管理会計とは、「経営のかじ取り」を行うために情報を提供する方法のことです。

管理会計を支援する会計ソフトを導入すれば、「経営のかじ取り」を行うための情報収集が効率的に行うことができるようになります。

この記事は、管理会計ソフトの導入を検討している企業の担当者に向けて、管理会計機能付きの会計ソフトの機能や選び方のポイントについて詳しく解説します。

そもそも管理会計とは?

管理会計は「経営のかじ取り」するための会計です。
「経営のかじ取り」を行うにあたり、必要なのは、
①「会社の方向性や目標=戦略を決めること」

②「目標を達成するための色んな活動を管理すること」にあります。

キャッシュフローや売上や経営状況など現状分析したり、将来の経営判断を行うため、各種シュミレーションを行い、経営者や役員が意思決定するときに必要となる情報でしょう。

例えば以下の目的のもと会社経営に関する数値情報を様々な方法で「見える化」します。
・過去・現状・将来の見える化
・目標の見える化
・課題・問題の見える化
・変化の見える化
・打ち手の見える化

そして、目的に沿って「必要な情報を集め」「分かりやすく」「要点を絞って」、「正確に」情報提供するのが管理会計です。

通常、会社の分析、シュミレーションを行う際は、エクセルを活用し、手作業で入力やグラフや表の作成することが多いのではないでしょうか。
しかし、会計ソフトや各種ツールを使用し、自動で情報を整理し、情報共有をすることが可能となっています。

管理会計と財務会計の違い

管理会計に用いる資料は特定の決まった資料ではなく、会社や状況によって異なります。
代表的な資料は、資金繰り表、部門別損益計算書、変動損益計算書、商品別売上・利益一覧などがあります。

一方、財務会計は「社外の人に経営状態を説明」するためにあり、自社の業績や財務状況を開示するためものです。
財務会計に用いるのは試算表、貸借対照表や損益計算書、株主等変動計算書、勘定科目内訳書などになります。

管理会計ソフトの主な機能

管理会計ソフトに備わっている代表的機能について解説します。

予算管理

経営に関して各種の目標を達成するために必要となるのが予算です。
目標を達成するために計画が立てられますが、プラン・計画を数字で表したものが予算です。

経営にかかわる数字である売上や原価、経費、利益や資金、投資など各種について計画数値を定めます。
これら計画数値を達成するために経営者をはじめ、各従業員が何をすべきかを明確にして、日々行動に落とし込みます。
予算管理で定めた目標に達せなかった場合は、原因を明確にして、今後の対策を行っていきます。
会計管理ソフトは予算管理もシステム化されているため、自動で予算目標の進捗状況を確認できます。

多方面からの財務データ分析

管理会計ソフトにはさまざまな角度から財務データを分析でするための機能があります。
会計管理ソフトのセグメント機能で、該当するプロフェクトや製品、地域など、全体を区切って把握することでより経営状態が見えるようになります。
この機能により成果や、今後の課題などをみつけやすくなるでしょう。

帳票の出力

管理会計ソフトには部門別の貸借対照表、会社別の実績表、予実対比表などの帳票出力に対応しています。
ただ、どのような種類の帳票が出力できるのかはソフトによって異なります。

管理会計ソフトによって出力できる帳票が異なるため、価格だけで管理会計ソフトを選ばないように注意しなければならないでしょう。

ソフトによってはオリジナルのフォーマットを作成できるものもあります。
独自の帳票を作成したいときに便利でしょう。

管理会計ソフトを活用するメリット

管理会計ソフトを活用するメリットについて解説します。
管理会計ソフトを導入するときの参考にしてください。

入力作業の効率化につながる

管理会計ソフトは、会計データや各種システムデータを活用し、資料を作成することが可能です。
エクセルによる管理の場合、情報量が多い場合、入力工数の削減やデータ間の分析が多い場合は、複雑な計算式、マクロ管理で工数がかかってしまいます。
管理会計ソフトよればこれらの業務負担が軽くなるため、作業の効率化につながります。

計算ミスが減少する

エクセル等を利用し手作業で経理業務を行うときに起こりがちな問題に、数値の入力ミスや計算ミスがあります。
人の手で作業を行うと、どうしてもヒューマエラーをゼロにするのは難しいでしょう。
しかし、管理会計ソフトを使用すれば、数字に矛盾が起こるとエラーメッセージが表示されます。
計算ミスが起こるとすぐに知らされるため、ミスを未然に防げます。

リアルタイムに経営状況を把握できる

クラウドによる管理会計ソフトがあれば、各種情報がリアルタイムで反映、分析可能となります。
そのため、いつでもリアルタイムの情報を活用した経営分析が可能です。

管理会計ソフトを活用するデメリット

管理会計ソフトを活用するときには以下のようなデメリットもあります。

導入するハードルがある

必要とする機能や、同時に操作する人数によっても異なりますが、管理会計ソフトを導入するためにはコストがかかります。
導入後は管理会計ソフトを運用する人材も必要です。
自社独自の分析資料などがある場合はシステム開発費もかかるでしょう。
企業によっては導入ハードルが高く、なかなか導入できないかもしれません。

