一般社団法人の非営利型の税務上のデメリットとリスクについて解説

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非営利型の一般社団法人の税務上の税務上のデメリットについて解説しています。

これまで、税理士として非営利型の一般社団法人と設立した法人のサポートを数社させていただいてきました。

非営利型のメリットは、何と言っても収益事業以外の収入に対しては、法人税がかからないことです。

このメリットは、利益がが多額になればなるほど大きくなります。

そして、年数を重ねれば重ねるほど、そのメリット額は積みあがっていきます。

ただ、これまで非営利型の一般社団法人でビジネスが進めるにつれ、非営利型ならではのやりにくさを感じられて、敢えて、非営利型のから営利型に移行された法人もあります。

例えば、放課後等デイサービスや教育事業を行っている法人です。

放課後等デイサービスや教育事業は、非営利型の一般社団法人の形式を満たすことができれば、いくら利益を出しても、法人税かからないのです。

利益の有無、その金額にかかわらず発生する年71,000円~均等割りは、非営利型の一般社団法人でもかかりますのでご注意ください。

そして、非営利型から営利型の一般社団法人に移行した場合どのような課税が生じるのかについて説明しています。

まず、簡単に非営利型の一般社団法人について説明しています。

知っている方は読み飛ばしてください。

法人税がかからない非営利型の一般社団法人の要件

以下の要件を満たす一般社団法人の「収益事業」以外の事業に対しては、法人税がかかりません。

  1. 定款に剰余金の分配を行わないとの定めがある
  2. 定款に解散時は、残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的な団体に贈与することを定めている
  3. 上記1,2の定めに違反する行為(特定の個人、団体に特別の利益を与えることを含む)を決定し、又は行ったことがないこと
  4. 理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下である

34個の収益事業とは

次に、上記の要件を満たしても、法人税がかかる収益事業は、次の34つの事業になります。

  1. 物品販売業
  2. 不動産販売業
  3. 金銭貸付業
  4. 物品貸付業
  5. 不動産貸付業
  6. 製造業
  7. 通信業
  8. 運送業
  9. 倉庫業
  10. 請負業
  11. 印刷業
  12. 出版業
  13. 写真業
  14. 席貸業
  15. 旅館業
  16. 料理店業その他の飲食店業
  17. 周旋業
  18. 代理業
  19. 仲立業
  20. 問屋業
  21. 鉱業
  22. 土石採取業
  23. 浴場業
  24. 理容業
  25. 美容業
  26. 興行業
  27. 遊技所業
  28. 遊覧所業
  29. 医療保健業
  30. 技芸教授業
  31. 駐車場業
  32. 信用保証業
  33. 無体財産権の提供等業
  34. 労働者派遣業

つまり、上記の34個以外の事業だといくら利益を稼いでも法人税はかからないのです。

この中には、放課後等デイサービスや教育事業は含まれていません。

非営利型の一般社団法人の税務上のデメリットとリスク

非営利型の一般社団法人のデメリットは、何と言っても、法人を辞める時に、最終的に稼いだ利益を国や地方公共団体へ贈与しなければならない点です。

稼いだ利益が少額であれば、役員に対して退職金として支給することができますが、最終的に事業を辞めるタイミングで稼いだ利益の金額が多額になる場合、その金額をそのまま退職金と支給すると、「非営利型」から「営利型」に移行してしまい、これまで稼いだ利益に対して一括で法人税が課されてしまいます。

例えば、繰越利益が3000万残っている場合、1000万超の法人税を一括納付することになってしまうのです。

また、最終的に国に納めるぐらいならと思い、利益を法人の残さないよう役員報酬を多額に設定し、役員に対する特別の利益のみなされてしまった場合にも、これまで稼いだ利益に対して一括で法人税が課されてしまいます。

非営利型の一般社団法人の税務上のリスクへの対応

上記のようなリス気に対応する1つの方法としては、稼いだ利益が少額のうちに、敢えて営利型に移行することです。

定款の変更、理事の人数を非営利型の要件を満たさないように変更することで、自動的に営利型に変更されます。

選択ではなく、強制的に営利型に変更になります。

営利型に変更してしまえば、今後、法人税を一括で納めるリスクはなくなり、役員報酬や退職金をある程度自由に設定することができます。

あと、大きな不安がなくなるため、気持ち的に楽になります。

非営利型の一般社団法人の設立、営利型に変更を検討されている方、初回のご相談は無料です。

お気軽にお問い合わせください。

佐藤 修一

税理士法人Accompany 代表

(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。