儲けるための数字が分かる! 中小企業を強くするキャッシュを増やす財務数字の見方・考え方

その他

2024/10/18

2024/10/17

このブログでは、中小企業が儲けるために、どんな数字見て経営をすればよいのか、

中小企業がキャッシュを増やし、強い会社になるにはどんな数字を見て経営すればいいのかについて解説しています。

なぜ、このようなブログを書いているかというと、私はこれまで、300社を超える中小企業の経営者とその経営の結果である決算書などの財務数値を見てきました。

そこで感じるのは、財務数字は、過去の取引、意思決定の結果を表すもので、経営の状態を嘘偽りなく、客観的に表すことができ、

そして、財務数値にはたくさん見方・切り口があり、その見方・切り口によって、同じ会社が良い会社に見えたり、悪い会社に見えたりします。

自社の財務数値が良い会社だと認識すれば、改善は進みませんし、悪い会社だと認識すれば、改善が進みます。

また、売上を重視するのか、粗利益を重視するのか、営業利益を重視するのか、それともキャッシュなのか、

なにを一番重視して経営した方がよいか、色んな考え方があります。

ココが重要で、重視する財務数値がドンピシャだと、経営がどんどんうまくいくし、ハマっていないと、どんなに頑張っても、ぜんぜん良い方向に進みません。

これは、これまで倒産した会社、倒産寸前から復活した会社を見てきて、断言できます。

恥ずかしながら、私自身のリードミス、力不足で倒産に至ったケースも数多くあります。

一方で、営業損失が1億を超える会社で3カ月で資金ショートしそうな会社が復活するなど、経営がうまくいっている会社も数多くあります。

だからこそ、私が、これまでたくさん中小企業の経営を近くで長期に伴走をしてきて中で、儲かる経営にして、キャッシュをしっかりと残し、財務の数値を良くするための数字の財務数値の見方や使い方について解説していきます。

このブログを読むと分かる4つの質問

Q1 売上・利益を増やせばキャッシュは増えますか?

Q2 キャッシュが減少しても節税はした方が良いですか?

Q3 売上を増やせば利益は増えますか?

Q4 利益率アップを目指して経営することは良いことですか?

⇒ 4つの質問答えは全てNOです!

節税はしない方が良い?、利益率をアップしたら悪い?‥これまで聞いてきた内容と異なる答えだと感じる人も多いと思います。

嘘臭いかもしれませんが、本当にすべてNOなのです。

これから一つ一つ解説していきたいと思います。

中小企業が継続的にキャッシュを増やす2つの方法

まず、経営の生命線であるキャッシュを中小企業が増やす方法について考えてみます。

キャッシュが継続的に減少すれば、会社はいずれ倒産しますし、継続的に増加させることができれば、会社が倒産することはありません。

中小企業が継続的に使えるキャッシュを増やすには、以下の2つしかありません。

一つは「利益を稼ぐ」こと
もう一つは「借入をする」こと

これら以外で、資産をキャッシュに変えたり、債権の回収を早めたり、支払を先送りにしたりと、一時的にキャッシュが増えることがありますが、これらの効果はあくまで一時的で、継続しません。

銀行からの「借入」は、いずれは、返済する必要があります。

よって、「借入」でキャッシュを増やし続けるには、「返済額<借入額」となる必要があります。

しかし、延々と借入する事は、延々と企業規模が拡大しない限りは不可能です。

延々と企業規模が拡大し続ける中小企業があれば、可能ですが、現実的ではありません。

また、借入を返済する原資となる利益を出さないと借入を返済することができません。

よって、「利益を稼ぐ」ことが、継続的にキャッシュを増やすために必ず必要となります。

稼いだ利益をキャッシュとして残す方法

利益が増えてもキャッシュは増えません。

その理由は、経営をしていると「利益は色んなものに変わる」からです。

例えば、売上を増やためには、在庫の増加、売掛金の増加、固定資産の増加が必要なケースがあります。

このような場合には、利益が増えても、なかなか、キャッシュが増えません。

増えた利益が色んなものに変わった後、それでもプラスになれば、キャッシュとして残ります。

マイナスになれば、銀行から借入で足りない分をカバーします。

利益がでていて、キャッシュが不足するのは、利益は色んなものに変わっているからです。

まずは、稼いだ利益が何に変わっているかを把握することが大切です!

強い会社とはどんな会社

ここで、強い会社とはどんな会社か考えてみます。

生き残る力がある会社が強い会社だと思います。

だとすると、「強い会社=倒産しにくい会社」です。

そして、どんなに良いサービスを提供していても、資金がショートしてしまった時は、会社は倒産してしまいます。

よって、「倒産しにくい会社=資金ショートしにくい会社」として、どうすることで強い会社になることができるかを考えていきます。

資金ショートはなぜ起こる?

