【仕訳例付き】給与源泉・報酬源泉の源泉所得税を補助科目で正しく管理

経理処理

佐藤修一

こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。

源泉所得税の仕訳、すべて「預り金」でまとめて記帳していませんか?

実は、給与から天引きする「給与源泉」 と 税理士・弁護士など専門家への報酬にかかる「報酬源泉」 は、性質が異なるため会計ソフト上ではきちんと区別して管理するのがおすすめです。

特に会計ソフトを使っている方なら、補助科目や品目で分けて仕訳しておくことで

  • 残高の確認がすぐできる
  • 年末調整や法定調書の作成時に集計作業が楽になる
  • 「預り金の残高が合わない!」というトラブルを防げる

といった実務上のメリットがあります。

本記事では、給与源泉・報酬源泉それぞれの仕訳例を紹介しながら、補助科目を使った管理方法とそのメリットを解説します。

なぜ補助科目を分けた方がいいのか?

源泉所得税には、大きく分けて次の2つがあります。

  • 給与源泉:従業員に給与を支払う際、所得税を天引きして国に納めるもの
  • 報酬源泉:税理士・弁護士・司法書士など専門家に報酬を支払う際、所得税を天引きして国に納めるもの

同じ「預り金」で処理できるものの、金額の計算方法や集計対象が違うため、実務上は区別して管理しておく方が安心です。

補助科目を分けずに「預り金」にまとめてしまうと、次のような問題が起こりがちです。

・預り金の残高が「給与分なのか、報酬分なのか」が分からない
 源泉所得税を納付する際には、それぞれを分けて記載する必要があります。
 納付の際や、納付後の残高確認のために分けたほうがわかりやすいです。

・年末調整や法定調書で金額を確認する際に仕訳を1件ずつ追いかける必要がある
 これも上記同様、分けて記載する必要があるので、分けた方が手間が少ないです。

・決算や納付時に残高が合わず、差額調整に時間がかかる
 会計ソフト上、内容のわからない預り金の残高がずっと残ったままになっているのをよく見かけます。
 仕訳ミスを確認したり、納付漏れがないようにするためにも、
 分けて残高確認がしやすいようにしておくとおすすです。
 

会計ソフトでの補助科目設定例

会計ソフトを使う場合、「預り金」勘定の下に補助科目を設定しておくと、給与源泉と報酬源泉を別々に管理できます。

給与から天引きした源泉税は「給与源泉」、税理士などの報酬にかかる源泉税は「報酬源泉」などの補助科目を設定しましょう。

  • 預り金/給与源泉:従業員給与から天引きした源泉税を管理
  • 預り金/報酬源泉:税理士・弁護士など専門家報酬にかかる源泉税を管理

freee会計の場合は、補助科目がありませんので、「品目」で上記を設定するのがおすすめです。
「取引先」にしてしまうと、給与や報酬の未払いの管理がしにくくなります。
「品目」でつけておくと、他への影響がないのでいいと思います。

仕訳例

源泉税を天引きしたときと支払った時の仕訳例を説明していきます。

給与源泉天引き(給与発生仕訳)

(借方) 給料手当 300,000 / (貸方) 法定福利費   45,000
                   預り金/給与源泉 6,750
                   預り金/住民税  22,000
                   未払費用    226,250

ポイント:源泉税は勘定科目「預り金」補助科目(または品目)「給与源泉」で登録します。
    住民税の天引きもあると思いますので、こちらも分けておくとおすすめです。

報酬源泉(税理士報酬などの支払時)

(借方) 支払報酬料 110,000 / (貸方) 預り金/報酬源泉  10,210
                    現金預金     99,790

ポイント;源泉税は勘定科目「預り金」補助科目(または品目)「報酬源泉」で登録します。

納付時の仕訳

源泉所得税を国に納付するタイミングで、預かっていた「預り金」を減らし、現金預金を支払います。

(借方) 預り金/給与源泉  6,750 / (貸方)  現預金   16,960
     預り金/報酬源泉  10,210

ポイント:預り金の支払い時は、給与源泉と報酬源泉を合算して支払います。
    仕訳登録時には、それぞれの金額を補助科目(または品目)で分けて登録します。

まとめ

源泉所得税は、給与から天引きする「給与源泉」と、税理士や弁護士などへの報酬にかかる「報酬源泉」の2種類があります。

会計ソフトで管理する際は、補助科目や品目を分けて仕訳しておくことで、次のようなメリットがあります。

  • 残高確認が簡単で、給与分・報酬分の金額をすぐ把握できる
  • 年末調整や法定調書の作成がスムーズになる
  • 納付ミスや預り金の残高不一致を防げる

給与も報酬も、最終的には「預り金」で管理し国に納付しますが、補助科目を使うだけで実務の負担が大幅に軽減されます。

会計ソフトを使っている方は、ぜひ給与源泉・報酬源泉を分けて管理する運用をおすすめします。
                  

佐藤 修一

税理士法人Accompany 代表

(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。