マルサのITデータの強制調査へ

税務・節税

2016/11/14

2016/11/14

国税庁の国税査察官(マルサ)のクラウド情報に関する調査権限強化に関する法改正が行われるようです。

マルサ‥何となく怖いイメージですね。

国税査察官(マルサ)は、裁判所から許可状をえて、大口悪質な脱税者に対して捜索・差し押さえ等の強制調査を行い、刑事罰を求めるために告発するのが仕事です。

よって、今回の法改正は、大口・悪質は脱税者の調査についてが対象になります。

ちなみに通常の税務調査は、あくまで「任意調査」であるのに対して、

国税査察官による調査は、「強制調査」になります。

現在、国税査察官(マルサ)が税務調査を行う際、協力を得て、任意で、パソコン上からメールなどのIT情報を入手していました。

現在の法律では、強制的に、IT情報を入手できる法的権限がないからです。

今回の法改正により、国税査察官が、同意なく、パソコン上のデータを複写して調査できるよう法的権限を持たせるようになるようです。

昨今、企業のITの利用が進んでおり、紙媒体での調査によって把握できる情報に限界があるからだと思います。

そして、今回の法改正で驚いたのは、情報を入手の範囲が調査対象会社のPCからだけでなく、

国税査察官が調査対象会社の利用しているクラウドサービスを提供している会社から直接から情報を入手できるようになるということです。

より効果的かつ、効率的な国税査察官による調査をおこなうことが目的になります。
クラウドサービスは、メールだけでなく、業務管理ツール全般に及びます。

国税査察官のクラウド情報の直接把握に加え、これまで、日没以降の強制調査は認められていなかったのが、

今回の法改正により、夜間の強制調査が認められるようになるようです。

法改正の対象となる法律は、国税犯則取締法になるようです。

国税犯則取締法とは、国税に関する犯則事件について収税官吏が行う調査及び処分に関する手続きを中心に規定している法律です。

この国税犯則取締法の68年ぶりの改正になるようです。

国際的な税務当局の連携もあり、タックスヘイブンを使った租税回避を防止することも想定しているようです。

通常の税務調査もいずれは、税務署がこのようにクラウドサービス提供会社から直接企業情報を入手できるようになるのでしょうか。

そうなれば、悪いことをしていなくても何となく怖い気がします。

今後、IT情報に関する税務調査権限、目が離せません。

佐藤 修一

佐藤修一公認会計士事務所代表

(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。