資金ショートは、持っているキャッシュより支払うキャッシュの金額が大きくなり、資金が不足している状態です。

よって、資金が不足している状態になるのは次の①、②のケースです。

①収入より支出が多い状態が続き かつ 預金残高少ない
②突然の多額の支出が発生(突然の収入がストップする)

つまり、①、②を回避し、倒産しにくい会社、つまり、強い会社と言えるには次の2つの条件を満たすことが必要です。

強い会社の2つ条件

(1)利益(キャッシュ)を増やす力・稼ぐ力がある
かつ

(2)突然の支出・収入ストップに対して耐えるキャッシュを持っている

これまで、多くの会社の伴走をしてきて断言できるのは、「売上」ではなく「利益」にこだわる会社は強い会社になります。

そして、「利益」を同じくらい「キャッシュ」を重視し、しっかりと「キャッシュ」を保有して、経営しています。

これは、パナソニックの創業者の松下幸之助が実践していた「ダム式経営」にあたるものだと考えています。

ダムに水を貯めておいて、雨が少なくなって水が必要な時に放流できる体制を作っておくこと、つまり、企業が成長するために、利益を蓄え、将来の外部環境、景気の変化に左右されにくい会社にすることにつながると考えています。

これは「長期に経営を継続すること」を重視した考え方です。

では、次に、長期に渡って(1)利益を稼ぐ力を維持するにはどうすればよいか考えています。

ビジネス長期的に継続するための2つの条件

ビジネスを長年行っていくと、

昨年好調だった商品・サービスが、強力な競合に市場を奪われ、大幅に売上が減少したかと思えば、バズってバカ売れしたり、

得意先が好調で、受注が急増したかと思えば、不調になり、急減したり、

多額の補助金をたまたま受給できたかと思えば、トラブルにより、多額の損失が発生したり、

ビジネス環境は、刻々と変化し、その変化を予期することはできません。

よって、将来に渡り、ビジネスを継続させていくには、次の2つが必要となります。

①「現在と将来の稼ぐ力を維持・継続・強化するための投資を行なうこと

②「予期できないリスクに耐えるためのキャッシュを保持すること

投資を行い、色んなリスクに耐えるためには、とにかくキャッシュが必要です。

そして、中小企業がキャッシュを増やすには「利益を増やす」か「借入を増やす」のいずれかになります。

ここからは「利益」と「借入」の違いについて、説明したいと思います。

利益と借入の違い~将来の投資

これまで、経営者の方に「キャッシュが回っていれば、利益を出さなくても、借入でもいいんじゃないですか?」と聞かれたことがあります。

キャッシュが回っていれば潰れないので、ある意味その通りだと思います。

ただ、借入と利益の違いを知っておく必要があると思います。

なぜから、以下のような違いがあるからです。

まず、利益と借入の関係ですが、

「借入は、将来稼ぐ利益を前もって借りたもの」です。

よって、借入で投資を行うことは、将来、回収する利益を原資に投資を行うことになります。

つまり、投資を利益と借入で行う場合の違いは、いつの利益で投資を行っているかの違いがあります。

利益で投資を行うことは、過去に稼いだ利益で投資を行う

借入で投資を行うことは、将来稼ぐ利益で投資を行う

また、借入の返済がある場合とない場合では、稼いだ利益のキャッシュとしての残り方に以下のような違いがあります。

返済がある場合には、利益から返済が差し引かれ、キャッシュとして残ることになります。

この場合、利益が返済金額を下回ってしまうと、キャッシュが徐々に減少し、この状態がずっと続くといずれは資金ショートしてしまいます。

一方、返済がない場合には、利益がそのままキャッシュとして残るため、返済がある場合に比べて、残るキャッシュは多額になります。

そして、利益がマイナスにならない限りは、不良資産が増えない限りは、長期的には、キャッシュが徐々に増加していくことなります。

利益を原資に投資を行う場合と、借入を原資に投資の行う場合の違いをまとめると次のようになります。

将来への投資を 利益を原資に 借入を原資に
メリット 回収できなくても、影響なし タイムリー、投資規模
デメリット タイムリー、投資規模 回収できないとき、負の遺産となる。
つまり、将来の支出=ビジネスを継続するための必要利益が増加、将来の競争力に影響も、倒産リスクが高まる

借入を原資に投資を行う場合のメリットは、何と言っても、利益の蓄積を待つことなく、タイムリーに投資を行うことができ、多額に借入を行うことができれば、多額に投資を行うことができる点です。

借入を原資で行う場合のデメリットは、上記にあるように投資を回収できない場合、借入の返済分が、負の遺産となってしまいます。

つまり、返済金額分だけ、将来の支出が増加するため、ビジネスを継続するために稼がないといけない利益が増加します。

ビジネスを継続するための損益分岐点が高くなってしまうのです。

これが、ビジネスの難易度を高め、倒産リスクを高めることにつながります。

また、同じようなビジネスを行う競合他社が仮に、同じ損益の構造で、借入の返済がない場合、借入の返済だけ、自社よりも競合他社の方が残るキャッシュが多額にあり、これが競争力に影響を及ぼす可能性があります。

