新型コロナウイルス感染症関連の助成金まとめ
労務・人事
2020/04/16
2020/04/05
弊所は、福岡市内で税理士事務所、社会保険労務士事務所を営んでおります。
新型コロナウィルスにより中小企業の方々の売上の急激な減少に伴い資金繰りの急激な悪化が生じ、さらに先行きの不安が日に日に大きくなっていると痛感しています。
弊所のお客様では特に飲食業、イベント業、観光業の方々の売上減少が非常に大きくなっています。
コロナの終息が見えない中、売上の回復は、最低半年を目途に考えるべきではないかと考えています。
そしてまずは、「できる限りのこと」を行うことが先決で、売上の回復が見込まれない中、中小企業が最も考えるべきことは「事業の存続」だと思います。
「事業の存続」のため、中小企業が今できることは、「手元資金の確保」と「コスト削減」がメインになるかと思います。
「手元資金の確保」は日本政策金融公庫のゼロ金利やセーフティーネット・危機関連保証などのコロナ関連融資制度を活用し、
「コスト削減」では、今回ご説明する毎月発生する固定費の中でウエイトが高い人件費を抑えた場合に支給される雇用調整助成金、働き方改革推進支援助成金、小学校休業対応助成金の活用がカギになるかと思います。
特に助成金は、資金繰り改善に即効性はありませんが、要件を満たせば確実に受給でき、返還不要で、従業員の方の生活保障と事業の存続の両方にメリットがある制度です。
特に休業や解雇を考えざる得ない場合、当面のコロナの影響を乗り切る観点と終息後の経営を継続させる2つの観点が必要です。
但し、今回ご案内する助成金の支給要件の詳細は未だ決定しておらず、状況に応じて内容が変更になる可能性がある点、ご留意ください。
そこで今後の売上減少への対応策の一つである新型コロナウイルス感染拡大対策で厚生労働省から発表されている中小企業の方が活用できる助成金をまとめました。
厚生労働省が発表している助成金とは、大きく3つに分けられます。
- 売上等が下がってしまった ⇒ 雇用調整助成金
- テレワークを導入したい ⇒ 働き方改革推進支援助成金
- こどものいる従業員を休ませたい ⇒ 小学校休業等対応助成金
中小企業の皆様の資金繰り、従業員の方の生活基盤の確保できるよう以上の3つについて出来るだけ分かりやすく説明しています。
雇用調整助成金
新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げ等が低下し、従業員を一時的に休業や教育訓練等させた場合に、休業手当や賃金の一部の助成が受けられます。
今回のコロナ対策の目玉がこの「雇用調整助成金」だと思います。
通常の雇用調整助成金に比べ、利用要件を大幅に緩和し、助成率も大幅に大きくなっています。
コロナの影響で休業を余儀無くされる場合にはまず、検討すべき助成金です。
そして、売上が当分見込めない企業が多い場合、コロナが終息した後にいかにいち早く以前の状態に戻すか、そして、更にコロナ以前の状態以上のサービス・商品を提供するかを考え、スタッフ教育に力を入れるチャンスでもあります。
そんな時、従業員の方向けの教育訓練を行う場合に、加算措置があるため、ぜひ活用いただきたい助成金です。
雇用保険調整助成金の対象となる休業とは
労使間の協定により、所定労働日の全一日にわたって実施される休業であれば、雇用調整助成金の対象となります。
一日単位でなくても一斉に1時間以上の時間短縮も対象となります。
雇用調整助成金の休業の開始日
令和2年1月24日から令和2年7月23日までの間に開始
※上記期間内に実施していれば、6月末日までに届出ることで、遡って助成を受けることが可能です。
雇用調整助成金支給限度日数
令和2年4月1日~6月30日の期間及び休業・教育訓練の場合、初日から1年間に最大100日分、3年で最大150日分受給することができます。
雇用調整助成金の支給要件
雇用保険の適用事業所であること。
労使間の協定により休業等をおこなうこと。
休業手当の支払いが労働基準法に違反していないこと。(平均賃金の60%以上の補償)
売上や生産量などの生産指標が1か月で5%以上低下していること
