新製品・技術の開発や発明のためにかかるコストなどの「試験研究費」の優遇税制のご案内です。

「試験研究費」は、新製品の売上から利益がでなければ、回収できないため、なかなか回収リスクの高いコストです

この試験研究費の回収リスクを下げ、「試験研究費」の実質負担の8%~12%を抑えることができる優遇税制があります。
「試験研究費の税額控除」という制度です。

特にメーカー、製造業におすすめの税制です。

青色申告の方は、試験研究費として経費になるのとは別に、
支払う法人税から試験研究費の金額×控除率:8~12%で控除することができます。
控除できるのは、法人税の30%が限度枠となります。

限度枠を超える金額については、次年度に繰り越すことができます。

・優遇税制を使わない場合
利益×法人税率=法人税

・優遇税制を使う場合
利益×法人税率-試験研究費×控除率=法人税

控除率は、中小企業(資本金1億円以下)は12%で、大企業(資本金1億円超)は8~10%となります。

中小企業では、さらに法人住民税も押える事ができます。
この効果をあわせると、 試験研究費の負担率を約14%も抑えることができ、実質負担率が約86%となります。

前期に比べ、試験研究費が増えている場合や試験研究費の金額が売上に比べ、大きい場合には更に別枠で控除することができます。

この税制を使うことができれば、新製品開発コストをかなり抑えることができます。

しかし、この税制の利用のため要件の判断は、複雑です。
また、明細書を税務署に提出する必要があります。

詳しくは、顧問の税理士事務所にお問い合わせ下さい。

以下で試験研究費の定義とその範囲について説明しております。

分かりにくいかもしれませんが、以下が試験研究費の定義です。

試験研究費とは、製品の製造または技術の改良、考案もしくは発明にかかわる試験研究のために要する費用です。

試験研究とは、工学的・自然科学的な基礎研究、応用研究及び開発・工業化等を意味します。

必ずしも新製品や新技術に限らず、現に生産中の製品の製造や既存の技術の改良等のための試験研究であっても対象となります。

逆に、「製品の製造」又は「技術の改良、考案若しくは発明」に当たらない人文・社会科学関係の研究は対象とはなりません。  

ですから、例えば、次のような費用は含まれませんので、ご注意ください。

・事務能率・経営組織の改善に係る費用

・販売技術・方法の改良や販路の開拓に係る費用

・単なる製品のデザイン考案に係る費用

・既存製品に対する特定の表示の許可申請のために行うデータ集積等の臨床実験費用

試験研究費の経費の範囲はつぎの①~④になります。

①原材料費

②人件費(給与、賞与、人件費、退職金、福利厚生費)は特に要件が細かくなっています。
‥専門的知識をもってその試験研究に専ら従事するものに限ります。

以下のⅰ~ⅳのすべてを満たす場合の人件費が優遇税制を受けることができます。

ⅰその研究者が研究プロジェクトチームに参加し、全期間ではないが、担当業務が行われる期間、専属的に従事すること

ⅱ担当業務が研究開発に欠かせないモノであり、専門知識が当該担当業務に不可欠であること

ⅲ研究プロジェクト計画に沿って行われ、従事期間がトータルとして担当期間(おおむね1ヶ月(実働20日)以上)あることで担当業務がその特殊性から期間的に間隔を置きながら行われる場合にはその期間をトータルします。

ⅳ担当業務への従事業況が明確に区分され、担当業務にかかる人件費が適正に計算されていること

③外注費

④経費‥研究開発用の固定資産の減価償却費も含みます

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