ここでは、太陽光売電を行っている方が消費税還付を行うことによるメリットやデメリットについて説明しています。

まず、消費税還付とは、パネルなど売電設備設置や整地費用や工事負担金、諸経費など含まれている消費税部分を戻してもらう手続きのことです。

土地の購入代金には、消費税がかかりませんので、土地購入代金部分は、消費税還付から除外されます。

太陽光売電の消費税還付のメリットとデメリット一覧

消費税還付のメリット

①実質利回りアップ効果
②償却資産税負担を軽減できる

消費税還付のデメリット

①経理処理の複雑化、3年間の消費税還付申告の手間とコスト
②税務調査の可能性が高くなる

消費税還付を受けることによる2つのメリット、2つのデメリットについてそれぞれ解説していきたいと思います。

消費税還付のメリット①実質利回りアップ効果

太陽光発電の投資の場合、消費税の還付金額の計算方法は次のようになります。

消費税の還付金額=(年間の太陽光収入-パネル代金-整地費用ー工事負担金-諸経費)÷1.08×8%

仮に、低圧50kW未満で、年間の太陽光収入が220万円、投資総額1800万円(パネル代金、整地費用、工事負担金、諸経費合計が1,600万円で、土地購入代金が200万円)だったとします。

この場合の消費税の還付金額は次のようになります。

(年間の太陽光収入220万円-パネル代金、整地費用、工事負担金、諸経費合計1,600万円)÷1.08×8%=102万円…消費税の還付金額

土地代金には消費税が含まれていないので消費税の還付対象にはなりません。

このように消費税還付を受ける場合、消費税還付を行った年を含め、売電収入に対して消費税申告を行い、消費税を納めることになります。

年間220万円の売電収入に対し、支払う消費税は年間16.3万円(220万円÷1.08×8%)となります。

すると3年間トータルで考えた時の消費税還付メリットは以下のようになります。

1年目2年目3年目合計
消費税の還付金額 102万円   102万円
消費税の支払金額△16.3 △16.3△32.6万円
差引メリット 102万円 △16.3 △16.369.4万円

 

3年間支払う消費税を含めて考えると、消費税還付によるトータルメリットは69.4万円になります。

仮に毎年の太陽光売電の収入が20年間、220万円続くとすると、消費税の還付があるケースとないケースでは、表面利回り、投資額の回収年数に次のように異なります。

消費税の還付があるケース
20年間の表面利回り (220万円×20年+69.4万円)÷1,800万円÷20年=12.4%
投資回収年数 1,800万円÷(220万円×20年+69.4万円)÷20年=8.05年

消費税の還付がないケース
20年間の表面利回り 220×20÷1,800万円÷20年=12.2%
投資回収年数 1,800万円÷220万円=8.1年

 

消費税還付のメリット②償却資産税負担軽減

太陽光投資を行う場合、事業用の資産である太陽光設備に対し、1.4%の償却資産税がかかることなります。

そして、消費税還付を受けるメリット場合、この償却資産税の負担の軽減を行うことができます。

消費税還付を受ける場合、消費税の申告を行いますが、消費税の申告を行う方は、経理処理で税抜処理と税込処理のいずれかから選択する必要があります。

 

償却資産税は、太陽光設備の購入金額に対してかかる税金ですが、税抜処理と税込処理では以下のように償却資産税の金額が異なります。

税込処理の償却資産税=太陽光設備の税込金額×減価残存率(経過年数に応じて低下)×税率1.4%
税抜処理の償却資産税=太陽光設備の税抜金額×減価残存率(経過年数に応じて低下)×税率1.4%

税込金額÷1.08=税抜金額となりますので、税込金額>税抜金額となり、消費税の処理方法を税抜処理を選択することで償却資産税の負担を軽減することができます。

税込経理と税抜経理の違いについての詳しい説明はこちら

ここまでが消費税還付を受けるメリットになります。

ここから消費税還付を受ける場合のデメリットについて説明していきたいと思います。

消費税還付のデメリット①経理処理の複雑化、3年間の消費税還付申告の手間とコスト

税抜経理を行えば、上記のように償却資産税の負担を軽減することができますが、

その反面、経理処理が大変になってしまうことがあげられます。

さらに、消費税還付を受ける場合には、3年間消費税の申告をし続ける必要があります。

ご自身で経理処理、消費税申告を行うのが難しい場合、税理士事務所へ依頼するケースもあるかと思います。

経理処理、消費税申告を税理士事務所に丸投げ依頼するとその分税理士報酬がかかってしまうことになります。

税理士に依頼する場合、税理士報酬を消費税還付金額で回収できるかどうかを判断する必要があります。

太陽光の消費税還付で税理士報酬を回収できるかどうかの詳しい説明はこちら

一般的には、消費税還付メリット以上の税理士事務所への報酬がかかることはないかと思いますが、通常還付初年度に20万円~30万円、2年目以降は、5万円~10万円のコストがかかってしまいます。

消費税還付のデメリット②税務調査の可能性が高くなる

これは太陽光の場合に限りませんが、一般的に消費税の還付を受ける場合、税務調査が入る可能性が高くなります。

税務調査=できれば入られたくないのはみなさん一緒だと思います。

税務調査は、まず、税務署から本人へ直接連絡が入ります。

その後、日程調整を行い、税務調査がスタートします。

税務調査は通常1日で終了しますが、平日に行われるため、本業に支障がでてしまいます。

もし、税務調査で経理ミスが分かった場合には、通常の税金以外に加算税、延滞税などのペナルティー的な税金がかかってしまうことになります。

但し、「消費税還付=税務調査が入りやすい」という認識は、あくまで一般的な認識で、弊所では、年間20人ほどの消費税の還付手続きを行っておりますが、これまで税務調査が入ったことは一度もありません。

 

消費税還付を受けるための手続き

このように消費税還付を受ける場合、以上のメリットとデメリットがあります。

税務調査が入られるリスクを絶対に負いたくないという方は別ですが、デメリットを上回るメリットがあるように思います。

そして、この消費税の還付手続きを受けるためには、投資初年度の年末までに「消費税課税事業者選択届出書」の届出が必要になります。

消費税課税事業者選択届の記載例はこちら

 

2基目以降の取得の場合、投資用不動産を前年度末以前に取得している方は、別途の手続きが必要となります。

初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。

弊所の太陽光消費税還付等の税務・確定申告のサービス内容と料金はこちら