相続手続きを代行してもらったほうがよいのか、自分で行うべきか迷うケースもあります。

相続手続き代行は必要になるケースが多く、積極的に検討すべきです。

この記事では、相続手続き代行を行っている専門家や、相続手続き代行が必要な理由について解説します。

相続手続き代行を選ぶ方法や費用相場にも触れるので、参考にしてください。

 

相続手続きはどんな流れなのか

相続手続きとはどのような流れで行われるものなのでしょうか。

まずは全体の流れをみてみましょう。

遺言書があるか確認する

最初に、亡くなった人の遺言書が残されているかどうか確認します。

あれば、基本的に遺言書に従って相続手続きを行わなければなりません。

ただし、相続人全員の同意があれば、決して遺言書に従わなくてもよいことになっています。

遺言書の有無は公証役場で確認を行います。

公証役場にない場合、自宅や貸金庫などを自分で探すしかありません。

相続人を把握する

相続人が誰か把握しなければ遺産についての協議ができないため、誰が相続人なのかを把握します。

被相続人の遺言書がない場合、相続人の把握が最優先です。

しかし、いずれにしても遺言書の有無に関わらず、相続人の把握は手続きの際に必要になります。

相続人を把握するには、被相続人(亡くなった人)の戸籍などが必要です。

相続財産を把握する

相続財産には不動産や動産、金銭債権などがあります。

プラスの財産だけでなく、マイナスの財産もすべて含めて、相続財産の全体像を把握しなければなりません。

住宅ローンやクレジットなどの借金類も忘れずにチェックしましょう。

相続人全員で遺産分割協議を行う

遺産分割の成立には相続人全員の合意が必要です。

したがって相続人全員で遺産分割協議を行います。

遺産分割協議に期限はないため、内容が合意に至るまで話し合うのが基本です。

しかし、遺産分割協議書の作成に期限はないものの、相続税申告には期限があるため、間に合うよう注意をしながら遺産分割協議を進めなければなりません。

遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議の終了後に、協議内容を元にして遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書には、各相続人がどの遺産を取得するのか、明確な記載が必要です。

