独身の兄弟が死亡した場合の相続問題とは?相続人の優先順位や基本的な手続きの流れを解説

相続

2024/12/10

2024/12/05

独身の兄弟が死亡した場合の相続問題

独身の兄弟が死亡した場合、相続人が誰になるのか分からずに悩むケースも多いです。

事前に独身の兄弟が死亡したあとを考えて、相続人の順位や手続きの流れをチェックすることが重要です。

本記事では独身の兄弟が死亡した場合の相続人や、手続きの基本的流れ、注意点などを解説します。

独身の兄弟が死亡した場合の法定相続人とは?

独身の兄弟が死亡した場合、法定相続人の順位に準じて相続先が決まります。以下では、独身の兄弟が死亡した場合の法定相続人について解説します。

そもそも「法定相続人」とは?

法定相続人とは、死亡した人の財産を相続する権利を持つ人を指します。

配偶者がいる場合には、その人が必ず相続人となります。

そのほか、一定の関係性のある親族が、法定相続人として定められています。

相続する財産がある場合には、この法定相続人の制度を参考にすることで、相続先を事前に把握可能です。

法定相続人については、こちらの記事に詳しい説明があります。





独身の兄弟の法定相続人の順位

独身の兄弟が死亡した場合の法定相続人も、一般的な順位をもとに考えます。

具体的には「子ども」「孫」「親」「祖父母」「兄弟姉妹」「甥姪」の順番で、優先して相続が行われます。

独身者が死亡した場合、配偶者がいないため、基本的には子どもが第1の法定相続人となります。子どもがいない場合、孫や親が次の法定相続人として扱われます。

独身者にも子どもの存在は認められる?

