相続が発生した場合、相続手続きを法務局で行う必要があります。
しかし、ほとんどの方が、どのように手続きをするのか分からないと思います。
この記事では、法務局で相続手続きをする際の流れを調べている方に向けて、
・相続登記の方法
・相続登記を完了していない場合に生じるリスク
を解説します。
ぜひ、参考にしてくださいね。
下記の記事では、「【相続登記とは何?】放置した場合のデメリット・必要性」について詳しく解説しています。
こちらの記事も併せて読んでみてくださいね。
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実際に、相続税を算出するときには「税理士に依頼」される方が多いです。
初めて依頼を検討される方の場合、
「複数の相続人がいる場合は、誰が税理士費用を払うのがよいの?」
という質問を受けることが多いです。
下記の記事では、
・相続の税理士費用は誰が払うのがよいか
・税理士費用の目安
・税理士費用を払う際の注意点
・税理士選びのポイント
について解説しているので、こちらの記事もぜひ、読んでみてくださいね。
目次
相続手続きが発生した場合は法務局での手続きが必要
相続手続きの中には、期限が決められているものもあります。
例としては、相続税の申告・納付です。
相続税は相続開始を知った日の次の日から10か月以内に申告・納付しなければいけないと定められていて、期限を過ぎると延滞税などの罰則が科せられます。
また、不動産を相続した際には法務局での相続登記が必要です。
法務局とは相続財産(不動産)の調査や相続登記、遺言書の保管や法定相続情報一覧図の申請などができる場所で、登記所とも呼ばれます。
被相続人(財産を残し亡くなった人)が企業の社長などだった場合には、法務局で商業・法人登記、役員変更登記申請などが必要です。
相続手続きは専門家に依頼した方がいい?
相続手続きを行う際、専門家に依頼するかどうか悩む人も多いでしょう。
専門家に依頼すべきかどうかはケースによって異なります。
専門家に依頼した方がよいケースとしては以下が挙げられます。
・相続人や相続財産が多く、手続きが複雑化する(相続申告までに間に合わせる必要があるため)
・兄弟姉妹の相続がある
・相続人同士の仲が悪い
・遠方にある不動産の相続
・代襲相続が発生する
・特殊な遺産分割をする必要がある(代償分割など)
・戸籍の附票など手続きに必要な書類が廃棄されている
・すぐに相続登記する必要がある
・相続登記を放置していた不動産がある
…など
相続財産が多い場合、相続税の支払いも増えます。
そのため、手続きをスムーズに進めるだけではなく、節税という観点からも専門家へ相談するとよいでしょう。
依頼した方がよいケース以外でも、手続きには手間がかかり、ある程度の知識も必要になるため、専門家に依頼した方が安心です。
相続手続きのなかで相続登記が増加中
相続登記は令和6年4月1日から義務化が開始されます。
相続財産には土地が含まれているケースも多く、所有者が亡くなった場合には相続登記が必要です。
しかし、これまでは義務ではなく相続登記しなくても罰則がなかったため、相続登記がされていない不動産も多くありました。
令和6年からは相続登記が義務化され、罰則も課されるようになるため、相続登記に関する相談が増加傾向にあります。
以下では、相続手続きの一例として、複雑で煩雑な手続きが多いとされている「相続登記」について解説します。
相続登記しないリスクや相続登記の流れなどを解説するため参考にしてください。
相続登記していない不動産がある場合のリスク
次に、「相続登記していない不動産がある場合のリスク」について解説します。
相続登記の済んでいない不動産は売却できない
相続登記とは、相続を要因とする所有権移転登記です。つまり、相続登記をしないと所有権が相続人に移りません。
相続登記が済んでいない不動産は、相続人名義に変更しなければ売買契約や担保として利用することはできないため注意が必要です。
例えば、祖父の代から相続登記していない場合などは、確認などが必要で手続きに時間や手間がかかります。
相続人が増えるなどの理由から手続きが困難になる
相続登記をせずに放置している期間が長くなればなるほど、権利関係者が増えてしまいます。
