税理士法人と税理士事務所(会計事務所)との違いについて質問を受けることがあります。

税理士法人と税理士事務所に業務の内容に違いはありません。

税理士法人も税理士が行う税務に関する相談・申告書等作成と対税務署に対する手続きの代理等がメインの業務になります。

税理士事務所は、税理士一人単独で運営可能です。

しかし、税理士法人は、2人以上の税理士が必要となります。

税理士法人は、税理士が複数に集まって共同で運営しているのです。

税理士事務所は、個人事業主です。

税理士法人は、法人です。よって会社に近いイメージとなります。

税理士法人では、会社の役員にあたる役職は社員と言います。

税理士法人の社員は、税理士に限定されています。

また、税理士法人は、普通の会社と異なり、定款に記載すれば、何でも事業を行うことはできません。

税理士法人の業務は

①税理士業務(税理士法第2条第1項の業務)

②税理士業務に付随する業務(税理士法第2条第2項の業務) …記帳代行等

③税理士法第2条第2項の業務に準ずるものとして財務省令で定める業務

④税理士法第2条の2第1項の規定により税理士が処理することができる事務をその税理士法人の社員等に行わせる事務の受託

となっています。

税理士法人は、平成13年の税理士法改正で創設された制度で、比較的新しい制度となります。

その背景には、個人の税理士事務所の運営には、一定の問題点があるからです。

私の父の事務所でもありましたが、個人一人で運営している税理士事務所だと、所長の税理士が急な事故、病気等で業務を行えなくなった場合、事務所内に、税理士資格を持っているスタッフがいないと税理士としての業務を継続できなくなります。

なぜなら、税務に関する相談・申告書の作成等、税務署等への代理業務は、税理士の資格がないと行うことができないからです。

お客様からすれば、個人の税理士事務所の所長が高齢で税理士資格を持つスタッフがいない場合、税理士事務所の引継ぎ等の不安がある方も多いかと思います。

税理士法人の場合は、税理士が2人以上在籍しているため、このような不安は、ありません。

また、最近の税務は、外国の税金に関する事項、会社の合併・移転に関する事業、事業承継、相続に関する事項等複雑化してきております。

複雑化した税務に対し、税理士、個人一人で対応していくことは、キャパ的に困難になってきております。

よって、複雑化した税金に関する問題に税理士共同で対処するために税理士法人化するのです。

相続専門の税理士事務所、外国に関する税務専門の税理士事務所等でてきているのは、税金の問題が複雑化しているのが原因です。

かといって、税理士の資格をもっていなくても、こういった複雑化した税金問題に対するノウハウをもっているスタッフがいる場合もありますので一概には言えません。

あと細かい点で言えば、

個人の税理士事務所では、お客様からの顧問料を受け取る際に、源泉税を引いて支払っていただきます。

税理士法人では、個人事務所のように、源泉税を引かずに支払っていただきます。

以上のようにお客様からすれば、個人の税理士事務所より税理士法人の方が、長期的な運営面・税務に関するノウハウ面で一定の安心感があるように思います。

 

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