独身である場合、子どもがいないケースも考えられます。以下では、独身の被相続人に子どもが認められるケースについて解説します。

独身者に子どもがいるケース

配偶者がいない独身者であっても、子どもがいるケースは珍しくありません。

死別・離婚した元配偶者との子ども(嫡出子)、養子縁組した子ども、内縁の関係者との子ども(非嫡出子)などが、法定相続人に該当します。

独身の兄弟に関する情報を正確に把握していないと、子どもに該当する法定相続人が見つかる可能性もあります。

独身の兄弟が亡くなった時は、必ずその兄弟の戸籍謄本を取得して法定相続人を確認しておきましょう。

非嫡出子の法定相続分は嫡出子と同じ

過去には非嫡出子(内縁の関係者との子ども)の法定相続分は、嫡出子の1/2でした。

しかし、2013年12月5日に法改正が実施され、相続割合が嫡出子と同じになっています。

過去の事例と混同しないように、非嫡出子と嫡出子の法定相続分に差はないことを確認しておきましょう。

独身の兄弟が死亡した際には遺言書の内容を確認する

独身の兄弟が死亡した際には、まず遺言書の内容を確認します。以下では、相続における遺言書の重要性について解説します。

相続においては遺言書の内容が最優先となる

相続においては、法定相続人の順位よりも遺言書の内容が最優先となります。

仮に遺言書に「子どもに遺産を残さないとする」「兄弟に遺産のすべてを相続する」と書かれていれば、その通りの内容で相続の手続きが進められます。

独身者の兄弟が死亡した際には、最初に遺言書が残っているか確認し、存在する場合にはその内容に従った相続を実施します。

独身かつ子どものいない兄弟には遺言書を残してもらう

独身かつ子どものいない兄弟には、生前に遺言書を残してもらうよう頼むことも考えられます。

独身の兄弟における遺産相続は、複雑化する可能性があります。

縁が遠くなった親族と連絡を取ったり、法定相続人に該当する人を探したりと、手間と時間がかかるケースが多いです。

そのため生前に遺言を残し、スムーズな遺産相続ができるように備えると良いでしょう。

遺言書については、こちらの記事をご覧ください。

独身の兄弟が死亡した際の相続手続きの方法

独身の兄弟が死亡した際には、相続手続きの方法・流れを明確にした上で手続きを進めます。以下では、独身の兄弟が死亡した際の相続手続きの方法と流れについて解説します。

相続手続きの方法1.遺言書を確認する

先に解説した通り、相続においては遺言書の内容が何よりも優先されます。

そのためまずは独身の兄弟が残した遺言書の存在を確認し、内容を公開します。

公正証書遺言(公証人が作成した遺言書)でない場合、開封しないで家庭裁判所に持ち込む必要があります。

遺言書の検認を申請し、検認済証明書を受け取る手順が求められます。

相続手続きの方法2.相続人を明確にする

遺言書がない場合、遺族で相続人を明確にする必要があります。

故人の戸籍謄本などをたどり、相続権が発生する人を特定します。相続人を探すのには多くの時間と労力がかかり、仕事をしながら作業を済ませるのは困難なケースが多いです。

弁護士や行政書士などの専門家に任せて、時間と手間を削減する方法がおすすめです。

相続手続きの方法3.相続財産を正確に把握する

故人が残した相続財産を正確に把握し、その詳細を踏まえた上で相続に必要な手続きを進めます。

預貯金、不動産、借金など、あらゆる相続財産を明確にする必要があります。

財産は本人しか把握していないケースもあり、調査に時間がかかる可能性もあります。

特に独身の兄弟は家族に財産のことを話す機会が少なく、周囲が状況を把握し切れていないことも多いです。

可能であれば事前に財産について話し合い、相続の問題に発展しないように備えると良いでしょう。

相続手続きの方法4.相続の単純承認を実施する

相続できる財産の内容を把握した上で、相続人は相続するか・放棄するかを選択します。

プラスの遺産よりも借金などのマイナスの遺産が多い場合、放棄することも考えられます。相続手続きを開始してから、3か月以内に家庭裁判所へ申述が必要です。

そのため財産の内容を正確に把握した上で、速やかに相続・放棄を決断することが求められます。

独身の兄弟の遺産相続の注意点

独身の兄弟の遺産相続を行う際には、いくつかの注意点があります。以下では、独身の兄弟の遺産を相続する際に考えられる注意点や課題を解説します。

代襲相続について理解しておく

代襲相続とは、相続人が何らかの理由で相続権を失った場合に、直系卑属が代わりに相続する方法です。

直系卑属には孫やひ孫が含まれ、何代であっても代襲相続によってその家系に相続権が移ります。一方で、兄弟姉妹にも代襲相続が適用されますが、こちらは1度のみしか代襲相続ができません。

法定相続によって兄弟姉妹に相続権があっても、代襲相続が適用されるのは1度きりという点に注意が必要です。

独身の兄弟がいる場合には孤独死に注意する

独身の兄弟がいて、かつ1人暮らしをしている場合には、孤独死に注意が必要です。

孤独死すると家の整理、賃貸物件の損害賠償、遺体の引き取りなど、さまざまな作業・手続きが必要になります。相続人をみつけるための労力も加味すると、心身に大きな負担がかかると予想されます。

独身の兄弟の世話をする人を設定し、こまめに様子を見に行ける体制を構築することも、相続に向けた準備の1つです。

独身の兄弟が死亡した場合の遺産相続は難しい?

独身の兄弟が死亡した場合、遺産相続の手続きは複雑化する可能性もあります。以下では、独身の兄弟が死亡した場合の遺産相続の難しさについて解説します。

独身者は生前の遺贈や寄付も考えられる

子どものいない独身者は、遺贈や寄付を生前に行うことも考えられます。

しかし、親や兄弟が納得いかない場合、相続に関する揉めごとに発展するケースも懸念されるでしょう。独身の兄弟というポジションは、遺産相続において問題の火種となる可能性もあります。

そのことを想定した上で、早めに遺言書を準備するなど、相続に関する対応策を講じることもポイントです。

相続人同士の関係性が薄い可能性がある

子どもや両親がいない場合、兄弟姉妹が相続人となります。

しかし、兄弟姉妹はそれぞれの関係性が薄く、意思疎通が難しい場合が多いです。

そのためスムーズに遺産分割ができず、トラブルに発展する可能性もあります。

兄弟姉妹が相続人となる場合には、自分たちだけで問題を解決しようとせずに、プロの専門家に依頼して適切な対応を任せることも検討されます。

兄弟姉妹が遺産を相続した時は相続税が高額になる

独身の兄弟の遺産を、兄弟姉妹が相続した場合には、相続税が高額になる点にも注意が必要です。

相続税額は両親が相続した時に比べて、2割高額になります。

兄弟姉妹が法定相続人になった場合、相続税が変わる点を事前に理解しておくことが重要です。

独身の兄弟が死亡した際には専門家に相談する

独身の兄弟が死亡した際には、専門家に対応を依頼することがおすすめです。

例えば弁護士事務所などに相談して、相続の手続きや相続人の特定をしてもらう方法が検討されます。

相続におけるプロの手にかかれば、煩雑な手続きや法律上の課題をスムーズに解決できます。

故人の家族だけで相続問題に着手すると、感情的になってトラブルを招くことや、間違った形での相続になり、手続きがやり直しになる可能性もあります。

相続における問題を速やかに解決したい場合には、弁護士事務所などを利用すると良いでしょう。

まとめ

独身の兄弟が死亡した場合、相続の問題はややこしくなるケースがあります。

独身であるため配偶者への相続がなくなるため、法定相続人に準じた順位で相続先が決定します。

しかし、スムーズに法定相続人がみつからない可能性も高く、相続できる遺産がどの程度あるのか、どんな内容なのか短期間で把握し切れないこともあります。

そのため独身の兄弟の遺産相続に関しては、プロの手を借りることがおすすめです。

「佐藤修一公認会計士事務所」では、豊富なノウハウを有した公認会計士や税理士が、相続における適切なサポートを実施します。

初めての相続に不安を感じるケースでも、丁寧かつ安心していただける形の支援を行います。相続に関する問題をお抱えの場合には、お気軽に「佐藤修一公認会計士事務所」にご相談ください。

佐藤 修一

佐藤修一公認会計士事務所代表

(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。