飲食店、美容室、小売業等など現金商売の資金繰りのコツについて説明します。
現金商売ビジネスは、資金繰りが他の業種より、上手にすれば楽になりやすい業種です。
軌道にのれば、店舗展開が早い業態です。
店舗展開が速い分注意することがあります。
なぜなら、現金商売である飲食業は、儲けたお金以上に、お金が手元に残るからです。
小売り大手のイオン、セブンアイホールディングはスーパー、コンビニ等の現金商売がベースの事業です。
ともに、お金が残りやすい現金商売であるために、イオン銀行、セブン銀行等で余ったお金を運用しています。
現金商売で資金繰りが悪化する原因は、「儲け、利益が足りないこと」と「手元の保有しておく現金預金が足りない」ためです。
次で現金商売で資金繰りに困らないためのコツを説明します。
①毎月の経費と借入金の返済総額を把握する
月々発生する家賃、人件費、水道光熱費などの経費などを集計します。
材料の仕入金額は含めません。
また、毎月の借入金の返済額を集計します。
毎月の経費+毎月の借入金の返済額
②毎月の経費以外の支払いために毎月貯めておく金額を把握する
毎月支出はない経費の支払いのために資金を貯める準備をします。
支払うタイミングで資金繰りに苦労しないためです。
金額的に大きな支出となるものをピックアップします。
・半年に一回の賞与
・特に消費税などの税金、保険料
・2年に一回の車検費用等
金額の小さいものは考える必要はありません。
支出の頻度の応じて月々どれくらい金額を貯めておく必要があるのかを計算します。
年一回の支出の場合は、年一回の支出の合計金額÷12か月
賞与のような半年に一回の支出の場合、支出額÷6ヶ月
これらを集計し、毎月の経費以外の支払いで貯めておくべき金額を把握します。
毎月支出のない経費への貯蓄額=消費税一か月分の経費+賞与の一か月分の経費+その他一か月分の経費等
③毎月必要な粗利益(売上-仕入原価)を計算します。
①と②の合計した金額が最低限必要な粗利益となります。
売上から原価を引いた粗利益が経費を支払、借入金を返済するためのお金となります。
③毎月必要な粗利益=①毎月の経費+借入金の返済額+②毎月の支出のない経費ための貯蓄額
④毎月必要な売上を計算します
③で計算した毎月必要な利益の金額から最低限必要な売上の金額を計算します。
・小売り業、飲食業の場合の必要な売上の金額=毎月必要な粗利益金額÷原価率
・サービス業の場合の必要な売上金額=毎月必要な粗利益の金額
実際の売上がここで計算した毎月必要な売上を下回る場合は、手元資金が少なくなっていきます。
⑤常に保有しておく預金残高を把握する
ここは結構重要です。現金商売では資金が貯まりやすいので、ついつい使ってしまいがちです。
売上の変動があっても家賃、給料、広告費などの毎月の経費は支払う必要があります。
ですから、
月々の売上の変動が大きいほど、より多めに手元資金を、
月々の売上の変動が小さければ、少なめに手元資金を保有する必要があります。
余裕をもって経営するために最低③で計算した経費の金額(①毎月の経費+借入金の返済額+②毎月の支出のない経費ための貯蓄額)の2か月分の手元資金は欲しいところです。
毎月の売上の変動が大きい場合は、③の金額(①毎月の経費+借入金の返済額+②毎月の支出のない経費ための貯蓄額)×3ヶ月分ぐらいあれば安心です。

佐藤修一公認会計士事務所代表、合同会社CMA代表
キャッシュフロー経営コンサルタント 公認会計士 税理士
新日本有限監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人)の東京事務所で上場企業の会計監査、総務省委託研究経理検査、内部統制構築支援、財務のデューデリジェンスに従事
その後、地元の福岡の中堅の税理士法人にて、中小企業の経営を会計、税務面からサポート
試算表ではキャッシュフローが見えない、経営できないと感じ、キャッシュフローを重視した経営の必要性を痛感し、佐藤修一公認会計士事務所を2013年8月に開業
開業後は、創業期の会社から上場準備会社まで中小企業の成長のための投資に備え、倒産しない、筋肉質の会社を作るためのキャッシュフロー経営の普及、freeeやマネーフォワードなどクラウド会計を使った経理の効率化・スピードアップを図り、経営ビジョンの明確化、実現のためのサポートを行っている
北部九州公認会計士協会所属 登録番号 028716
九州北部税理士会 福岡支部所属 登録番号 125272
経済産業省認定 経営革新等支援機関