減価償却費は、中小企業の決算書の利益と資金の差が生じる大きな理由の一つです。

決算書を見る際、利益の金額は、「税金の金額」と「金融機関からの評価」にとって大切です。
しかし、利益には、実態がありません。勘定合って銭足らずというように、
「実体のない利益」がいくらあっても、「実体のある資金」がなければ、経営には使えません。

ですから「決算書の利益」を「実態のある資金ベースの利益」へ調整する必要があります。
決算書の利益⇒資金ベースの利益

この調整には2つステップがあります。
①減価償却費を利益にプラスする
②借入金の返済額を利益からマイナスする
⇒決算書の利益+減価償却費-借入金の返済額

①のまずは、減価償却費の説明から
減価償却費が経費として計上されるときには資金はでていきません。
固定資産を購入した時に資金はでていくからです。
減価償却費の説明はこちら

よって、減価償却費は、資金ベースの利益を計算するうえでは、経費として扱うべきではありません。
このような理由から、決算書上、経費として利益からマイナスされている減価償却費を決算書の利益にプラスします。

次に②の借入金の返済額について、
借入金の返済により、資金はでていきますが、決算書上、経費になっていません。
ですから、借入金の返済額を決算書上の利益からマイナスします。
難しい言い方をすると、借入金の返済は、将来の利益から行います。

そして、決算書の利益+減価償却費-借入金の返済額がプラスであれば、資金ベースの利益がでている。

マイナスであれば、資金ベースの利益がでていないということになります。