均等の借入金(元本が毎月変動する)なのに元本の金額を入力する
- 金額が変動する可能性のある社会保険料や源泉所得税・住民税まで金額を入力する
ということをしてしまうと、取引テンプレートに入っている金額を毎回訂正することになってしまい、反対に作業を非効率にしてしまいますのでご注意ください。
テンプレートやルールはいつでも編集できる
取引テンプレートや自動登録ルールの設定は一発勝負ではなく、必要に応じて編集することができます。
そのため、一旦ルールを設定してみてうまくいかなければ編集できますので、まずは気楽に設定してみることをおすすめします。
大量の明細を処理する時は、まずはルールの設定が必要そうなものから着手する
弊社では2~3か月に1回だけ記帳代行をしているケースや、
年に1回決算や確定申告の時だけ記帳代行をしているケースがあります。
長い期間の会計処理をする際は
「明細の一覧に連携されている明細が数百件ある!!!」
というケースもあります。
このような場合は、
- まずは自動登録ルールの設定が必要そうな明細を洗い出す
- 一度に自動登録ルールの設定を済ませる
- まとめて自動登録ルールの適用をする
という方法がオススメです。
理由としては、前述したように、「自動登録ルール適用中の明細は一時的に非表示になる」ため、しばらくの間作業ができないからです。
そのためあらかじめルールの設定をしておき、
自動登録ルールを適用させている間に他の明細を処理する。
という方法が最も効率的です。
初回設定の手間を惜しまない
限られた時間の中で記帳をしていると、1分や2分でさえ惜しい!という場面もあると思います。
そういった状況の中では思わずルールの設定をせずに「とりあえず全部手入力」してしまいがちです。
しかし、初回の設定をきちんとしておけば
- 作業スピードが1/3以下になる
- 作業担当者が変わっても時間を浪費したりタグをつけ忘れたりせずに仕訳ができる
という風にメリットは非常に大きいです。
数分の手間を惜しむことなく経理効率化の一歩としてテンプレートとルールの作成に取り組めるといいですね。

少しでも経理が楽になるよう工夫をして、クラウド会計のメリットを最大限活かせるようにしていきましょう!
【相談無料】まずはお気軽に問い合わせください
初回無料のご相談をオンライン(ZOOMなど)や電話で受け付けております。
- freeeを導入してみたけど経理の効率化が進んでいない
- 自計化したいが設定が難しくてできない
という方は、ぜひ一度ご相談いただけたら幸いです。
また、クラウド会計のデータを経営に活用する「税務顧問契約」のサービスも提供しております。
弊社は福岡県にありますが、オンラインで全国対応させていただいております。
まずは下記フォームよりお問合せをお待ちしております。
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佐藤 修一
税理士法人Accompany 代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。