freee編|銀行間の口座振替・資金移動の勘定科目は?明細を無視するのはなぜなのか税理士が解説
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クラウド・オンライン会計


こんにちは。税理士法人Accompany代表の佐藤修一です。
日々の経営の中で大きな支払い、引き落としがあるときは銀行間でお金を移動させてひとつの口座に資金を集める処理をすることがあると思います。
後日freee会計で仕訳登録をしようとしたら
「勘定科目を選んだらエラーになった!」
「口座振替を使うように表示されたけど口座振替ってなに?」
「明細を無視しないといけないのはなぜ?」
「もっと分かりやすい方法はないの?」
と疑問に思った方は多いのではないかと思います。
今日は、freee会計の処理の中で銀行間の資金移動・口座振替の処理方法について解説していきます。
この記事で分かること
- freee特有の概念「口座振替」とは何なのか分かる
- 銀行間でお金を移動させたときの処理方法が分かる
freeeが公式サイトで解説している方法を紹介しています - なぜ銀行間の資金移動の際は片方を「無視」しないといけないのか分かる
- もっと分かりやすい裏技が分かる
我々が実務で使っている分かりやすい処理方法を解説しています
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目次
そもそも口座振替とは何なのか?
freee会計をお使いの方は「自動で経理」や「明細の一覧」画面を使って仕訳をすることが多いと思うのですが、その際は下記の3つのパターンから適切な処理方法を選ぶ必要があります。
- 取引登録
- 口座振替・カード引き落とし
- 未決済取引の消込

freeeに慣れないうちは取引の登録を1~3のいずれの方法ですべきか分からず頭を悩ませてしまうことがあります。
簡単に説明すると、それぞれ下記のような取引が対象となっています。
明細の登録方法 | 使い方 |
---|---|
取引登録 | 勘定科目を登録したり、複数行の取引登録をしたりする時に使う。基本は取引登録でOK。 |
口座振替・カード引き落とし | freeeに登録した「口座」間でお金が移動したときに使う。 |
未決済取引の消込 | 債権や債務の金額と実際の入金・出金額を照らし合わせて残高を消し込む処理。売掛金をいつ回収したか、買掛金をいつ支払ったかなどが分かりやすくなる。 |
本日はこの中でも「口座振替・カードの引き落とし」の処理に焦点を充てて解説していきます。
「口座」とは一般的に銀行口座のことを意味しますが、freeeにおいては下記のようなものをすべて「口座」と呼びます。
- 銀行口座
- 現金・小口現金
- クレジットカード
- 交通系ICや電子マネーなどの決済サービスやその他各種サービス(PayPalなど)

まずは一般的な「口座」の意味とfreeeにおける「口座」の意味が異なるということを知る必要があります。
この「口座」が絡む取引は基本的に「口座振替・カードの引き落とし」の機能を使って仕訳をしていくことになります。
銀行間のお金の移動は「取引登録」できないのか?
銀行間のお金の移動は「取引登録」できるのかどうかについてですが、「できません」。
例えば福岡銀行からテスト銀行に10万円振り込んだので相手科目を「福岡銀行」で登録しようとすると…

「取引の登録が正しく完了しませんでした。勘定科目に口座を指定することはできません。口座同士の資金移動は口座振替として登録してください。」
というアラートが出ます。
そのため「口座振替・カードの引き落とし」使うことになるのですが、後ほどご紹介する裏技を使うと資金移動も「取引登録」で処理できるようになります。
ただし、freee公式のヘルプセンターではできないこととされているので、ここでは「できない」と説明しておきたいと思います。
銀行間の資金移動の具体的な登録方法
銀行間でお金を動かした際は自動で経理や明細の一覧に以下の2つの明細が出てくると思います。
- 資金移動のためにお金を引き出した銀行の明細
- 資金移動のためにお金を受け取った銀行の明細
具体的な手順としては、
- 2つの明細のうちどちらか一方を開く
- お金を引き出した明細を開いた場合は「振込先口座」から相手先の銀行口座を、お金を受け取った明細を開いた場合は「振込元口座」から相手先の銀行口座を選択する
- 登録をしなかったもう一方の明細は「無視」する
となります。
これまでは1~3の手順を踏まなければ2口間の資金移動は登録できなかったのですが、現在は「口座振替マッチング機能」というものがあり、それを使えば口座の振り替えと必要のない明細の無視が一度に完了するようになりました。
※freee公式のヘルプセンターには2025/7/23の日付で「口座振替マッチング機能」に関する解説がアップされていました。