一方、利益を原資投資を行った場合には、投資が回収できなくても、将来のキャッシュフローに対して何も影響がありません。

しかし、稼いだ利益だけで投資を行う場合には、利益の蓄積を待ってからの投資になってしまうため、必要な時期に、必要な規模の投資ができない可能性があるデメリットがあります。

利益と借入の違い~リスクへの備え

次に将来へのリスクへの備えを利益と借入で行う場合の違いついて考えてみます。

ユニクロの柳井さんを始め、多くの経営者に支持されている経営学者のであるピータードラッカーは、

利益は将来のリスクに備え、企業が存続するためにある」と言っています。

このことから利益は、将来に起こる可能性のある様々なリスクが現実になった時に発生するコストを負担するために必要です。

将来へのリスクに対して、利益で備えるか、借入で備えるかによって以下のようなメリット、デメリットがあります。

リスクに対して 利益で備える 借入で備える
メリット 将来への事業への影響なし 耐えることがリスクが大きくなる
デメリット 絶えることがリスクが小さくなる 返済分だけ将来の支出がふえるため、将来の必要利益が増加
倒産リスクが高まる

新型コロナが流行した際、飲食店や小売店を中心に多くのビジネスで売上が急減又は、ストップしました。

このように売上が急激に減少する場合、その売上の減少が回復するまでの間、会社を継続させるため、ランニングコストを負担し続ける必要があります。

このようなコスト負担を自社で稼いだ利益で耐えるか、コロナ融資などの借入で耐えるかの違いになります。

この違いは、リアルに多くの会社でおきていることです。

コロナの時期の赤字を過去の利益で乗り越えることができた会社は、コロナにゼロ金利の融資を受け、ゼロ金利が終わった後、コロナ融資を返済することができています。

そして、コロナ終息後に借入金の返済が増えることなく、経営ができています。

飲食店や小売店でこのような経営ができている会社は多くはありません。

一方、コロナ期のランニングコスト負担をゼロ金利融資を原資に耐えた会社は、コロナが終息し、

コロナ融資の返済がスタートした現在、ビジネスを継続するには、コロナ融資の返済分をカバーする利益を稼ぐ必要があります。

つまり、コロナ前に比べて、ビジネスを継続するために最低限稼がないといけない利益が大きくなっているのです。

多くの中小企業で、コロナ前なら、今の利益でビジネスが回っていたのに、回らなくなっているのを目の当たりにしています。

より、利益にフォーカスして、ビジネスを行う必要性が高まっているのです。

よって、ここからは、

①利益をどうやってキャッシュとして残すか⇒②利益をどうやって稼ぐか  の順番で説明してきたいと思います。

キャッシュを完全に理解し、強い会社になるための表「資金別貸借対照表」

どんな会社でもビジネスを長期で継続するには必ず、利益が必要です。

しかし、利益が増えてもキャッシュは増えません。

その理由は、経営をしていると「利益は色んなものに変わる」からです。

利益が色んなものに変わった結果、プラスになれば、キャッシュとして残ります。

マイナスになれば、銀行から借入で足りない分をカバーします。

まずは、自社の利益が何に、いくら変わっている方法を説明します。

強い会社(安全に投資ができ、潰れにくい)になるには、利益を増やすことが必要です。

利益は継続するとは限らず、利益がでないと新たな借入が難しくなり、延々と借入を増やすことは不可能で、スピーディーな投資を行なう場合でも、借入だけでなく、一定の利益の蓄積があった方が安全です。

