【資金調達・銀行対策したい方必見!】役員貸付金の消し方

融資・資金調達

これまで、税理士として500社以上の法人、個人事業主の方から融資相談を受けてきた税理士が、役員貸付金を消すための方法、役員貸付金を増やさない方法について解説しています。

法人で役員貸付金が増えると、何より銀行融資の面でマイナスとなります。

なぜなら、役員貸付金は、資産価値が無い資産としてみられてしまうためです。

また、過去の銀行融資後に役員貸付金が増加している場合には、役員への又貸ししていると見られてしまう可能性があり、今後の融資に大きくマイナスに影響してしまう可能性があります。

なぜなら、法人に融資したはずの資金が役員へ流れていることになり、使途義務違反として、銀行からの信用を失ってしまうことにつながってしまうからです。

この記事を読むと次のようなことが分かります。

  • 役員貸付金が増えないようにする方法
  • 役員貸付金を減らす方法

役員貸付金は、増やさないことと多額になったら、減らすことの両面で計画的にコントロールしていく必要があります。

ひとつひとつご説明していきます。

役員貸付金が増えない方法

役員貸付金が増えるのは、次のいずれかが理由です。

  • 役員報酬の金額が不足している
  • 経費の計上漏れがある
  • 経費を確定させてから役員への振り込みを行う

まず、役員報酬の不足が生じないようにするには役員報酬を増やすことが必要です。

ただ、役員報酬を増やすと、役員報酬の増加に対して、約30%の社会保険料、所得税、住民税などの税金等の負担が増加します。

役員報酬を増加させる以外の方法で役員貸付金が増えない方法を考えてみます。

毎月の役員報酬を増額せずに役員の手取りを増やす方法

よって、なるべく、役員報酬の増加させずに、実質的な役員の手取りを増加させる必要があります。

そのためには、次のような方法があります。

  • 役員の住まいを社宅契約にして社宅家賃を経費に
  • 社宅家賃の賃料を家賃の半額ではなく、固定資産税の金額、面積をベースにした低い家賃に設定
  • 日当を支給
  • 家族を非常勤役員にして社会保険料がかからないように役員報酬を支給
  • 役員報酬から個人で積み立てている小規模企業共済、イデコ、NISAなどのリタイヤ後の積み立てをストップし、リタイヤ後の積み立てを法人で行う
  • 毎月の役員報酬を93000未満円に減額し、年1回の役員賞与を150万以上に設定し、役員報酬に対する社会保険料を削減

経理・税理士とのコミュニケーションをしっかりとって、経費の計上漏れが無いようにする

まずは、役員が経費に回していない領収書が無いよう、全て領収書を経理に回すことです。

また、経理側で経費計上漏れがある場合には、法人から役員へお金の支払いが、役員では経費の精算のつもりやっているにも関わらず、法人の経理側で経費にしていないため、「役員貸付金」として処理されてしまいます。

経理や税理士は、事業のために必要な支出かどうかを正確に判断することはできません。
なぜなら、経営者ほど、ビジネスの内容を理解していないからです。

事業のために必要かどうかは経営者が一番判断することができます。

よって、次に、経理や税理士側としっかりコミュニケーションをとり、本来経費になる振込みやカードの支払いがプライベートなものとして、「役員貸付金」として処理されないよう、定期的にコミュニケーションの場を確保しましょう。

ここまでは、「役員貸付金」を増やさないようにする方法です。

ここからは、増えてしまった「役員貸付金」をどうやって減らすかについて説明します。

役員への経費精算を事前ではなく事後精算

役員の立て替えた経費精算の領収書を経理に回し、経理と上記のようにコミュニケーションをしっかりとった後、経費にする金額=役員への支払い金額となるように、役員への経費精算を行います。

この方法によると、資金の動き=経費の金額となるため、役員が勝手に資金を動かさない限り、貸付金が増加することはありません。

以上が役員貸付金を増やさないための方法です。

ここからは増えてしまった役員貸付金を消す方法をついて説明します。

役員貸付金を減らす方法

一度増えてしまった役員貸付金を減らすには役員の資産を会社に入れて、役員が借りた資金を返済する必要があります。

特に、個人事業主で借入が多額な場合に法人なりをした場合などは、どうしても役員貸付金が出てしまいます。

ただし、個人事業主での融資が原因で役員貸付金が多額になる場合には、法人なりのタイミングにいきなり融資が受けにくくなることないのでご安心ください。

役員貸付金を消す方法は以下のような方法が考えられます。

  • 小規模企業共済の一時貸付を原資に返済する
  • 一時的に役員賞与を多額に支払う
  • リタイヤ後のために積み立てをしていた資産を取り崩す
  • 個人の不動産、車など会社で活用できる資産を売却する
  • 親である先代の役員などから個人で資金調達する

役員貸付金のまとめ

役員貸付金が多額になると消すためには、時間とコストを要することになり、そのマイナスの影響が長期に残ってしまうことになり、非常に厄介です。

まずは、役員と法人間の資金のやり取りでは、役員貸付金を増やさないことが大切ですが、そのためには、役員の生活費の水準にあった役員報酬の金額にすることが大切です。

次に、役員への振り込みを行う場合には、月1回、決まったタイミングで役員報酬の金額と立替経費の金額の合計金額を事後精算できっちりと振り込み、役員貸付金が増えないような資金の動かし方をすることが大切です。

役員貸付金が増えると、認定利息が増加し、法人税負担も増加します。

以下の記事では認定利息に付いて説明しています。

良かったら読んでみてください。

役員貸付金が増えている、なかなか減らなくて困っている方は初回相談は無料です。

お気軽にお問い合わせください。

佐藤 修一

税理士法人Accompany 代表

(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。