文章で説明すると分かりづらいと思いますので、実際の画面を操作した様子を動画にしてみました。
こちらは実際のfreeeの画面を操作した時の様子をキャプチャーしたものです。
登録の処理は一度しかしていないですが、「口座振替マッチング機能」を使うと一度の登録で片方は「口座振替」で登録され、もう一方は「無視」されました。
これで2つの銀行間の資金移動の登録は完了です。
この「口座振替マッチング機能」は
「その他設定」→「事業所の詳細設定」から口座振替マッチング機能を「使用する」に設定している場合に使うことができます。

ここまでは2つの銀行間の資金移動の登録方法を解説しましたが、なぜ片方の明細を無視する必要があるのか分からないという方もいらっしゃると思います。
確実に片方の明細は無視しなければのちのち問題が発生しますので、ここで無視をする理由を説明したいと思います。
片方の明細を無視しないといけない理由は?
早速理由から解説しますが、片方の明細を無視するのは、取引が重複したり、銀行残高がズレたりしないようにするためです。
例えば、A銀行からB銀行に10万円振り込んだとします。
A銀行から出金し、B銀行に振り込んだわけですので、明細は2つ連携されます。
そしてA銀行の視点から見た仕訳は
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
B銀行 | 100,000 | A銀行 | 100,000 |
という風になり、B銀行の視点から見た仕訳も
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
B銀行 | 100,000 | A銀行 | 100,000 |
という全く同じ仕訳になります。
つまり、銀行間の資金移動の明細を2つとも登録してしまうと同じ取引を重複して登録することになり、結果的に銀行残高がズレてしまう、ということになります。
そのため片方の明細だけを登録して、もう一方は「無視」するんですね。
でも、この方法はかなり分かりづらいのではないでしょうか。
後で会計を見返した時に「この明細はなぜ無視したんだっけ?」と確認する手間が発生することもあります。
もっと分かりやすい方法はないのか?
ここまでは口座振替の概念や、freee公式が推奨する方法で明細を登録する方法を説明してきました。
しかし、ここからは「口座振替」も「口座振替マッチング機能」も使わず、片方の明細を無視することもなく、とにかく分かりやすい方法を解説しています。

処理をシンプルにするために、銀行間の資金移動を「取引登録」できるようにする方法を説明していきます。
銀行間の資金移動を「取引登録」するための具体的な方法は、新しく「資金移動」という勘定科目をオリジナルで作成し、取引登録でその勘定科目を用いて仕訳登録するというものです。
「資金移動」という勘定科目は何なのか、なぜこれで取引登録すれば問題ないのかについては最後に説明させていただきます。
まずは具体的な処理方法をご案内いたします。
【STEP1】「資金移動」という勘定科目を新規作成する
まずは左のメニューにある「マスタ・口座」から「勘定科目」を選んでください。

次は、「新規作成」を押して科目をカスタマイズしていきます。

この画面で、
- 勘定科目名:資金移動
- 勘定科目のカテゴリー:資産>流動資産>現金・預金
- 決算書表示名:その他預金
- 税区分:対象外
で「資金移動」という名前の勘定科目を作成します。
決算書の表示名は便宜上設定が必要ですが、期末(決算)まで資金移動勘定が残ることはありませんので何でも大丈夫です。

【STEP2】銀行間のお金の移動の明細を2つとも「資金移動」で登録する
今度は「自動で経理」か「明細の一覧」を開いて、お金を引き出した明細とお金を受け取った明細の2つの明細を「資金移動」で登録します。
まずはお金を引き出した時の明細を登録します…