そして、この「資金別貸借対照表」で

「稼いだ利益が何にどれだけの金額が変わっているのか」
「自社のキャッシュは、借入にどれだけ依存しているのか」

その他、資金ショートのリスクの把握、節税がなぜ、経営を強化することにつながらないのか、などなど色んなことが明らかになります。

ここからは具体的に「資金別貸借対照表」について説明していきます。

「資金別貸借対照表」から利益が何に消えているかを把握する

「資金別貸借対照表」とは、貸借対照表を並び変えたものになります。

右が増えると、キャッシュが増え、左が増えるとキャッシュが減少します。

この表を説明すると、上から、

これまで稼いだ利益が150万があることが分かります。

次に、資本金など50万を加え、トータルで自己資金が200万あることが分かります。

さらに、この自己資金200万が固定資産へ400万、在庫へ130万に変わっています。

その結果、自己資金が330万不足しています。

ここに1300万銀行から借入を行っており、その結果970万残っています。

さらに、稼いだ利益のうち、未入金の売上が900万、未払の仕入が500万あるため、利益と比べて、差引で400万がマイナスになっています。

この400万を加味すると、570万残っています。

この570万は、「安定資金」といい、月末時点現預金が970万あるうち、400万の短期の債務を払った後、残るキャッシュの残高です。

正直慣れないと意味が分からないと思います。

まずは、投資前のキャッシュである自己資金がいくらあって、いくら投資に消えているのかをまずは抑えてください。

そして、資金ショートしないために、現預金から短期債務を支払った後の残高である安定資金を一定水準まで増やすした方が安全な経営ができます。

できれば、この安定資金は、固定費の2か月ぐらいはあった方がいいです。

「資金別貸借対照表」の作り方

資金別貸借対照表上の名称 内容 貸借対照表の場所 調整する内容
損益資金 創業以来稼いだ利益の累計(投資前) 繰越利益剰余金 実質貸倒の債権や換金価値のない不良資産を控除
減価償却累計額を加算
株主資金 株主から調達した資金 資本金、資本準備金 実質資本金に近い役員借入金を加算し、実質役員報酬に近い役員借入金を控除
固定資産投資 固定資産に投資中のキャッシュ 固定資産 減価償却累計額を加算
在庫投資 在庫に投資中のキャッシュ 棚卸資産 換金価値のない在庫を控除
借入資金 銀行から調達中のキャッシュ
利益を前借しているキャッシュ、将来の利益から返済
短期借入金、長期借入金 実質、資本金となっている役員借入金を控除
売上仕入資金 売上仕入資金
稼いだ利益のうち、未回収の売上、未払の仕入金額
売掛金、買掛金、前渡金、前受金 実質貸倒債権を控除
流動資金 主に短期で支出予定の金額 上記の科目以外
現預金残高 月末に保有しているキャッシュの総額 現金、預金

まずは、科目ベースで作成し、その後、実質ベースで調整を入れます。

「資金別貸借対照表」の見方のポイント

「資金別貸借対照表」をしっかり説明すると、長くなるので、ここでは簡単に見方を説明します。

次の5つの点を中心に会社のキャッシュの状態を理解します。

①自己資金=損益資金+株主資金はプラスかどうか
マイナスであれば 利益が継続してでていないのであれば、ビジネスが成立していない可能性

②固定資産投資後の自己資金がプラスか
プラスであれば、自己資金で固定資産投資をカバー、実質的に固定資産投資に対するリスクはゼロ
マイナスが多額な場合には要注意

③在庫投資後の自己資金がプラスか‥利益で投資を行ない、リスク備えたい場合には、ココをプラスに
プラスであれば、自己資金で在庫投資までカバー、実質的なリスクのある投資はない
マイナスが多額な場合は、②と同様にリスクが高い

④借入後の自己資金はプラスか
年間を通じて、売上や仕入に季節性がある場合には、借入後の自己資金を十分保有することで、資金繰りが安定

⑤安定資金はプラスか‥利益<返済であれば、減少していく
マイナスであれば、翌月の資金ショートリスクあり
減少傾向であれば、ビジネスを継続するための必要利益が不足
安定資金が少額又はマイナスで、在庫投資後の自己資金がマイナスあれば、必要利益を稼ぐことに注力

キャッシュを使った節税をするとどうなるか?

「資金別貸借対照表」でキャッシュを使った節税した場合にどうなるかを見てみます。

節税の目的は、手元キャッシュを増やすことです。

中小企業で行う節税の一つに倒産防止共済があります。

倒産防止共済の掛け金は、全額経費でもいいし、資産として全額損金にすることができるため、税金負担を軽減することができます。

例えば、300万の利益が、倒産防止共済に240万支払うと、資金別貸借対照表では、以下の①、②の変化があります。

①240万の損益資金又は投資資金のマイナス
②240万×法人税率22~35%の税金減少=53~84万(240万×22~35%)の損益資金のプラス

①+②でトータルで固定資産投資後の自己資金が156万~187万のマイナスとなり、手元のキャッシュが減少してします。

キャッシュを増やすための節税が逆にキャッシュを減少させてしまうのです。

また、税金の支払いを後にして、税金を繰り延べるメリットは、「支出額」<「節税額」にならない限り成立しません。

つまり、100万円節税して、100万円以上の節税ができるケースです。

これは、税率が100%を超えない限り起こり得ず、100万稼いだら、100万以上の税負担が生じてしまいます。

このように税率が100%以上になると稼いだ金額を超える税負担になるため、ビジネスが成立しないため、資本主義が成り立ちません。

ここまでがどのようにキャッシュを残すかの話になります。

ここからはどうやって利益を稼ぐかの話に移っていきます。

利益を最大する方法はどっちの商品?

利益を最大化にするには、AとBどちらの商品に力を入れるべきか?

・会計的に考えるとどの指標が高いものを売るべきか?

体感ですが、アンケートをとってみると恐らく一番多いのは「粗利益率」を基準に考え、「粗利益率」の高いA商品を選び人が多いと思います。

しかし、経営的に考えると
どちらの方が差別化できている 強みを生かせる?
A商品とB商品のどちらの方が有効なマーケティング施策があるか?
A商品とB商品のどちらの方が施策を実行しやすい体制か?
どちらの方が長期視点で良いか?

