建設業の会計について説明しています。
出来るだけ簡単な会計処理方法について説明していますので、一般的な建設業会計とは異なります。
一般的な建設業会計は、科目が多く複雑ですので、ここでの説明は、いかに建設工事から利益を売上と原価を対応させて計算するかを目的としています。
建設業では、工事完了したタイミングで売上を計上する必要があります。
工事完了したタイミングとは①作業完了、②引き渡し、③検収④得意先が使用可能になった時の4つから自社にあったタイミングで売上を計上します。
一方、工事完了した売上に対応した原価のみを工事原価として費用に計上し、
工事が完了した分の売上と原価を差し引き粗利益(売上総利益)を計算します。
金額 | 内容 | |
売上 | ×× | 工事完成分の売上 |
工事原価 | △×× | 売上に対応する工事原価 |
粗利益 (=売上総利益) | ×× | 工事完成分の粗利益 |
しかし、建設業では、工期が長くなり、月や年をまたぐことが多々あります。
この場合、工事未完成分の工事原価の支払いが工事完成前に発生することがあります。
売上より工事原価の支払いが先に発生する場合、
工事完成前の原価を次のように経費として処理してしまうと、
原価に工事未完成分が含まれてしまい、原価が過大に計上されてしまいます。
借方 | 借方金額 | 貸方 | 貸方金額 |
外注原価※ | ×× | 買掛金 | ×× |
※仕入高と同じ売上原価の区分に科目に追加します。
例えば、ある業者への支払いが120万円の場合、完成工事分40万円、未完成工事分80万円含まれているとします。
このような場合の正しい会計処理の方法は次のようになります。
借方 | 借方金額 | 貸方 | 貸方金額 |
仕掛品 | 80万円 | 買掛金 | 120万円 |
外注原価 | 40万円 |
その後、上記の未完成分の80万円の原価にかかる工事が完成したとします。
その時には次のような仕訳を作成します。
借方 | 借方金額 | 貸方 | 貸方金額 |
外注原価※ | 80万円 | 仕掛品 | 80万円 |
手間が少し増えますが、このようにすれば、毎月の試算表で利益をきちんと計算することができるようになります。
そうすることで、粗利益-工事原価以外の経費-借入金の返済=自由に使える資金が計算できます。
但し、この処理を行うためには、工事現場単位で売上と原価を集計が必要ですのでご注意下さい。
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佐藤修一公認会計士事務所代表、合同会社CMA代表
キャッシュフロー経営コンサルタント 公認会計士 税理士
新日本有限監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人)の東京事務所で上場企業の会計監査、総務省委託研究経理検査、内部統制構築支援、財務のデューデリジェンスに従事
その後、地元の福岡の中堅の税理士法人にて、中小企業の経営を会計、税務面からサポート
試算表ではキャッシュフローが見えない、経営できないと感じ、キャッシュフローを重視した経営の必要性を痛感し、佐藤修一公認会計士事務所を2013年8月に開業
開業後は、創業期の会社から上場準備会社まで中小企業の成長のための投資に備え、倒産しない、筋肉質の会社を作るためのキャッシュフロー経営の普及、freeeやマネーフォワードなどクラウド会計を使った経理の効率化・スピードアップを図り、経営ビジョンの明確化、実現のためのサポートを行っている
北部九州公認会計士協会所属 登録番号 028716
九州北部税理士会 福岡支部所属 登録番号 125272
経済産業省認定 経営革新等支援機関