不動産業編|印紙税とは何?契約書や領収書に必ず貼らないといけないの?
経理処理


こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。
今回は印紙税についてご説明します。
印紙税は、国内において特定の文書を作成する際に課税される税金です。
この税は、主にビジネス上の取引に関連する文書に適用されます。
これを課税文書と言います。
つまり、課税文書を作成することにより課税されます。
印紙税は以外と細かな規定があります。
今回は不動産業の印紙税に絞ってお伝えします。
是非、参考にされてください。
印紙税が必要な契約書の例
①不動産売買契約書
不動産売買契約書は、土地や建物などの不動産を売買する際に、売主と買主との間で締結される契約書です。不動産売買契約書の印紙税は次のことを覚えておいてください。
- 不動産の売買契約書は、印紙税法上の「第1号の1文書」に該当し、契約金額に応じた印紙税が課されます。
- 契約金額が1万円以上から、印紙税が必要です。
②金銭消費貸借契約書(住宅ローン契約など)
住宅ローンなどの金銭消費貸借契約書も印紙税の対象となります。
金銭消費貸借契約書(借用書含む)も日本の印紙税法では不動産契約書同様に「第1号文書」に該当し、契約書に記載された金額に応じて収入印紙の貼付が必要です。
③工事請負契約書
建物の建築やリフォームに関する工事請負契約書も、契約金額に応じて印紙税が課されます。
工事請負契約書は、日本の印紙税法で「第2号文書」に該当し、契約金額に応じて収入印紙の貼付が必要です。
建設工事(建設業法対象)の場合は令和9年3月31日まで軽減措置があり、印紙額は半額程度で済みます。
④事管理委託契約書
不動産管理会社との管理委託契約書は、業務内容によって印紙税の対象となる場合があります。
事務管理委託契約書(管理委託契約書)は、その内容によって「請負契約書」(第2号文書)または「継続的取引の基本契約」(第7号文書)として扱われ、印紙税が必要になるケースがあります。
⑴ 請負契約書(第2号文書)の場合
契約内容に「清掃」「保守管理」「修繕」といった成果物または仕事の完成責任がある業務が含まれる場合、請負として扱われます。(例:建物メンテ・設備管理)
⑵ 継続的取引の基本契約(第7号文書)の場合
- 毎月の定額報酬などの継続的な取引条件が明記されており、契約金額が不明確または計算不能な場合は、7号文書として扱われ、一律4,000円の印紙税となります。
- ただし、期間が3ヶ月以内かつ更新なしで金額不明なら非課税です。
④領収書
印紙税が不要なケース

印紙税が不要な文書もあります。
以下の文書には印紙税がかかりません。
- 契約金額が1万円未満の契約書
- 5万円未満の領収書
- 不動産の賃貸借契約書(建物の賃貸借契約書は原則として印紙税が課されません)
- 電子契約(PDFやクラウドサインなど)で作成された契約書
印紙税を軽減する方法
令和9年(2027年)3月31日までに作成される不動産売買契約書については、契約金額が10万円を超える場合、印紙税の軽減措置が適用されます。
印紙税を貼らないとどうなるか
印紙税の注意点をお伝えします。
①具体的なリスク
⑴ 少額取引を装った場合
金額分割による少額取引を装うと脱税とみなされるリスクがあります。
⑵ 電子契約後の書面の交付
電子契約後に紙を原本として交付すると、その紙は課税対象になる可能性が高いです。
②具体的なペナルティ
⑴ 過怠税によるペナルティ
印紙の貼り忘れや金額不足の場合、納付すべき印紙税額の3倍が過怠税として課税されます。
消印を忘れると、その額面相当額(本税と合わせると2倍)が課税されます。
税務署へ未納額を自主申告した場合は、過怠税が印紙税額の1.1倍に軽減されます。
⑵ 刑事罰の可能性
不正な手段で印紙税を免れた場合には、3年以下の懲役または100万円以下の罰金(併科の可能性あり)が科される可能税があります。
また、単に印紙を貼らなかった場合でも1年以下の禁固または50万円以下の罰金が、消印忘れの場合でも30万円以下の罰金が科される可能性があります。
⑶ 追徴額・財務負担
例として、某コンビニエンスストアで60万通の課税文書で200円の貼り付け漏れが発覚しました。その納付漏れによる税額は約1.2億円にものぼり、過怠税が約1.5億円の追徴をされたケースもあります。
⑷ 税務調査
過去5年間の課税文書が対象となり、遡及して追徴課税される可能性があります。
大量生産や定型取引の文書には、特に重点的に調査が及ぶ可能性があります。
⑸ 信用リスク
印紙税法違反が発覚し報道されると、企業のイメージや取引先・お客様からの信頼の低下に繋がる可能性があります。
特に脱税として世間に受け止められると、風評被害も発生しやすく、回復に時間とコストがかかります。
不動産業でよくある質問
①仲介業務での「媒介契約書」には印紙税が必要ですか?
不要です。媒介契約書は印紙税法上の課税文書に該当しません。
②売買契約書をPDFでやりとりしたらどうなりますか?
電子により作成・保存される文書には印紙税はかかりません。
ただし、紙に出力して署名捺印した場合は課税されるので注意してください。
③建物の建築請負契約はどうなりますか?
金額に応じて印紙税が課されます。売買契約とは別に注意が必要です。
最後に
不動産取引では1件ごとの金額が大きいため、印紙税の額も高額になりがちです。
また、税務調査で未納が発覚すると3倍の過怠税が課されることもあるため、非常に重要です。
ご不明な点や具体的な手続きについては、最寄りの税理士などの専門家にご相談ください。
印紙税を知ることは、コスト管理などの節税につながるのは当然のこととして、電子契約書に移行するなど事務作業の効率化にもつながります。是非実行してみてください。
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佐藤 修一
税理士法人Accompany 代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。