など色んな視点があります。

会計の視点のみで考えたとき、利益を最大化するために「粗利益率」や「利益率」を基準に考えるべきケースは、稼ぐことができる売上高の上限が決まっているケースです。

なぜなら、同じ100万の売上であれば、粗利益率の高い方がより多く粗利益が残るからです。

しかし、現実には、売上高に上限がある会社は通常存在しません。

当社の売上は〇〇円を超えることはできない、又は絶対に超えたらダメだ、みたいな会社は聞いたことはありません。

よって、「粗利益率」、「利益率」を重視しても、利益を最大化することはできません。

しかし、「利益率」、「利益率」を重視している理由は、他に基準がないから、ただただ「粗利益」や「利益率」の高い商品を強化、利益率アップを目指して経営しているように思います。

会計の視点のみで考えとき、経験的には通常、「@粗利益」や「@利益」の高い商品を優先した方が利益の最大化につながることが多いように感じます。

多いだけで、全ての会社にはあてはまりません。

客数、販売個数を伸ばすことがボトルネックになっているビジネスが多く、客数、個数を伸ばすより、「@粗利益」や「@利益」を最大化する方が、費用対効果が高いことが多いからです。

しかし、「利益を最大化するために見るべき指標」は、個々の会社の状況、戦略、タイミングによって変わります。

唯一絶対の答えはありません。

利益を最大化するための指標の使い方

実際に利益を最大化する方法を考えてみると、

客数、販売個数を増やすことが難しい時は「@利益」に着目します。

なぜなら、100個売った時に、稼げる利益が400万と800万と違いがあり、「@利益」の大きい方を選択した方が、利益を最大化できるからです。

お金が足りないときには、「総コストに対する利益率」に着目します。

100万円使った時に、稼げる利益が67万と36万と違いがあり、「総コストに対する利益率」の大きいを選択した方が、利益を最大化できるからです。

人が足りないとき、今いる人員で利益を最大化するには、「労働時間当たりの利益(生産性)」に着目します。

労働時間の100時間の資源で考えたとき、稼げる利益が300万と1300万と違いがあり、「労働時間当たりの利益(生産性)」が高い方を選択した方が、利益を最大化できるからです。

生産性の詳しい説明はこちら

このようにどの指標に着目するかで、何に力を入れるか、何に力をいれないか、何を止めるか、何を改善すべきかの選択、意思決定が大きく変わります。

意思決定が変わると、当然成果である利益も変わってきます。

よって、「分析方法」は、非常に重要です。

つまり、利益を最大化するには、自社の「売る力」と「提供する力」のどちらがボトルネックか、複数の指標のバランスを考えた分析が必要です。

まずは、ボトルネックになっている「資源・力」を最大限活用し、利益を最大化する方法を見つけます。

次に、利益を増やすためにボトルネックなっている「資源・力」当たりの利益が最大の商品・顧客・サービスを強化・集中し、
利益を増やすためにボトルネックなっている「資源・力」当たりの利益がマイナス、小さい商品・顧客・サービスは改善・撤退し、
ボトルネックを解消することも同時に検討します。

スタッフ不足のボトルネックであれば、スタッフ不足の解消により 顧客獲得がボトルネックに変化します。

組織の成果を高める方法

損益計算書の利益は、過去の活動の結果もたらされます。

損益計算書の利益として、成果が表れるには、

まず、何をやるかの「意思決定」があり、

次に、どこまでやるかの「目標設定」があり、

そして、目標設定に応じた何をするかの「活動」があり、

その結果が、「成果」として損益計算書に表れます。

人が集まり、組織としてビジネスを行う場合にその「成果」を高めるには、

意思決定の内容が明確で、納得感・腹落ち感があり、(なにをやると成果につながるのか)
意思決定と目標とのつながりをイメージでき、(なぜ、それを○○円まで行うのか)
目標達成のイメージができると (その目標ならできそうだ)
モチベーションが高まり、成果が出やすくなります。 (やってやるぞ!)

ではここからは、会計的に利益を増やすための具体的なプロセスを説明してきます。

利益を増やす3つの方法

①儲からない活動を止める
②儲からない活動を改善する
③儲かる(利益の出る)活動に集中・強化する

日々の活動によって利益がでるかどうかが決まります。

その活動を決めるのは、何をやるかという意思決定です。

大切なのは、活動を増やすことではありません。

まず、特定の活動を止めること・少なくすることです。

これが難しいと感じています。
これまで正しい思ってやってきたこと、大切にしてきたことを止めないといけません。

歴史のある会社は特に心理的なハードルが高くなっています。

そして、成果を出すには、組織として、意思統一し、強くコミットすることが必要ですが、実際にはこれが難しいです。

なので、「強い説得力を持った止める理由」が必要となります。

時間がかかるケースが多く、人の入れ替わりが生じるケースも多いように感じます。

加えて、今後、人口減による人材難、人材コストの上昇が間違いありません。

よって、人という資源をより成果の出る活動に集中することが必要となるように感じています。

企業のポテンシャルを引き出す3ステップ PDCAサイクルの第一歩

①儲かる(利益の出る)活動か「分析」する
②「分析」結果に基づいて「意思決定・目標設定」する
③「意思決定・目標設定」に基づいて「実行」する

①の「分析」ができていないから、今後何をしたらいいのかの「絵が描けない」、鉛筆なめなめで絵は描けてたとしても、「絵にかいた餅に」になり、成果が出ないこと多いように感じています。