放置している間に相続が発生して、相続人が増えてしまい手続きが複雑化する可能性も高いです。
例えば、亡くなった人のご両親が登記名義人となっている場合には、ご両親から相続登記をしなければいけないケースもあります。
相続人が数十人いてすべての人から同意を得る必要がある、所在がわからない相続人がいる場合もあるなど、トラブルになる場合もあるようです。
相続登記が義務化されることから、相続登記しないと罰則を受ける可能性がある
これまでは、相続登記しなくても行政罰は科されませんでした。しかし、法改正によって令和6年4月1日からは相続登記が義務化されます。
そのため、「相続が開始された、もしくは所有権を取得したと知った日から3年以内」に相続登記しなければならず、相続登記しなかった場合、行政罰が科せられる可能性があります。
法改正前に相続し相続登記がされていない不動産についても、法改正の施行日から3年以内に登記することと定められています。
相続登記の基本は3種類
相続登記は基本的に3種類に分けられます。
遺言の内容をもとに登記する
遺産には法定相続分といって各相続人の取り分を民法上で定めた割合がありますが、遺言は法定相続分よりも優先されます。
そのため、相続の際には遺言の有無を必ず確認しましょう。
ただし、正しく作られた遺言書ではない場合は遺言無効になるケースもあります。また、遺留分(相続できる遺産の最低保証額)などに関するトラブルが発生する可能性もあるため、遺言をもとに登記する際には注意しましょう。
遺産分割協議をして登記する
相続が開始された後に相続人の間で協議を行って、それをもとに登記するパターンもあります。
遺言書が残されていない場合、遺言に相続人全員が納得できない場合などは、相続人間で話し合いを行い遺産分割することが可能です。
分割内容が決まったら、遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印の押印が必要)を作成しましょう。
法定相続分どおりに登記する
各相続人の取り分に応じて登記するパターンです。
法定相続分は、遺産を多くもらいたいなどの理由でトラブルになることを想定し作られた民法上の相続割合です。法定相続分に従って、土地・建物を相続人名義で分割して登記しましょう。
不動産相続の場合は、将来売却するケースもあるため相続人のうち一人を選定して相続登記することが理想です。
相続登記手続きを法務局でする際の主な流れ
相続登記手続きは、相続不動産物件の所在地を管轄している法務局で行います。
手続きの流れは以下のとおりです。
・登録免許税の分の収入印紙を購入して貼り付けた登記申請書を法務局の窓口に提出する。(現金納付の場合は領収書を添付)
・資産の数にもよるが、補正がなければ完了通知が通常1週間~10日程度で届く
・登記完了証や登記識別情報の通知を受け取り、相続登記が完了
専門家に依頼せず自力で行う場合、手続きに必要な書類集めや書類作成、不備がないかの確認などは自分で行う必要があります。
※不動産登記申請は郵送やオンライン申請でも可
法務局のホームページによると、不動産登記申請は書面申請・オンライン申請の2種類となっています。
書面申請は郵送での受け付けにも対応していると書かれているため、法務局に出向く時間がない場合などもでも手続きしやすくなっています。
相続登記申請に必要な書類と準備方法
相続登記は法務局で行いますが、法務局に出向く前には以下のような準備が必要です。
1.相続財産の特定
2.相続人の調査(被相続人の戸籍などを集める)
3.相続人の確定、必要書類の収集
4.遺言がない場合は遺産分割協議書の作成
5.登記申請書の作成・申請
法務局から登記簿謄本(登記事項証明書)を取り寄せる
法務局から登記簿謄本(登記事項証明書)を取り寄せましょう。
登記簿謄本では、相続不動産が現在誰の名義になっているのか、担保設定などの権利関係者がわかります。また、相続は不動産物件の借金も同時に引き継ぐことになるため、物件情報を調べて把握しておくことが重要です。
相続登記をする場合、亡くなった人が登記名義人かどうかによって、今後の手続きが変わってきます。そのため、登記簿謄本を取り寄せて確認する作業は欠かせません。
