
こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。
店舗やオフィスの改装・内装工事を検討している場合、どこまで経費になるのか、その節税効果はどれくらいなのか、気になる方は多いかと思います。
重要なのは「いつ工事が完了して、どのように経費化するか」です。
購入時の金額や会計処理の方法によって、節税効果や手元の資金への影響が変わります。
本記事では、内装工事費を経費化・減価償却する方法と、節税効果についてわかりやすく解説します。
内装工事費のポイント
内装工事費を経費として計上したり減価償却で処理したりする場合、押さえておきたいポイントがあります。
- 修繕費と資本的支出の区別
内装工事費は、「修繕費」と「資本的支出」に分けられます。
修繕費:既存設備や建物の性能を維持・回復する工事。
例:壁紙の張替え、床の補修、壊れた設備の修理
→ 支払った年度に全額経費化可能
資本的支出:建物や設備の価値を増やす工事。
例:間取り変更、大規模改装、新しい什器や照明設備の設置
→ 固定資産として計上し、耐用年数に応じて減価償却
判断のコツは、「元の状態に戻すだけか」「価値を増やすか」です。
工事明細や請負契約書を整理して分類しましょう。 - 取得日と使用開始日の把握
修繕費とする場合は、取得した年度の経費に含めることができます。
ただし、減価償却が始まるのは実際に事業で使用を開始した日です。
契約日や支払日ではないので、もし年度末に内装工事を検討している場合は、
年度末までに使用開始できる状態になったかで
その年度の経費にできるかどうかが決まりますので、ご注意ください。 - 取得価額に含める範囲
工事費の総額には、材料費や施工費だけでなく、設置費や設計料、工事管理費なども含まれます。正確な総額を把握することで、経費計上や減価償却の処理がスムーズになります。 - 事業用かどうか
個人事業主の方で、私用と兼用の場合は按分が必要です。
工事が事業用スペース(店舗・オフィス)のものか、個人的な利用を含むかを確認します。
経費として計上できるのは、事業用分となります。 - 勘定科目と税務特例の選択
1.で修繕費となる場合、修繕費として一括で経費処理をします。
資本的支出となる場合、金額によって「一括償却資産」や「附属設備」などで処理をします。
購入金額や選択する特例によって経費にできる金額が変わります。
金額別の経費処理と節税パターン
内装工事費の金額によって節税効果やタイミングが変わります。
税率を30%と仮定して計算してみます。
①修繕費:金額に関係なく即時経費化
- 例:破損した壁の修理代50万円
- 経費処理:修繕費として全額経費
- 節税効果:50万円×30%=15万円
- 手元キャッシュ:支払い時に50万円減少
ポイント
既存設備や建物の性能を維持・回復する工事は修繕費となります。
修繕費として認められる工事は金額に関係なく即時経費化できます。
即効性のある節税が可能で、翌年度以降に経費は残りません。
ここから先は、資本的支出にあたる場合の処理になります。
②10万円未満:消耗品扱い・その年に全額経費OK
- 例:9万9,000円の壁面補強工事
- 経理処理:消耗品費として全額経費
- 節税効果:9万9,000円×30%=2.97万円
- 手元キャッシュ:購入時に9万9,000円減少
ポイント
購入した年度に全額経費化できるため、即効性のある節税が可能。
ただし、翌年度以降に経費は残りません。
③10万円以上20万円未満:「一括償却資産」で資産計上・3年で経費計上
- 例:18万円の照明設備の設置
- 経理処理:「一括償却資産」で資産計上し、3年で均等割りした金額を減価償却費で経費へ
18万円÷3年=6万円 - 節税効果:法人税率30%の場合 →6万円×30%=1.8万円
- 手元キャッシュ:購入時に18万円減少
ポイント
10万円以上20万円未満の場合は、後述する「少額資産の特例」を選択することもできますが、
「一括償却資産」を選択した場合、償却資産税の対象外となるため、
他にも資産が多く150万円を超える場合は、一括償却資産を選択したほうが償却資産税上は有利になります。
④30万円未満:青色申告の場合は少額減価償却資産として全額経費計上OK
- 例:25万円の什器設置
- 青色申告をしている中小企業の場合、「少額減価償却資産の特例」を使うと
購入年度に全額損金算入可能 - 節税効果:25万円×30%=7.5万円
- 手元キャッシュ:購入時25万円減少
ポイント
少額減価償却資産の特例が使えるのは、年間合計300万円までとなります。
300万円まで余裕があるなら、もっとも節税効果を早く得られる方法です。
ただし、青色申告をする事業者が使える特例のため、青色申告でない場合は通常の減価償却となります。
また、少額減価償却を選択した場合は、償却資産税の対象となります。
⑤30万円以上:附属設備で計上して減価償却
- 例:150万円の壁面改装
- 法定耐用年数15年 決算日まで3ヶ月の時点で使用開始
- 初年度の償却費(定額法):150万円÷15年×3/12ヶ月=2.5万円
- 節税効果:2.5万円×30%=0.75万円
ポイント
使用開始した月から期末までの月数で按分するため、初年度は経費化が少なく、節税効果は分散されます。
購入年度に大きな利益が出ていても、即効性は低めです。
附属設備の減価償却方法は定額法となります。
ケース別まとめ
| ケース | 購入金額 | 経費化方法 | 購入年度の 経費額 | 節税効果 (税率30%) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① | 50万円(修繕費に該当) | 修繕費 | 50万円 | 15万円 | 即時経費化、即効性あり |
| ② | 9.9万円 | 消耗品費 | 9.9万円 | 約3万円 | 即時経費化、即効性あり |
| ③ | 18万円 | 一括償却資産 | 6万円 | 1.8万円 | 償却資産税の対象外 |
| ④ | 25万円 | 少額減価償却資産の特例 | 25万円 | 7.5万円 | 青色申告が要件。即時経費化、即効性ありだが償却資産税の対象 |
| ⑤ | 150万円 | 減価償却(15年) | 2.5万円 | 0.75万円 | 年度ごとに分散 |
実際の購入年度と翌年度以降の影響
- 消耗品や特例を活用すると、購入年度に経費を集中させて利益を圧縮できます。
- 高額購入の場合は、数年にわたって少しずつ経費化されるため、利益や税金への影響は分散します。
- 節税目的だけで購入タイミングや金額を決めると、手元キャッシュが不足するリスクもあるため注意が必要です。
まとめ
内装工事の場合はまず、「修繕費」か「資本的支出」かの区別が必要となります。
修繕費にあたる場合は、全額その年の経費とできるので、その年の節税効果は高くなります。
資本的支出にあたる場合で、10万円未満はその年に全額経費、10〜30万円未満は一括償却や少額減価償却資産、30万円以上は減価償却で数年に分けて経費となります。
節税効果はそれぞれありますが、手元のキャッシュも出ていきますので、節税効果だけで判断せず、本当に必要か、支出タイミングやキャッシュフローも考えて購入することが大切です。
佐藤 修一
税理士法人Accompany 代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。






