埋没原価とは、今後の方針を決める際、引きずられてはいけない過去に支払ったコストのことです。
ここまで投資したからには、どうにかして投資を回収したい…
という考え方ではなく、
今後の利益を増やすための最善の方法を探すために埋没原価を完全に排除しまいます。
過去に投資やコストを支払ったことにより、回収しようと更にコストを増やしたり、
思い入れが強くなってしまい、更に投資を増やしてしまい、
赤字幅を広げないため投資・コストに対する考え方です。
埋没原価は、例えば、ある事業への投資、機械設備への投資、広告宣伝費、店舗展開のための投資などが該当します。
店舗出店のために3000万円の投資をしたとします。
内、H26年までに過去の利益で2500万円を回収しているとします。
現状、その店舗の実績と見込みの損益計算書は、次のようになっているとします。
単位:万円 | H26 実績 | H27 見込み | 差額 |
売上高 | 2500 | 2400 | △100 |
売上原価 | 1800 | 1750 | △50 |
粗利 | 700 | 650 | △50 |
経費 | 1000 | 800 | △200 |
内減価償却費 | 200 | 100 | △200 |
営業利益 | △300 | △150 | +150 |
キャッシュフロー =利益+減価償却費 | △100 | △50 | +50 |
H27年はH26年に比べ、利益が△300万円から△150万円に改善する見込みだとします。
しかし、H26年、H27年それぞれ、キャッシュフローはマイナスです。
H28年以降キャッシュフローがプラスになる見込みがあれば別ですが、
この店舗を続けることにより、今後資金が減っていきます。
よって、過去の投資額がいくらであれ、投資の回収までの残りがいくらであれ、
埋没原価の過去の投資は、一切今後の方針の決定の際、影響させないという考え方によれば、
この店舗は閉鎖するほうがよいとの結論になります。
埋没原価には、減価償却費などの資金の出ないコストは、考慮すべきでないと考えています。
いくら利益がマイナスであっても、キャッシュフロー(営業利益+減価償却費)がプラスであれば、
その投資を続けることにより、資金は増え続けるからです。
佐藤修一公認会計士事務所代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716)
公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。
(株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。
全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。
総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。