
こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。
毎月の経理作業、特に「領収書の山を会計ソフトに1枚ずつ入力する作業」に、多くの時間を奪われていませんか?
「この単純作業がなければ、もっと経営分析や本業に集中できるのに……」 そう感じている経営者様や経理担当者様は多いはずです。
昨今、Googleの生成AI「Gemini(ジェミニ)」を活用し、この入力業務を自動化する手法が確立されつつあります。
今回は、従来のOCR(文字認識)ソフトよりも正確かつ柔軟で、コストをかけずに導入できる「AI×記帳」の実践ノウハウを公開します。
この方法を業務フローに組み込むことで、経理入力に割く時間を従来の「20%」程度まで削減(80%カット)し、バックオフィス業務の生産性を飛躍的に高めることが可能です。
なぜ「Gemini」なのか?
これまでも領収書を読み取るツールは存在したものの、読取精度やコストの面で導入を見送るケースが少なくありませんでした。
しかし、GoogleのAI「Gemini」は、ビジネスユースに耐えうる以下の特長を持っています。
- 圧倒的な画像認識能力(マルチモーダル):Googleレンズなどの技術背景を持つため、他の生成AIと比較しても**「文字を読み取る目」の精度が極めて高い**のが特徴です。画像データをそのまま渡すだけで、内容を正確にテキスト化します。
- 文脈理解による「推測」: 単に文字を拾うだけでなく、取引の内容から勘定科目を推測します。これにより、人間が考えるのと近い感覚でデータ化が行われます。
- 圧倒的なコストパフォーマンス: 通常、高精度のOCRソフトや経理特化型のAIツールを導入するには、それなりの月額費用がかかります。しかし、GeminiはGoogleアカウントさえあれば基本機能は無料で利用可能です。また有料版であっても、800円~2500円程度で、業務効率化を始められる点は大きな魅力です。
このように、「高い認識精度」と「人間のような判断力」を持ちながら、導入ハードルが極めて低いことこそが、私たちがGeminiをおすすめする最大の理由です。
では、実際にこの強力なツールを使ってどのように記帳を自動化するのか、具体的な手順を見ていきましょう。
実践!Geminiで領収書入力を自動化する4ステップ
それでは、具体的な手順を解説します。
今回は、主要な会計ソフト(freee、弥生会計、マネーフォワードなど)への取込を想定した流れです。
手順① 領収書のスキャンデータを用意する
まずは、手元にある領収書等の証憑書類をデータ化します。
複合機でのスキャン(PDF化)が最も鮮明ですが、スキャナがない場合はスマホで撮影した写真データ(JPG/PNG)でも問題ありません。
ポイントは「目視で文字が読める状態であること」です。
当然ながら、インクが薄れて文字が消えてしまっているものは、AIでも読み取ることはできません。
しかし、人間が見て文字が読める状態であれば、多少の傾きや影があってもAIが補正して認識します。
手順② データをAI(Gemini)にアップロードする
ここが大事です。 GoogleのGemini(https://gemini.google.com/ )を開き、入力欄にある「チャットを新規作成」を押して、先ほどの領収書画像をアップロードと、AIへの指示(プロンプト)を書きます。ここでの指示の出し方が成功の鍵です。
ただし、AIが提案する勘定科目は、あくまで一般的な商慣習に基づいた予測に過ぎません。
事業者様によっては「ウチでは飲食代は交際費ではなく『会議費』にしている」「Amazonでの購入は『消耗品』ではなく『仕入』」といった独自の経理ルールがあるかと思います。
その場合は、下記のプロンプトに「飲食代はすべて会議費にして」「〇〇店への支払いは仕入高にして」といった個別の指示を書き加えることで、より自社の実情に合った「精度の高い」の仕訳データを作成してもらうことができます。
【指示文の一例(プロンプト)】
添付の領収書画像を解析してください。 以下の項目を抽出し、[お使いの会計ソフト名]でインポート可能なCSV形式(カンマ区切り)で出力してください。
出力項目:
- 取引日(yyyy/mm/dd形式)
- 借方金額
- 借方勘定科目(内容から推測すること。例:飲食代→接待交際費、タクシー→旅費交通費)
- 摘要(支払先名と品目を記載)
- 貸方勘定科目(「現金」または「未払金」など)
※表形式ではなく、コードブロックでCSVデータのみを出力してください。
手順③ インポート用データを抽出してもらう
指示を送ると、Geminiが画像を解析し始めます。
数秒から数十秒程度で、指示した形式に整形されたCSVデータが出力されます。
前述の通り、Geminiは文脈を理解するため、例えば居酒屋の領収書であれば「接待交際費」、ガソリンスタンドであれば「車両費」といったように、適切な科目が割り当てられた状態でデータが生成されます。
出力されたデータは、「コピー」ボタンを押して取得し、メモ帳やExcelに貼り付けて「import.csv」などの名前で保存してください。
手順④ 会計ソフトにインポートして完了
最後に、ご利用中の会計ソフト(freee、弥生、MFなど)の「仕訳インポート」や「明細アップロード」機能を使用し、保存したファイルを読み込みます。
これにより、手入力であれば数時間かかる作業が、数十分で完了します。
プロの視点からの注意点とアドバイス
非常に強力なツールですが、業務利用にあたっては以下の2点にご留意ください。
- 必ず人の目による最終確認(監査)を行う:AIの精度は高いですが、100%ではありません。稀に数値の誤読や、科目の判断ミスが発生します。インポート前後のチェック体制は必ず設けてください。
- 機密情報の取り扱い :無料版のAIサービスは、入力データが学習に利用される可能性があります。企業の機密情報を含む場合は、有料版(Gemini AdvancedやGoogle Workspace版)の利用や、マスキング処理などのセキュリティ対策が必須です。
「領収書入力」という単純作業をAIに任せることで、業務効率化につながり、より付加価値の高い業務に時間を割くことができます。
まずは身近な領収書数枚から、Geminiの精度を試してみてください。その効率性を実感いただけるはずです。
一方で、「AIの導入方法が不安」「自社の会計ソフトに合わせた具体的な設定をしてほしい」「セキュリティ面を考慮した業務フローを構築したい」といったご要望もあるかと存じます。
当事務所では、単なる記帳代行だけでなく、こうした最新ツールを活用した「経理業務の効率化・DX支援」も積極的に行っております。
「AIを活用して経理の手間を減らしたい」とお考えの経営者様は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。貴社に最適なフローをご提案いたします。
佐藤 修一
税理士法人Accompany 代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。


