役員貸付金の利息はなぜ必要?役員借入金の利息は必要か?
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当記事では、役員貸付金の利息について、次の内容を解説しています。
- 役員貸付金に対する利息が決算書に何故計上されているのか?
- 決算書のどこを見ればそればわかるのか?
- 役員借入金に対する利息は計上されないのか?
目次
役員貸付金に対する利息とは何?絶対に計上する必要があるのか?
役員貸付金に対する利息は、「認定利息」と呼ばれています。
認定利息は、役員が会社から資金を借りており、その資金を借りている対価として支払うものです。
役員貸付金に対する利息は、役員と法人の当事者間で任意に決めることができず、法人の決算書では、必ず計上しなければなりません。
この「認定利息」は、決算書上、営業外収益の「受取利息」として計上されています。
役員貸付金に対する利息には法人税がかかる
役員貸付金に対する利息である「認定利息」には法人税がかかります。
利息は法人の収益として扱われるからです。
ただし、消費税はかかりません。
役員貸付金に対する利息の利率は?
役員貸付金に対する利息の利率は、法人にすでに銀行融資がある場合には、その調達金利で計上します。
銀行融資が無い場合には、0.9%で計算します。
認定利息の計算法は、次のいずれから計算することになります。
- 貸付金の期末残高を元本として、利息を求める。
- 各月末の残高の平均を元本として、利息を求める。
- (期首残高+期末残高)÷2を元本として、利息を求める。
実務上一番多いのは、1.貸付金の期末残高に対して利率をかけて、利息を計算する方法です。
例えば、期末の役員貸付金の残高が500万円で、金利が0.9%であれば、45000円の認定利息が計上されることになります。
すると、法人税率は23%or34%なので、この認定利息の形状によって、10,350円か15,300円の法人税が増加することになります。
では、認定利息の計上しない場合には、どうなるか説明します。
認定利息を計上しないとどうなるか?
認定利息を計上しないということは、無利息で役員に資金を貸していることになります。
すると、どうなるか?
上記で計算した45,000円の利息が役員への給与として課税されることになってしまいます。
そして、この45000円は、経費にすることができません。
ただし、以下の3つの場合には、この45000円の利息は、課税されません。
- 災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員または使用人に、その資金に充てるため、合理的と認められる金額や返済期間で貸し付ける場合
- 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって貸し付ける場合
- 上記(1)および(2)以外の貸付金の場合で、役員に貸し付けの利率により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額が1年間で5,000円以下である場合
役員からの借入金がある場合には利息はどうなるか?
法人が役員からの資金の借入を行い、「役員借入金」がある場合には、「支払利息」を支払うなど、法人側で特に経理処理は必要ありません。
税金の負担増加も生じなければ、税金負担減少も生じません。
役員借入金は、何のデメリットも生じないのです。
ただし、役員貸付金はその金額が増えてしまうと、上記の利息の税負担以上に、銀行融資の面で大きなデメリットがあります。
以下の記事では役員貸付金を消す方法、増やさない方法を解説しています。
ぜひ読んでみて下さい。

佐藤 修一
税理士法人Accompany 代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。