情報漏えい・データ消失のリスクがある

管理会計ソフトには、自社の経営状況などがすべてわかる情報を記録します。
そのため、ベンダーにセキュリティ対策を一任するクラウド型のソフトウェアの場合、自社に落ち度がなくてもデータの漏えいや消失する可能性もゼロではありません。

自動バックアップ機能がある場合、ある程度の安全性はありますが、バックアップデータの保存場所は厳重に管理する必要があります。

管理会計ソフトを選ぶポイント

管理会計ソフトはたくさん種類があり、それぞれ特徴が違います。そのなかで自社にあったものを選ぶためのポイントを解説します。

ソフトの導入タイプ

管理会計ソフトには「クラウド型」「パッケージ型」「オンプレミス型」の3種類があります。

クラウド型はオンライン上のソフトウェアを使用するものです。
データも基本的にクラウド上に保存するため、どこにいても管理会計ソフトにアクセスできます。
月額もしくは年額契約のものが多いでしょう。

パッケージ型の管理会計ソフトは、自社のパソコンにソフトウェアをインストールして使用します。
買い切り型のものが多く、自社でソフトウェアやデータを管理して使用します。

オンプレミス型は自社のサーバー上に管理会計ソフトをインストールするソフトウェアです。
3種類のなかで一番セキュリティ性が高いものですが、導入コストがかかるうえに運用は専門のスキルが必要でしょう。

ほかのシステムとの連携機能

管理会計ソフトのなかには、ほかのシステムやソフトウェアを連携できるものもあります。
販売管理や原価計算、給与計算などのシステムと連携できると二重入力する手間を省け、入力ミスや業務量の削減につながるでしょう。
自社で導入している、もしくは導入予定のシステムと連携できるかどうか確認してみてください。

機能の柔軟性

企業によっては、部門の削減や増加などの組織体制の変更やそれに伴うデータ移行がよくあるところもあるかもしれません。
そういった企業は、柔軟に活用できる管理会計ソフトを選んでおくと使い勝手がよいでしょう。
機能変更ができない管理会計ソフトでは、経営陣の変更ごとにソフトを買い換えなければならなくなります。

おすすめの管理会計ソフト

管理会計ソフトは膨大な種類があります。
そのなかでも、中小企業が導入しやすい管理会計機能が付属する会計ソフトを紹介します。

freee

freeeは複数のプランがあるクラウド型の会計システムで、個人事業主から法人まで幅広く対応しています。
通常の会計ソフトだと、勘定科目の内訳を取引先別など1つの軸のみでしか集計、分析を行うことができません。
しかし、freeeによれば、勘定科目の内訳を取引先別、商品別、プロジェクト・案件別など最大3軸で集計、分析を行うことができます。
市販されている会計ソフトで3軸で集計できる会計ソフトは、おそらく他に存在しないでしょう。
分析の基本は「分けること」なので、分析を複数軸で行うことができるのは、大きなメリットと言えます。
その他、レポート機能がグラフを用いているため、視覚的に理解しやすいため、数字が苦手な方でも「管理会計」の入門編としてはおすすめです。
キャッシュフロー分析、収益、費用分析、プロフェッショナルプランでは「予実分析」まで行うことが可能です。

弥生会計プロフェッショナル

弥生会計プロフェッショナルは、「プロフェッショナル」というだけあり、市販の会計ソフトでは、管理会計機能は豊富です。
収益性や生産性、安全性などの指標分析や損益分岐点分析、資金繰り管理、予実管理などを行うことが可能です。
さらに、機能を求める方は「参謀役」というソフトを使えばさらに豊富な分析を行うことが可能です。

マネーフォワード クラウド会計

マネーフォワード クラウド会計はクラウド型の会計ソフトです。
プランは複数あり、小規模から大規模の法人まで幅広く対応可能です。
管理会計機能は限定的で、簡単な経営指標分析、キャッシュフローレポート、取引先別分析です。
管理会計機能を求めるのであれば「Manageboard」とセットで使うのがおすすめです。

Manageboard

クラウドで予算管理ができる管理会計ソフトです。
クラウド型のソフトという特徴を活かし、チームマネジメントによる経営目標を実現できます。
経営目標の設定、共有、分析、損益、キャッシュフローシュミレーションに特化しているソフトで、予算の変更や修正もかんたんにアップデート可能です。
かんたんにレポートを作成する機能も搭載されています。

 

まとめ

会社の状況と目標、課題間にあった管理会計を導入し、成果を出すためには、「費用対効果」を考え、管理会計ソフトを検討されてみるとよいでしょう。
注意したいのが、自社の要望に100%あった管理会計ソフトを求めるのは現実的ではありません。
自社の状況や目標は刻々と変化し、その変化によって必要な管理会計は変わっていきます。
管理会計ソフトにはさまざまな種類があるため、機能や契約形態などを確認し、自社にあったものを選んでみてください。

佐藤修一公認会計士事務所では、「中小企業向け税理士サイト」を運営しています。
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