
こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。
今日は不動産業の会計処理に関する解説をさせていただきます。
不動産業は物件の売買・賃貸・管理・仲介など同じ不動産業であっても事業内容はさまざまです。
この記事では、賃貸仲介業や売買仲介業のお仕事をされている方へ向けて、仲介手数料の会計処理について解説いたします。
記事の前半では「不動産売買仲介」をしている方向けに、その後に「不動産賃貸仲介」をしている方向けに、それぞれに仕訳方法を分かりやすく紹介しています。
また、会計で売上とすべき日(売上の計上のタイミング)や消費税の区分についても解説していますので、最後までご覧になっていただけると嬉しいです。
早速ですが、実際の仕訳方法を解説していきたいと思います。
目次
不動産売買手数料の売上の仕訳方法は?
ここでは売買仲介手数料の仕訳方法を解説します。
売買仲介手数料は物件の建物や土地の代金と混ぜずに、手数料だけを受け取ることが多いのではないかと思いますので、仕訳は比較的シンプルです。
【売上発生時】
| 普通預金 | ××× | 売上 | ××× |
入金があとになる場合
【売上発生時】
| 売掛金 | ××× | 売上 | ××× |
【売掛金入金時】
| 普通預金 | ××× | 売掛金 | ××× |
賃貸仲介手数料の売上の仕訳方法は?
不動産賃貸仲介の仲介手数料売上の仕訳方法は下記の通りです。
仲介手数料だけを入居者から受け取る場合
| 普通預金 | ××× | 売上 | ××× |
入金があとになる場合
【売上発生時】
| 売掛金 | ××× | 売上 | ××× |
【売掛金入金時】
| 普通預金 | ××× | 売掛金 | ××× |
初期費用の中に仲介手数料が混ざっている場合
不動産の賃貸仲介手数料を受け取る時は、①入居者 ②管理会社・オーナー ③仲介をした事業者の3者が取り引きに関わり、お金の流れが少し複雑になることがあります。
下記では、
- 入居者が入居初期費用をまとめて仲介事業者に送金
- その後に仲介事業者が賃貸仲介手数料分を差し引いて、残りを管理会社・オーナーに送金するパターンの仕訳例を解説しています。
【入居者から初期費用を受け取った時】
| 普通預金 | 100 | 売上 | 20 |
| 預り金 | 80 |
ここでいう「売上」は賃貸仲介手数料のことです。
そして、「預り金」は賃料や敷金・礼金・鍵交換代など、管理会社やオーナーに後で送金するものをまとめて「預り金」と表現しています。
一旦受け取って、後で送金するので売上ではありません。
【管理会社・オーナーに送金する時】
| 預り金 | 80 | 普通預金 | 80 |
ここで預かった金額と同額を管理会社やオーナーに支払えば、会計上の預り金残高はゼロになって会計処理が完了します。
貸借対照表の預り金の残高を確認して、残高に端数が残っていないか、マイナスになっていないか確認しましょう。
ここまで仲介手数料の仕訳方法を解説しましたが、実際に皆さんのお手元でも仕訳ができそうでしょうか?
続いては「売上を計上すべきタイミング」についての説明です。
売上計上のタイミングについて
会計で「いつ売上にするか」という判断は非常に重要です。(収益認識基準)
事業者の都合に合わせて早く計上したり、遅く計上したりすることはできません。
また、売掛金入金時にそのまま売上にしていると、
- 期首に前期末の売上が混ざってしまう
- 期末に売上が漏れて来期にずれてしまう
というリスクがあります。
そのため、何月何日に売上を立てるか?というのは大切なポイントとなりますので注意しましょう。
売買仲介売上の計上のタイミング
売買仲介なら、原則として売買契約締結日(契約基準)が売上の計上日となります。
契約が成立した時点で仲介としての役務(引き合わせ・条件交渉)は完了したとみなされるためです。
例外として、引渡完了日(引渡基準) を計上日とすることもあります。
実務上、決済・引渡しまで責任を持つことが多いため、引渡日に売上を計上することも認められています。
ただし、一度決めた基準は継続して適用する必要があるため、今回の案件は契約基準、次の案件は引渡基準にする、など、都度計上のタイミングを変更することは認められていません。
賃貸仲介売上の計上のタイミング
賃貸仲介の場合、一般的には「入居日(賃貸借開始日)」または「契約締結日」が売上の計上のタイミングとなります。
多くの会社では、契約手続きが完了し、鍵渡しを行うタイミングで役務提供が完了したとみなします。
最後に仲介手数料の消費税の区分について解説します。
仲介手数料売上の消費税の区分は?
