ものづくり補助金、小規模持続化補助金、IT導入補助金などを受給された方々で確定申告を控えている方も多いかと思います。

特にIT導入補助金は予算枠が多額になっており、最近受給されているが増えてきていると感じてます。

そこで本ブログでは、ものづくり補助金、小規模持続化補助金、IT導入補助金の入ってきた補助金と補助金を使って資産を購入した場合の経理・会計処理方法について説明しています。

 

まず、補助金を受給したときの経理・会計処理について説明したいと思います。

補助金を受給したときの経理処理

例えば、IT導入補助金が50万円支給されたとします。
この場合の仕訳は、次のようになります。

(借方) 普通預金 50万円  (貸方) 雑収入 50万円

IT導入補助金、ものづくり補助金、小規模持続化補助金、いずれの場合も利用する勘定科目に違いはありません。

また、雇用・労働関係の助成金も同様の処理となります。

ここで注意していただきたいのは、3点です。

  1. 補助金には消費税がかからない
  2. 補助金受給前でも収入として処理しなければならない場合
  3. 補助金で資産を購入した場合

 

まず、消費税について説明します。

消費税は、モノやサービスの交換の対価としてお金のやり取りが生じる際にかかる税金です。

補助金は、国や行政から支給されるもので、補助金が受給されるにあたって、事業者の方は、国や行政に何かモノ、サービスを提供したわけではありません。

よって、補助金は、消費税の対象となりませんので消費税区分を「対象外」にする必要があります。

こちらも助成金も同様に消費税の対象となりませんので、消費税区分を「対象外」にする必要があります。

次に補助金を受給していなくても収入処理が必要となる場合があります。

補助金を受給されるまでの流れで説明します。

  1. 補助金を受給するために計画書を行政に申請
  2. 決定採択に基づき計画実行(経費の支出、資産の購入)補助金受給を行政に申請
  3. 行政からの補助金の受給の決定通知
  4. 補助金受給

 

上記の流れでいうと「補助金受給」ではなく、「行政からの補助金の受給の決定通知」のタイミングで収入として処理する必要があります。

これは売上などにあてはまるのですが、税金計算上は、補助金(お金)を受け取る権利が確定したら収入として処理するルールになっているのです。

この点は誤りやすいのでご注意ください。

ちなみに助成金は、各助成金の受給の要件を満たしたタイミングで収入処理することになります。

 

また、IT導入補助金、ものづくり補助金の場合、補助金によって、資産として処理すべき機械や設備など高額の資産購入されたケースも多いかと思います。

資産として処理するかどうかは1つの設備の金額が青色申告の方の場合は、30万円以上、白色申告の方は、10万円以上が判断基準になります。

資産として処理する場合、経費になる金額は、購入した金額を減価償却費として複数年で分割して経費にすることになります。

よって、支払った金額は、購入した年に減価償却費として全額経費にできないのに対して、収入は雑収入として処理すると全額税金の対象となってしまいます。

減価償却費<雑収入

これでは、補助金を受給したときの税金負担が大きくなってしまい、補助金の効果が薄れてしまうことになってしまいます。

補助金で資産を購入した場合には、「圧縮記帳」という処理をするのがお勧めです。

「圧縮記帳」とは、補助金にかかる税金を一時的に少なくする方法です。

仮に30万円の資産のうち、補助金が20万円受給されたのではあれば、以下のような仕訳の流れになります。

資産購入時:(借方)資産 30万円 (貸方)現金 20万円‥消費税の対象となります

補助金受給時:(借方)現金預金 20万円 (貸方)雑収入 20万円‥消費税の対象となりません

圧縮記帳の仕訳:(借方)圧縮損(費用科目) 20万円 (貸方)資産 20万円‥消費税の対象となりません

 

また、「圧縮損」という勘定科目がなければ、雑損失で処理されてください。

圧縮記帳の仕訳を行うことで、雑収入の20万円と圧縮損の20万円を相殺することができ、補助金に対する税金を回避することができます。

補助金にかかる税金は、個人事業主、法人それぞれ以下のようになっております。

個人事業主であれば、所得税(5%~45%)、住民税(10%)、国民健康保険料(11%~13%)、事業税(5%)
法人であれば、法人税(21%~35%)

個人事業主、法人ともにそれなりの税率になるので、圧縮記帳によれば、相当額の税金の圧縮につながります。

そして、資産の金額は10万円として減価償却費を計算するため、通常の減価償却費よりも少額になります。

処理方法としては複雑になりますが、是非ご活用ください。

「圧縮記帳」についての詳しい説明ページ