「利益率を○○%アップ」‥何をしたらいいか分からない、利益率がアップしたら、目標となる利益を稼ぐことができるか分からない‥アクションと成果が明確でないため、モチベーションが上がりにくい
「○○すれば、〇〇円利益が増える」‥アクションと成果が明確でモチベーションが上がりやすい

分析、意思決定、実行 PDCAサイクルとも言います。

仮に思ったように利益がでていなければ、どこかのサイクルでつまづいていることになります。

そして、中小企業でも最もつまづいている 間違っているのが「分析」です。

分析を間違ってしまうと、どんなに頑張っても、オペレーションがうまくいっても 成果がでない キャッシュが増えない 利益がでません。

私が、会計士になって本格的に最初に経営のご支援したお客様は、「事業の廃業のご相談」からでした。

話を聞くと、鮮魚の加工 卸と小売を行なっており、朝5時から夜10時まで毎日、働いても働いてもどんどん預金が減っていく‥涙ながらにご相談いただきました。

「売上高」を増やすことが、経営を立て直すための唯一の方法として、頑張られていました。

そこで、分析をしてみたところ、一番手間のかかっている売上の大きい卸先が一番薄利になっていることが分かりました。

まず、この取引を大幅に縮小し、余った時間とキャパを利益の大きい小売に集中したところ、売上は減少しましたが、利益とキャッシュは増えていきました。

逆に、これまでご支援し、倒産してしまった会社の多くが「売上高」を最も重視して経営していました。

売上高を最大化することが利益の最大化につながると信じて経営していました。

実際には、以前の売上高を拡大する前の方が、利益を稼ぐことができていたケースが多いのです。

多くの中小企業の経営者は無意識のうちに「売上と利益は比例する」とのマインドを持っていると感じています。

このマインドがあるからこそ、「売上高」を重視する経営を行い、

また、売上を伸ばせば、利益も伸びるとのマインドがあるため「利益率」を重視して経営しているように感じています。

ここからは利益稼ぐための「分析」方法について説明していきます。

利益を生みだすための分析の4つの基本

①大きさを考える‥利益への影響が少額なことはやらない、気にしない、こだわらない パレートの法則 利益感度に着目

②分けて考える‥本ブログーのメイン

③比較して考える‥同業比較、スタッフ・店舗間比較、得意先別比較など

④時系列で考える‥前期比較、前月比較、年計移動平均比較(おすすめ)‥売上・経費・利益がそれぞれ上昇or横ばいor下降傾向か

「分析」なんて、税理士などの専門家に任せればいいと思っている方も多いかもしれませんが、絶対ダメです。

なぜなら、正しい「分析」を分かっていない専門家・税理士はたくさんいるからです。

くどいですが、「分析」、数字の使い方で働く人たち頑張りから利益が生まれるか、生まれないかが決まります。

また、正しい数字の使い方・分析の知識を得て、利益を生むだけでなく、業績の悪化の兆候をいち早く把握し、いち早く打ち手につなげるために大切です。

業績が悪い会社の中には、業績の悪化のいち早く察知するための分析の仕組みが出来ていないことが多いように思います。

そして、「なるほどで終わる」意思決定に役にたたない「分析」は、単なる数字あそびです。

意思決定、何をやるか、やらないかに結びつかない「分析」は、止めた方が良いと思います。

まず、①利益への影響が大きいものに着目してください。
「意思決定」‥継続、改善・変化、中断を決めることが目的なので正確に計算することが目的ではありません。

「意思決定」に影響しない金額の小さいものは、考慮しないでください。
・パレート(80:20)の法則 分析対象は、上位20%のみ
・感度分析 利益への影響が大きいものを分析対象にしてください。
例えば、
・加工工程の2秒の改善利益改善は年間700万
・組立工程の1秒の改善利益改善は年間20万
⇒加工工程を分析対象に

④の時系列では、年計移動平均比較がおすすめです。

単月の動きだけでは見えない明確なトレンド・傾向が見えることがあります。

例えば、
雑貨の小売店でコロナにより売上が急減し、未だコロナ前まで回復していませんでした。

「コロナによる行動規制が解除されれば、売上はコロナ前まで回復する」との想いで経営を続けていました。

しかし、年計移動平均の推移を作成してみると、コロナ前から既に売上の減少傾向が続いていたことが分かり、コロナの2年前がブームでピークでした。

そして、その後、トレンドが移り変わり、徐々に売上現状していたのです。

当時、減少額が少額で、減少要因が一時的なものと捉えてしまっており、明確な売上減少傾向を認識できていませんでした。

この分析から、つらいですが、コロナを機に、減少トレンドが一気に加速し、競合が増えた結果、売上が減少しているという認識に変わりました。

コロナ前の元の売上に戻る期待を捨てて経営することにしたのです。

この決断が、ビジネスの変化の必要性につながり、積極的な打ち手を生み、徐々に売上の増加につなげることができたのです。

①~④のうち、以下では②を中心に解説してきます。

利益を最大化するための「分けて考える2つのステップ」


①損益計算書を活動ごとに分解する (抽象⇒具体へ)