消費税の計算方法が原則(一般課税)の場合、仲介手数料売上の消費税の区分は、売買・賃貸共通して「課税売上10%」となります。
また、簡易課税を選択している場合、消費税の区分は課税売上第6種となります。
そして、免税事業者の場合は税区分を会計ソフトに入力する必要はありません。
仲介手数料は、物件を仲介するという役務の提供に対して受け取る対価ですので、「建物は課税で、土地は非課税だけど税区分はどうなるんだろう?」と悩む必要はありません。
主要会計ソフトで表示される税区分名は?
会計ソフトによって税区分についている名前が違うことがあるため、ここでは主要会計ソフト3社では「具体的になんという名前の税区分を選択すればよいか」解説しています。
1. マネーフォワード(MFクラウド)
仕訳入力画面の「税区分」欄で [課売 10%] を選択します。
※インボイス制度開始後、仕入(支払)側は複雑になりましたが、売上側は基本的にこの区分でOKです。
2. freee(フリー)
「収支:収入」で登録すると、デフォルトで [課税売上 10%] が適用されます。 freeeの場合は「品目」タグを使って「賃貸」「売買」を分ける管理手法もよく使われます。
freeeのタグ機能について詳しく解説した記事はこちらです。
3. 弥生会計(デスクトップ・オンライン)
仕訳日記帳などの税区分欄で [課税売上10%] または [課売10] と入力・選択します。 (簡易課税を選択している場合は、[課税売上一(二)種10%] のように種別がついた区分を選びます)
注意点
居住用物件の賃貸料(家賃)や土地の売買は非課税ですが、不動産会社が受け取る「仲介手数料」は、賃貸・売買・居住用・事業用問わず、すべて「課税売上10%」です。
預り金の処理: 火災保険料や保証会社への初回保証料など、一時的に預かって横に流すだけの資金は、売上ではなく「預り金(対象外)」として処理するため、税区分は「対象外」になります。
まとめ
賃貸仲介でも売買仲介でも基本的には以下の仕訳となります。
| 売掛金or普通預金 | ××× | 売上 | ××× |
ただし、賃料や敷金・礼金・鍵交換代など、管理会社やオーナーに後で送金するものはまとめて「預り金」となります。
また、仲介手数料売上の消費税の区分は、原則、売買・賃貸共通して「課税売上10%」となります。
【相談無料】まずはお気軽に問い合わせください
不動産に関する税務は多岐に渡り、税制改正が多いのも特徴です。
税理士法人Accompanyでは、税制改正に対応した税務サービス、節税提案をはじめとした『会計税務顧問サービス』をおこなっています。
また、不動産に関する会計は取引が複雑なこともあり、会計帳簿の作成の難易度が高いです。
日々の会計帳簿の作成に困っている企業様も多いかと思います。弊社では会計処理のお手伝いのサービスも行っております。
「不動産業におけるインボイス対応」も含め、不動産に関する会計・税務にお悩みの方は、ぜひ一度、ご相談頂けたら幸いです(初回相談は無料)。
福岡市に拠点を置いておりますが、オンライン(Zoomや電話)対応も可能なため、全国どちらの地域の方でもお気軽にご利用いただけます。
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佐藤 修一
税理士法人Accompany 代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。