ただし、遺産相続を一人で行う場合は、遺産分割協議書は不要です。

相続の手続きを行う

準備が整ったら相続の手続きを行います。

相続人は単純承認、相続放棄、限定承認から相続の方法を選択します。

限定承認とは、相続した財産の金額を限度にして、亡くなった方の債務の支払いにあてることを決めて、相続をすることです。

借金はあるが、どうしても引き継ぎたいプラスの遺産もあるという場合に選択できます。

相続税の申告と納税を行う

相続人になる場合、相続税を申告しなければなりません。

これは遺産分割協議の終了如何に関わらず、期限内に申告しなければならない決まりです。

相続人に該当しても、遺産を相続しない場合や、そもそも財産全体の金額が基礎控除額以下の場合、申告の必要はありません。

一方、申告漏れは脱税になるかもしれないため注意しましょう。

相続登記を行う

相続遺産のなかに不動産がある場合、相続した不動産の所有権移転登記を行います。

いわゆる不動産の名義変更の手続きです。

過去に相続登記の手続きが漏れていると、何代分もの手続きを一度に求められることもあります。

相続手続き代行が必要な理由とは

相続手続きには複雑なものが多いのが難点です。

必要な書類もたくさんあり、すべて集める労力、かかる時間だけでもかなりの負担になります。

間違えればやり直しになり、期限内に手続きが完了しなければペナルティが発生することもあります。

相続手続きの負担をすべて負うのは難しく、相続手続きの代行を依頼するほうが効率的でしょう。

複数の専門家が相続手続き代行を行っている

相続手続きの代行は、複数の専門家が行っています。

どのような専門家がいるかを確認してみましょう。

司法書士

司法書士は、法律関係の業務を依頼できる相手です。

とりわけ司法書士には不動産登記を依頼できます。

また、遺言書の検認申立書類の作成なども司法書士に頼めます。

一方、相続税の申告や、親族同士の紛争解決などはできません。

行政書士

行政書士にも相続に関する雑務を依頼できますが、弁護士や司法書士に比べるとできることが限定されます。

行政書士は主に相続人調査、相続財産調査を行います。

相続登記、裁判所への提出書類の作成などはできません。

弁護士

弁護士には、相続手続きのほとんどを依頼することができます。

ただし、相続税申告に関する業務は税理士の独占業務になるため、弁護士では対応できないことに注意しましょう。

不動産登記は司法書士に任せることが多いですが、弁護士が業務として行うこともできます。

税理士

税理士には相続税の申告手続きが依頼できます。

遺産分割協議書の作成から相続税の申告書までを任せることが可能です。

遺産分割協議の際に、話がまとまるよう助言を求めることもできるでしょう。

また、相続対策や相続税の特例を使って節税したい場合にも向いています。

銀行

相続手続きの窓口がある銀行には、手続きを依頼できます。

銀行では各専門家と提携しており、煩雑な手続きを一括して完了まで行えるため、窓口を一元化できて便利です。

ただし、銀行への依頼は費用が割高になることが多いでしょう。

相続手続き代行を選ぶ4つの方法とは

どこに相続手続き代行を頼んだらよいか、選択するには4つのチェックポイントがあります。

それぞれについて解説します。

口コミや評判を確認する

代行業者について、公式ホームページのお客様の声を確認してみましょう。

よい評判だけでなく厳しい意見があるかどうかもチェックすべきポイントです。

一般の口コミサイトや、ブラウザの検索結果なども参考になります。

妥当な金額かどうか判断する

代行の金額について、妥当な金額かどうかをホームページなどで確認しましょう。

そのうえで複数の事務所で相見積もりを行うのが理想的です。

その金額内で必要な手続きをしっかり完了できるか確認することも大切です。

コミュニケーションが円滑にとれるか

相続手続き代行を依頼するにあたって、コミュニケーションが円滑であることは重要です。

見積もり等の段階で印象のよくない事務所は避けるほうがよいでしょう。

親身になってアドバイスしてくれる事務所を選ぶのがおすすめです。

不審な点がないか確認する

公式ホームページをみるとき、不審な情報がないか確認しておきましょう。

具体的な料金の記載がない、住所の記載がないなどの不審な点がある場合、その業者は避けるべきです。

ほかにもホームページの内容に整合性があるか等も参考になります。

相続手続き代行の費用相場はいくらか

相続手続き代行にはどれくらいの費用がかかるか気になるものです。

費用相場について確認してみましょう。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書の作成にかかる費用は最低価格で3万円前後、相場は5万円~10万円前後です。

また、相続財産の額によって費用が変わるという事務所もあります。

遺産分割協議書に関与するのは弁護士、司法書士、行政書士、税理士などです。

遺産分割協議書に押印する印鑑は、印鑑証明書の印鑑でなくてはならず、市区町村役所で印鑑証明書を取得する必要があります。

遺産分割協議書を金融機関に提出する際、印鑑証明書の有効期限に注意しましょう。

戸籍・住民票の収集

遺産相続を行うためには、関連する戸籍や住民票を収集しなければなりません。

これらの書類取得にかかる費用相場は2万円~3万円前後です。

故人が生前、遠方から本籍を移動したりしている場合は取り寄せに費用がかかるため4万円を超えることもあります。

自分で行う手間を省きたい方や役所の開庁にスケジュールが合わない方は、代行依頼がおすすめです。

戸籍や住民票の収集を相談できるのは弁護士、司法書士、行政書士、税理士です。

不明な点は市区町村役所に問い合わせてみましょう。

金融機関に提出する際は、印鑑証明書の有効期限に注意してください。

相続登記

相続登記を司法書士に依頼した場合の費用相場は10万円前後です。

登記対象の不動産の数や相続人の数によって費用が変わる場合もあります。

相続登記を依頼できる専門家は、司法書士もしくは弁護士です。

相続登記に関する不明点は、該当する不動産のある地域の法務局へ問い合わせましょう。

なお相続登記は、令和6年4月1日を施行日として義務化されることが決まっています。

また、相続登記をしないと相続した不動産の処分ができず、いざというときに困ることもあるため注意してください。

有価証券と預貯金の名義変更

有価証券と預貯金の名義変更にかかる費用の相場は5万円~10万円前後です。

相続財産が多いと費用が増えるという事務所もあります。

名義変更の依頼先は、弁護士、司法書士、行政書士、税理士のいずれかです。

また、有価証券と預貯金に関する問い合わせ先は、有価証券ならば保有する証券会社、預貯金ならば金融機関となります。

注意点としては、名義変更をしないと預金の引き出しが難しくなることがあります。

勝手に引き出しはできないことに注意しましょう。

相続手続き代行を銀行に依頼するメリット・デメリットとは

相続手続きの代行を銀行に依頼する場合のメリットとデメリットについて解説します。

メリット

銀行での相続手続きは、事務処理に遅れが生じにくいのが特徴です。

銀行がそれぞれ専門家に依頼し、すべての手続きを代行してくれるため、それぞれの専門家に自分で依頼する手間もありません。

倒産リスクが少ないのもメリットです。

デメリット

手続きだけではなく代行者も銀行に探してもらう形になるため、士業に比べて費用が高くなることがデメリットです。

また、銀行側の担当者や専門家を自分で選ぶことはできません。

相続手続き代行を士業に依頼するメリット・デメリットとは

弁護士、税理士など各種の士業に相続手続きの代行を依頼する場合のメリットとデメリットについて解説します。

メリット

自分で事務所を探して依頼することになるため仲介業者がなく、低コストに収まりやすいのがメリットです。

人事異動が少ないため同じ人がずっと事務所に在籍している可能性は高く、担当者と長い付き合いをしていきたい人にも向いているでしょう。

デメリット

士業の事務所は、企業体力面で銀行に劣ります。

それはやむを得ないことではありますが、事務所に倒産リスクがあるのも確かです。

相続だけではなく、他の件についても長期にわたって任せていきたいと考えている場合は倒産リスクを考慮しましょう。

相続手続き代行を利用する際の注意点

相続手続き代行を利用するなら、依頼したい業務を専門としているかどうかについて確認しておくことが欠かせません。

特に相続税は税理士、他の相続人との間に入る調整などは弁護士など資格で限定される業務もあるため、担当者が資格を保有しているかは重要です。

また、相続を得意としているか事前に確認するとよいでしょう。

まとめ

相続は煩雑な手続きを伴うことが多く、個人で行うと多くの労力と時間を割かなくてはなりません。

早い段階で専門家に手続きの代行を依頼すれば、スムーズな相続手続きが可能です。

また、費用を節約しながら相続の代行を依頼する場合、士業への代行依頼がおすすめです。

とりわけ相続税の支払いや節税でお悩みなら、相続に強い佐藤修一公認会計士事務所へお気軽にご相談ください。

初回相談は無料になっております。

相続税の申告のお手伝いはもちろん相続人調査や遺産分割協議書の作成についてもどうぞお気軽にお問い合わせください。

まずはこちらのフォームよりお問合せをお待ちしております。