…計画届の提出日が属する月の前月と、その前年同月を比較。
…事業所設置後1年未満の事業主については、令和元年12月と比較。
雇用調整助成金の対象者
雇用保険被保険者でない労働者の休業は助成金の対象となります。
通常だと、雇用保険の加入者のみが雇用調整助成金の対象でしたが、コロナの影響で要件が緩和されています。
雇用調整助成金の助成率・助成期間
助成率は、解雇等を行わない場合はそれぞれ9/10(解雇等を行う場合には4/5)となっています。
但し、対象となる労働者1名あたり8,330円が上限なのでご注意ください。
雇用調整助成金受給までの流れ
特例期間は通常の雇用調整助成金と申請までの流れが異なります。
時間外労働等改善助成金(テレワークコース)
新型コロナウイルス感染症対策として在宅勤務を実施し、テレワークを導入する事業主を対象とした助成金です。
時間外労働等改善助成金の対象となる取り組み
- テレワーク用通信機器の導入・運用
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング 等
パソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は対象となりませんのでご注意ください。
時間外労働等改善助成金の支給要件
助成対象となる取り組みを行うこと
テレワークを実施した労働者が1人以上いること
テレワーク導入の実施期間
令和2年2月17日~令和2年5月31日
※上記期間内に実施していれば、5月29日までに計画書を提出することで、遡って助成を受けることができます。
時間外労働等改善助成金の助成率・助成額
助成率1/2で1企業当たりの上限額が100万円となっています。
小学校休業等対応助成金
臨時休校した小学校等にこどもや、ウイルスに感染した・感染した疑いのあるこども、医療的ケアが日常的に必要なこどもなどの保護者である労働者に、年次有給休暇とは別に有給休暇を取得させた場合に支給されます。
同様の理由で仕事ができなくなった個人事業主も対象となります。
小学校休業等対応助成金の支給額
事業主の方:休暇中に支払った賃金相当額×10/10 (上限8,330円/日)
個人事業の方:就業できなかった日について、4,100円/日
小学校休業等対応助成金の対象期間
令和2年4月1日~6月30日の間に取得した休暇
新型コロナ感染症対策助成金のまとめ
助成金は、休業やテレワーク等を実施してから一定期間経過後の助成金支給になるため、融資に比べ、資金繰り改善に即効性はありませんが、支給要件を満たせば確実に受給でき、返還不要なのでぜひ活用すべき制度です。
そして、「事業の存続」を考えるうえでは何と言っても資金繰りです。
コロナ対策助成金やコロナ対策融資制度を活用する前に、状況が刻々と変化する中、資金繰りシュミレーションを緻密かつ変化に合わせて見直しを行うことが大切です。
融資や助成金を受給しても、資金が回らなければ当然ですが「事業の存続」ができないからです。
どの程度の売上減少、売上減少期間を見込むかは、難しいところですが、資金繰りシュミレーションを行わないと「見えない不安」から余計に不安に駆られてしまうからです。
助成金、融資のご相談は無料となっています。
お気軽にご相談ください。
佐藤 修一
佐藤修一公認会計士事務所代表
(九州北部税理士会福岡支部所属:登録番号028716) 公認会計士・税理士。全国の中小企業にこれまでクラウド会計導入実績累計300社超、クラウド会計導入率70%超。2022年freee西日本最優秀アドバイザー、マネーフォワードプラチナメンバー。 (株)インターフェイス主催第18回経営支援全国大会優秀賞。 全国各地の中小企業に対して、会計から利益とキャッシュを稼ぐ力を高め、キャッシュフローを重視した節税提案、利益とキャッシュを稼ぐ力を高めるサポートや事業再生支援を行っている。 総勢30名のスタッフで「Warm Heart(温かい心)&Cool Head(冷静な頭)」をコンセプトに個々のお客様ごとにカスタマイズしたお客様に寄り添うサービスを提供している。