次に、同じ要領でお金を受け取った時の明細でも「資金移動」で登録します。

これで完了となります!
なぜこのやり方でOKなのか?注意点は?
今回新しく作った「資金移動」は、お金を移動させたときだけに使用する補助的な勘定科目です。
今回の例を参考にすると、福岡銀行から出金した際の仕訳は
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
資金移動 | 100,000 | 福岡銀行 | 100,000 |
となり、テスト銀行にお金が入ってきたときの仕訳は
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
テスト銀行 | 100,000 | 資金移動 | 100,000 |
となります。
その結果、資金移動勘定が相殺されて消えて、最後に残るのは
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
テスト銀行 | 100,000 | 福岡銀行 | 100,000 |
という風になります。
分かりやすいように、図で解説すると下記のように「資金移動」勘定は相殺されます。

これにより、残るのは
左にテスト銀行が100,000、右に福岡銀行が100,000となります。
他の明細の処理と同じ要領で銀行間のお金の移動の時は「資金移動」を選ぶだけですので、
自動登録ルールを設定しやすいですし、明細を無視するわけでもないので分かりやすいです。

ただし、この処理方法を試す際には注意点があります。
この「資金移動」という勘定科目は先ほど「現金・預金」のカテゴリーで新規作成しました。
そのため、もしも入出金の2つの明細を両方とも資金移動勘定で処理しなかった場合は、
貸借対照表に資金移動という勘定科目が残ってしまいます。

この「資金移動」勘定は、あくまで処理を簡便にするための仮の勘定科目ですので、月ごとに会計を締めたり、決算をしたりするときに残っていたら不自然です。
銀行間の入出金をすべて「資金移動」で登録すれば必ず相殺されて残高はゼロになりますので、
会計が終わったら必ず貸借対照表を開いて、資金移動勘定の残高が残っていないかチェックしましょう。
もしも資金移動の残高が残っていたら、
- 出金と入金の2つの明細のうち片方を登録していない
- 出金と入金の2つの明細のうち片方を資金移動以外の勘定科目や「口座振替」で処理している
- 出金口座と入金口座のどちらかがfreee会計に登録していない口座である
などの可能性があります。

1もしくは2が原因の場合は、一度処理を見直して、確実に「資金移動」で登録しましょう。
3が原因の場合はfreeeに登録されていない銀行口座(事業外のプライベート口座など)が関係する処理ということになりますので、資金移動勘定を使う必要はありません。必要に応じて「現金」としたり、「役員借入金」や「事業主貸」などの科目を使いましょう。
ちなみに今回は例として「資金移動」という名前の勘定科目を作りましたが、最終的には相殺されて会計に残らない勘定科目のため、
ご自身が分かりやすい名前であれば「口座振替」や「口座振替勘定」など、どんな名前でもOKです。
まとめ
今回の記事でご説明させていただいた内容をまとめると下記のようになります。
- freee会計で銀行間のお金の移動を登録したいときは「取引登録」で勘定科目を選ばない
- 代わりに「口座振替」という方法を使う
- 出金と入金のどちらかを「口座振替」で処理し、もう一方は明細を無視する
- 片方を登録しもう一方を無視するのは、取引の重複・残高のズレを防ぐため
- ただし、1~3のやり方が紛らわしい・分かりづらい場合は新たに「資金移動」などの勘定科目を作成し、取引登録で「資金移動」とすれば問題ない
- 「資金移動」勘定を使う時は必ず資金移動勘定が相殺されていること、貸借対照表に残っていないことを確認する

freeeが公式に紹介する方法と新たに勘定科目を作成する方法、あなたにとってはどちらが処理しやすいでしょうか。
会計は毎月・毎年行うものですので、なるべく処理を簡潔に行い、何度も同じことを確認したり、同じ操作を繰り返したりしなくて済む方法を見つけられるといいですね。
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佐藤 修一
税理士法人Accompany 代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。