日本ブロックチェーン協会によって、2018年4月10日に開催された「JBA仮想通貨部門定例会議」にて税務の専門家有志が集まり、現状の仮想通貨の税制の問題点を踏まえ、今後の仮想通貨の税制についての協議されたようです。

日本ブロックチェーン協会とは、仮想通貨及びブロックチェーン技術のビジネス環境と利用者保護体制の整備を進めることで、我が国の産業発展を目として設立された協会です。

「JBA仮想通貨部門定例会議」で話し合われた仮想通貨の税務に関する現状の課題としては、以下のような内容が挙げられたようです。

①役務・物品の購入や、送付、交換の都度、その時点の時価を把握し、取得原価を移動平均や総平均法で計算、実現損益、課税対象額を計算することは実務上非常に困難

累進課税での税率が高くなってしまい、FXや株式と異なり、損失の繰延ができないこと

③相対で受け取った場合など、取得原価が不明な場合、保守的に0と評価するため、税負担が大きくなってしまう

④仮想通貨間の交換では、対円での市場がないものがあり、円建価格の把握が困難で、損益計算が困難

⑤海外での取引が多く、取引の補足が実務的に難しく、課税の公平性が大きく偏る

このような問題点を解決することにより、市場参加の増加、マーケットの活性化、決済利用が促進され、関連産業が発展し、結果的に税収があがることが見込まれるとのことです。

これらの課題の解決方法としては以下のようなことがあげられるとのことです。

①仮想通貨間の交換時点で課税せず、換金時に課税

②少額取引の非課税

マイニングにより取得した仮想通貨に対する課税を換金時へ

④現状所得税及び住民税の税率(15%~55%)から先物取引、FXのように仮想通貨損益に対する税率を一律20%

⑤先物取引、FXのように3年間の損失の繰越控除を可能にすること

⑥取得費が不明な場合は、売却額の5%を取得費とすること

弊所では、平成29年度の確定申告時に仮想通貨の損益計算に関するご相談をいただきましたが、一番感じたのは、交換時の損益計算の複雑さです。

数百を超える仮想通貨数や国内、海外を含め取引所数が多いこと、秒単位で時価が変動することによる利益計算の複雑さです。

過去に仮想通貨を取得し、取得した金額が不明なケースもありました。

そして、仮想通貨に関する税率の高さです。

利益が多額になって、所得税率の利益が多額であれば税率が高くなってしまう構造から、税額が数千万円となってしまうケースがありました。

申告時には、仮想通貨で保有しており、納税資金の確保が困難な問題など、このままの課税方法では問題があると感じました。

年末前に公表された国税庁からの仮想通貨の取扱により、本来であれば、仮想通貨投資を継続したかったにも関わらず、実際、保有し続ければ、さらなる利益が見込めたにも関わらず、税金計算の複雑性から年末時点までにすべての仮想通貨を利確させてしまったケースもありました。

今後、弊所でも仮想通貨に関する税制が上記のようにシンプルかつ、分かりやすい、税負担が過度に高くなりすぎない方向に進んでいくことを切に願っております。

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