亡くなった方と相続人の関係を法的に証明する書類を市役所から取り寄せる
相続人と被相続人(亡くなった方)の関係を法的に証明するための書類を、市役所の市民課から取り寄せる必要があります。必要な書類は以下のとおりです。
・被相続人の住民票の除票
・被相続人の出生から死亡までの戸籍
・登記する相続物件の所有者になる相続人の住民票
・相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書が必要ない場合は必要なし)
・相続人全員の現在における戸籍謄本
法定相続分の割合で不動産を相続する場合は、相続人全員の住民票が必要となります。
固定資産税評価証明書を市役所から取り寄せる
固定資産税評価証明書を市役所の固定資産税課から取り寄せましょう。
相続登記の際には、登録免許税を法務局に支払う必要があり、固定資産税評価証明書は登録免許税などを計算する際の根拠となる書類です。
また、異なる市町村に複数の不動産があり、それらの相続登記を行う場合には所在地となる市区町村の役場から固定資産税評価証明書を取り寄せる必要があります。
相続登記に必要な書類を作成する
相続登記に必要な、「登記申請書」「相続関係説明図」「遺産分割協議書」という三つの書類を作成しましょう。
また、相続放棄している人がいる場合には「相続放棄申述受理通知書」を用意する必要があります。
相続登記に必要な書類は、原本を提出しなければいけません。念のため、申請書類一式はコピーを取っておくとよいでしょう。
住民票などの証明書は有効期限(発行から3か月以内のものが多い)があるため、早めに提出することが大切です。また、請求書を申請すれば、登記完了後に申請書類の原本還付も受けられます。
相続登記をする際に必要な費用
専門家に依頼しない場合には、戸籍謄本や住民票の取得、収入印紙代、交通費などがかかります。
専門家に依頼する場合は、相続登記の件数や手続きの難しさなどによって費用が異なります。
相続登記を自力でするメリット・デメリット
次に「相続登記を自力でするメリット・デメリット」について解説します。
メリット
専門家に依頼するケースと比較して費用を抑えられるというメリットがあります。
現在は、インターネットや専門書などの書籍で調べたりして情報を自分で得られるため、手間はかかりますが自力での相続登記もしやすい環境です。
デメリット
相続登記にはある程度の知識が必要で、準備や手続きに時間と手間がかかってしまいます。また、相続人の確定が難しい、遺産分割協議でトラブルが発生している、書類に不備がありやり直しになるといった場合もあります。
法定相続情報証明制度を利用することもできますが、手続きを一人で行うことは困難です。
法定相続情報証明制度とは、法務局に戸籍一式を提出することで「法定相続情報一覧図の写し」が交付される制度で、相続登記以外の手続きにも活用できます。
相続登記はできるだけ早めに済ませた方がよい
相続登記が義務化されることもあり、早めに相続登記を済ませた方がよいでしょう。
法改正が施行される時期になると、窓口が混雑することが予想されます。
登記完了予定日が遅れる可能性もあるため、まだ相続登記を済ませていない不動産がある場合は、早めに済ませておくと安心です。
まとめ
これまでは相続登記は義務ではありませんでしたが、法改正により義務化されるため、早めに相続登記を行っておくとよいでしょう。
しかし、自分で相続手続きをする場合、ある程度の知識が求められるだけでなく、時間や手間もかかります。
相続や相続登記の手続きに疑問や不安がある場合には、管轄の法務局に相談したり専門家に依頼したりするとよいでしょう。
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・相続の税理士費用は誰が払うのがよいか
・税理士費用の目安
・税理士費用を払う際の注意点
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佐藤修一公認会計士事務所代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716)
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