利益はアクション・活動の結果です。

アクション・活動⇒利益‥売上-コスト

アクション・活動とは、どんな商品・サービスを、いくらで製造・仕入れたものを、誰が、どこで、どうやって、いくら、いくつ販売した。
みたいな情報です。

そして、損益計算書は、企業の全ての活動をまとめて1つの結果として表示している「抽象」的な情報です。

1人の従業員が、一つの商品のみを、同じ場所、同一の条件仕入・販売している場合には、損益計算書から、どんなアクション・活動が行われたかを推測することは可能ですが、

そうでない限りは、損益計算書から、どんなアクション・活動が行われたかを推測することは困難です。

よって、仮に利益を稼ぐことができたとしても、どんなアクション・活動の結果によるものかを推測することはできません。

どのアクション・活動の結果、利益を稼ぐことができのか、又は、利益を稼ぐことができなかったのかを把握することができない限り、

利益を最大化するためのアクション・活動を行うことは困難です。

一方、具体的な商品・サービス・店舗・部門などに関する販売・仕入、管理に関する情報は、どんなアクション・活動が行われたかを表す「具体」的な情報です。

個々の商品のいくつ、いくらで仕入を行ったという仕入情報、いくつ、いくらで売れたという販売情報から個々の商品からいくらの利益を稼ぐことができたのかを計算することは可能です。

どのアクション・活動から利益を稼ぐことができているのか、又は、利益を稼ぐことができていないのかを把握することできれば、その情報をもとに利益を最大化するためのアクション・活動に注力することが可能になります。

このようにアクション・活動の元となる情報は、情報が「抽象」的では、不十分で、情報が「具体」的になっている必要があります。

②各活動から利益がでているか調べる

粗利益=利益ではありません。

粗利益までではなく、活動に紐づく、人件費、家賃、諸経費まで含めてその活動で本当に利益がでているかを分析します。

例えば、ある飲食業のケースだと、全体では原価率30%でした。

但し、人気メニューが360円の売価に対して240円の原価、粗利益120円です。

ここまで考えると利益はでている。
そのメニューの仕込、調理に10分かかっており、1時間で稼げる粗利益は600円です。

これでは、人件費もカバー出来ていません。

このように活動ごとに分けて、各種コストを加味して、分析します。

利益を出すには、利益がでている活動を強化、出ていない活動を改善・止める必要があるからです。

利益を増やすための正しい分解と間違った分解方法

利益を最大化するには、どんなアクション・活動から利益を稼ぐことができているのかを見つけることが目標です。

そのためには、損益計算書の情報を正しく分解する必要があります。

正しく分解することによって、少ない手間、短い時間で抽象的な情報を具体的にすることができ、利益の最大化に向けて、活用できる情報とすることができます。

利益の最大化に向けた正しいP/L(損益計算書)の分解方法
利益=売上数量×@粗利益(限界利益)-固定費
粗利益(限界利益)=売上-変動費

一方、間違った分解では、具体的な情報にたどり着くまでにたくさんの手間と時間がかかってしまい、場合によっては、利益の最大化のために活用できる情報を入手することができません。

よく見る、間違ったP/Lの基本分解は次のようなものです。

利益の最大化につながらない間違ったP/L(損益計算書)の分解方法
「利益=売上✕限界利益率ー固定費」 や  「利益=売上✕(1-経費率)」

上記の間違った方法は、外部から会社を抽象的・マクロな視点で分析する時は有効ですが、具体的・ミクロな視点で情報を分析・活用するには適していません。

また、ビジネスの変化の兆候・変化の有無を把握するために「利益率」を活用することは間違いではないので、「利益率」を存在自体を否定しているわけではありません。

あくまで「利益率」の使い方を間違えないようにしていただきたいのです。
なぜなら、利益率自体の変化の理由を分析しても利益を最大化するためのアクション・活動につながる情報がでてこない点で意味がありませんし、非常に複雑になってしまいます。

例えば、利益率が○○%増減した理由は、A商品の販売構成比率が○○%増減と、B商品の粗利率の変化で、粗利率が変化した理由は単価が○○円上昇と原価のが〇〇円下がり‥
みたいな感じで恐らく、商品数が多い場合には、複雑すぎて「だから何」みたいな情報になってしまいます。

「利益率」の変化は、①各商品のそれぞれの@売価と@原価の2つの要素、②それぞれの商品の販売数量の変化から、生じるため具体的で明確な活動の変化を把握することはできないのです。

そして、「利益率」を使っている時に良くある勘違いが、利益率のアップが「経営的な良い成果」として認識されてしまうことです。

「利益率」アップは、上記のように色々な要素が複雑に絡む場合があり、その複雑で、具体的なアクション・活動が明確でない情報をもって、その善し悪しを判断することは正しく情報を分析できているとは言えないと考えています。

ここからは正しい損益計算書の分析を行うためのコストの分類を見てきます。

利益を最大化するためのコスト分析

コストは、売上・製造・仕入数量と比例して増減するかによって、「変動費」と「固定費」に分けることができます。

売上・製造・仕入数量と比例して増減するコストは「変動費」
「変動費」以外のコストは「固定費」

売上・製造・仕入数量が5%増加すれば、5%増加するコストが「変動費」です。

それ以外は固定費になります。

材料費、仕入金額、送料、外注費は変動費になることが多いですが、実態によって判断してください。

例えば、外注費のうち、忙しい時だけ委託する外注費は、「変動費」ではなく、「固定費」になります。

この場合、受注数に比例して、外注費の金額は比例はしないからです。

一方、製造量が増えると、工場の稼働が向上し、水道光熱費が増加しますが、製造量が10%増加したら、水道光熱費も同じように10%増加することはありませんので「固定費」です。

また、売上に紐づけできるコストを、「直接費」、また、紐づけできないコストを「間接費」と言います。

このようにコストを分類することで、利益を最大化するための分析を行うことが可能になります。

利益を最大化するための損益計算書のマクロな分析方法

先ほどのやり方でコストを分類したら、まず、「限界利益」を計算してみてください。

限界利益がいくらで、固定費がいくら、その結果、経常利益がいくらプラスで、マイナスなのかを把握します。

固定費は科目ごとにいくらの金額がかかっているのか。

そして、上記の正しい損益計算書の分解方法で、

限界利益=販売数量×(@単価-@変動費)に分解します。

ここまでが損益計算書のマクロな分析ステップです。

ここからどの商品・サービス、得意先が利益を稼ぐことができているのかを明確にしていきます。

ミクロな分析で利益の出所と赤字の出所を洗い出す

ここからは、利益がどこから出ているのかを洗い出します。

その方法は、ビジネスの内容によって様々です。

例えば、業種によって、上記のような分析方法があります。

その際に注意していただきたいのが、分析の基本「①大きさを考える‥利益への影響が少額なことはやらない、気にしない、こだわらない」です。

あくまで、利益への影響が大きい、金額的に重要なものだけを加味して計算します。

例えば、年商5000万の会社で、年間販売個数2000個の1個2円の包材費を含めるべきかは、僕だったら、年間の利益への影響が4000円なので含めません。

いかに手間と時間をかけずに、利益の出所、源泉又は、赤字の出所、源泉に辿りつくかが、重要です。

これらは一例です。

その他小売業であれば、ブランドごと、ターゲットごと、飲食業であれば、メニュー別、カテゴリー別などバリエーションはさまざまです。

いきなり自社の利益がばちッと見える方法に辿りつくことはありません。

上記の方法を組みあわせながら、少しずつ、具体化していってください。

共通費の配分は、百害あって一利なし

本解説で最後です。

部門別の分析を行う場合の大切な注意点です。

各部門で発生しない、役員報酬、本社コスト、管理コストなどを売上金額や従業員人数などに応じて、共通費を各部門に配賦しているケースが良く見られます。

しかし、本分析では、共通費を各部門に配賦しないでください。

なぜなら、目標設定・管理をすることが目的ではなく、利益の最大化のために各部門の有無でいくらの利益が変わるか、いくらの利益に貢献しているかを知ることが目的です。

共通費を各部門・店舗に配布することで、各部門、店舗の活動から生じる純粋な利益貢献が見えなくなってしまいます。

売上の金額に応じて、共通費は発生しませんし、共通費は、各部門、店舗の責任者にとってコントロールできません。

ただ、「共通費を無視して経営することは絶対NG!」です。

各部門でいくらの利益稼ぎ、共通費をカバーし、会社全体で利益を出す方法を決めるのは、この分析の次の目標設定の話です。

各部門の目標設定の根拠に共通費の存在がある場合、コントロールできないものを成果として評価してしまう恐れがあります。

コントロールできないもの、納得できないものが目標設定に含まれてしまうと、高いコミットを引き出すことができない可能性があるため、注意が必要です。

利益を最大化し、キャッシュを残し、強い会社にするために

以上が僕がこれまで中小企業の経営の数字とその実態を見てきて、会計を活用し、どうやったら成果に繋げられるかについての考えになります。

あまり、見聞きしたことが内容が多く、分かりにくい点も多かったかと思います。

繰り返しになりますが、このような分析は、まずやってみること、次に、細かいことにこだわらないこと、そして、いきなり完璧を求めず、徐々に良い分析にしていくことが大切だと思っています。

僕は、10年以上、同じお客様の伴走をさせていただいていますが、10年経っても、不必要な分析を行っていることに気づいたり、新たな分析に気づいたりします。

また、ビジネスの環境は日々変化し、その変化に応じて戦略は変化するため、ビジネスの環境、戦略に応じて分析を変化させる必要があります。

中小企業の方々の頑張りがより大きな成果につながり、生産性を高め、賃上げアップを実現できることを願っています。

まだまだ、未熟で、道半ばです。

ご意見やご感想などあればご連絡いただけると嬉しく思います。

佐藤 修一

佐藤修一公認会計士事務所代表

(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。